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あふれ出る言葉が、泉のようにこんこんと。~Ayum Tanakさん~

さあ、今回は放送作家の僕があなたを紹介する、恒例の企画です。

きょう描くのは、Ayum Tanakさん

実は今回、あるリクエストが届いていました。

「短歌や俳句を作っているので、感想が聞きたくなった」
「マガジンを読んで、なにか書いてもらいたい」

短歌と俳句は、取り上げたことがない分野です。正直、僕にとっては守備範囲外。難しいテーマを頂きました。しかも、今までと違う点はもうひとつ。

Ayumさん自身に関する情報が少ない。

自己紹介を見ても……、

ずっと準備中です。

の一言だけ。設定されているプロフィール記事には……、

無意識の記憶の一隅を、シャベルで掘り出すような詩が書きたいと思っています。

という文章と、こちらの詩が載せてあるだけ。

ほかの記事を読んでも、年齢だったり、職業だったり、家族だったり、そういった情報は書かれていません。

さあ、どこかに取っ掛かりはないものか……。

そんな中、僕が注目したのがこちらです。

投稿された中で、唯一〝解説付き〟の作品。

鳥の棲むさ青の空には陰なくてくぜり聴きつつ穏しき真昼

この歌について、Ayumさんは「裏がないから好きではない」と語っています。「裏」とは一体なんなのか?

私なりに「真っ青な空」「陰がない!」「なんて穏やかなの?」と感動はしてるんですけど、歌まで「陰がない」ような気がするんです。

僕なりに仮説を立ててみました。

つまり、この歌はあまりにストレートすぎる?
情景をなにかと重ね合わせることで「裏」は生まれる?

例えば……。

「誰かと仲直りして見上げた空には雲ひとつない。なんて晴れやか! 自分の心も同じ青天だ」

みたいな意味まで伝わるような歌だったら「裏」があった?

だとしたら、僕はこちらの歌が気になりました。

ささくれて淹れたコーヒー尖ってるいまいましさをこのまま午後も?

午前中、なにか嫌なことがあったんでしょうねー。で、ランチタイムにコーヒーブレイク。そこで葛藤する姿、自問自答する様子が目に浮かびます。

コーヒーが「尖る」という表現が独特ですね。

苦味、あるいは酸味を強く感じた? もしかしたら涙の味かも?

……なんて「裏」が想像できる歌です。

さらに、こちら。

見上げれば背徳の感まぎらはす秋空高く高くなりゆく

「背徳」という言葉と「秋」の組み合わせから、ついつい食べ過ぎてしまったことが想像できます。で、見上げたら空がだいぶ高くなっていて「秋だから仕方ないか」と自分を納得させたっていう笑

シンプルな表現で、かつ誰もが共感できる。僕は好きですねー。

✨😦💡

あ、なんだか、自分なりの楽しみ方がわかってきたかも。

✅情景が目に浮かぶ
✅その情景からストーリーが連想できる
✅オリジナリティのある表現
✅シンプルな言葉遣い
✅誰もが共感できる

こう考えると、ナレーションを書くときも同じだなあ。きっと、ほかにも短歌や俳句ならではの楽しみ方があるんでしょうね。

今回は、まだ見ぬ世界を感じることができました。

Ayum Tanakさんは、こう書いています。

現わしたいことって、あふれ出なければいけないと思う。絞り出さなければいけない時は自分が枯渇している時。そんな時は立ち止まって注入するんでいいと思うけど、今はとにかく書きたい。

言葉は絞り出すものではなく、あふれ出るもの。

それができるのは、きっと僕たちがスルーしてしまいしがちな風景だったり、感情だったりを見逃さないようにしているからだと思うんですね。

僕も水面が盛り上がるほど清水があふれてくるようになりたい。

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