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視点の自由研究No.61「視点_2022年プレゼンの苛烈化」

広告のデジタル化により、広告一案件に対する予算や制作期間の短縮化が起こり、さらにコロナによる加速度的社会変化で広告業界は大きな変化がありました。費用対効果などにより数値的に効果が求められるようになったことで、広告会社の業態変化も如実に感じています。
今回は、そうした世相を反映したプレゼンのお話です。

「2022年ローカルのプレゼン状況」

前述の通り、広告業界の激変はプレゼンの苛烈化を招いています。広告予算として今まではまとまった予算編成で大規模な映像制作という案件がありましたが、今やそんな事例自体がローカルでは少ないのが肌感です。

費用対効果という言葉が示す通り、広告予算に対しての明確な効果が求められることで、一つの映像に対する予算の掛け方もよりシビアになりました。
そうした中で案件としてまとまった予算での広告映像の制作となると今までの感覚とは比にならないレベルで競合の数が増えていくのは必然だと言えます。

なお、これは実体験ですが最近あったプレゼンの競合社数は15社。かつては映像制作単体のプレゼンでこれほどの競合社数があることがありませんでしたが、こうしたご時世を反映するかのように競合数が増えている実情があります。

「プレゼンの可否」

さて、ここでそもそものプレゼンの可否を少し考えてみたいと思います。広告業界にいれば誰もがプレゼンを嫌だと感じたことがあるのではないでしょうか。私自身も同じでできればプレゼンより実制作をお願いしたいのは本音です。広告会社然り、制作会社然り、プレゼンで勝つことよりも、プレゼンになる前に契約を結べるということは、実は最も価値ある仕事だとも思っています。バスケにおけるオフェンスリバウンドみたいな、まさに4点分のプレイです。

ですが、プレゼン自体は今も普通に行われている取引です。クライアントサイドから見れば、癒着などの負の側面を廃したり、特定の担当者だけで広告を作る機会を見直したり、よりいい提案を見る機会を得たりとメリットは確かにあります。

私自身も実は最近では、プレゼン自体に悪い印象はないです。これは独立したことも大きな要因で、新参者からすると新たな取引を生み出す絶好の機会だからです。既存の取引先に割って入るのはかなり大変ですが、こうしたプレゼン機会を得ることで勝ちに結びつかなくても自分達の存在や能力をしっかりと提案できる機会になるからです。古い固定のメンバーに新たなプレーヤーが入るにはこうしたプレゼンという商取引は、これからもあっていいし、あるだろうとも思います。

「プレゼンスキル」

さて今度はもう少し踏み込んでプレゼンにおける勝つスキルを考えてみましょう。いわゆるいい企画やいい提案というものを論じる広告系の書籍は山のようにあります。自分もCM制作者の端くれ、いいプランや斬新なアイデアに注力することがいいことだと思っていました。

もちろんこうしたいいアイデアは大切です。というかむしろそれがあって当たり前。ただ勝因となる要因は、それ以外にあると思うようになりました。

その大きな要因は人柄とも言える目に見えない力。これは独立したことが大きなきっかけで得た知見です。プレゼンで勝った回数は独立後数回程度ですが、いずれもいい提案だから採用という流れではありませんでした。どちらかと言えば、企画案を吟味しながらも自分達の人柄も含めて品定めして頂いた結果で勝ったというのが実感です。

このコラムでも何度か書かせて頂きましたが、クライアントサイドでも広告映像として何を作りたいかは朧げながらですが、確実に存在します。そうした想いを持ちながらさらにプレゼンを行うにあたり、いい提案というよりもいい業者かどうかを面接されているという感覚があります。

クライアントサイドの事情や予算を把握し、オーダーに対して的確に対応してくれるかどうかのスタッフ面談。そうした意味合いが今のプレゼンにはある気がするのです。こうしたいい企画を提案できるゴールスキルよりも、そのゴールをアシストするサポートスキルとでも言えるような提案物にない人間力。そんな能力が求めらている気がしています。

「ローカルが最前線」

最後にもう一度プレゼン状況を考えてみましょう。ローカルは社会課題に今まさに直面しているエリアです。広告物にお金を出せるかどうかというクライアントの体力面が如実に現れます。

そうした肌感から、これからの広告業を考えた時に、全体の広告費自体は下がらなかったとしても、その一件単価は確実に下がってるでしょう。そうした中でプレゼンが行われると、先ほど書かせて頂いたような15社という膨大な数の競合が発生するという事態が起こります。

プレゼンを行うクライアント側もプレゼンに参加する側も、今後さらに大変な状況にさらになっていくだろうと考えています。そうした中で「いい企画」と「いいスタッフ」という二つの側面がカギとなると思っています。

プレゼンという商機会をどう捉え、どう対応していくのか?今後も広告業界の大きな取引の一つなのは間違いありません。

映像でお困りの方、静岡で撮影されたい方、ぜひ一度お声掛けください。