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【メンタル術】大事なのは「緊張」に1文字だけ足したもの

「イッポォォォン、イッポォォォン!」

2016年8月、ブラジル。僕はリオデジャネイロ五輪の柔道会場にいました。選手が技をかけると、何が何でも「イッポォォォン!」と叫ぶ、観客席の外国人たち。そんな中……。

日本の大野将平選手が、圧倒的な強さで金メダルを獲得しました。

一本を奪った瞬間、雄叫びをあげることもなく、淡々としていた姿がとても印象的でした。畳を下りた直後のインタビューでも、笑顔なし。

〝求道者〟

そんな言葉が頭に浮かんだのを覚えています。

あれから5年――。

『報道ステーション』の企画で大野選手の話を聞くことができました。

その言葉には、求道者らしい独特な発想が垣間見えまして。

実は大野選手、東京五輪はぶっつけ本番で臨まなくてはなりません。自身の怪我やコロナ禍の影響で、1年5カ月も実戦から遠ざかっています。

しかし、その状況を逆風とは思っていないんです。

「試合っていうのは生きるか死ぬか、そういう緊張感をもって臨まなければいけない。でも、試合に過度に出てしまうと、そういった緊張感が和らいでしまう。試合自体が練習みたいな感覚に陥ってしまうということなんです

試合とは、生きるか死ぬか。

恐くて孤独だけど、だからこそ感じられる喜怒哀楽がある。大野選手はその瞬間に「自分は生きている!」と強く実感できるのだそうです。そしてその感覚は、試合を日常化すると失われてしまう。

「なので、こうやって長期で離れるということは、ある意味デメリットだけではないんだということを私は理解してやれているという自信があります」

うん、興味深い。

勝負において「緊張」はしたくないものだけど「緊張感」はもっていた方がいいのかと。

緊張感がないと、集中力を欠く。

逆に緊張感があると、集中力は増して感覚が研ぎ澄まされていく。

まして、生きるか死ぬか、逃げ道なんてない状況まで追い込まれたら、脳はフル回転、リミッターも解除されるというものです。

また、緊張感をもつことのメリットはもうひとつ。

普段の稽古に身が入る。命を懸けた舞台に適当な気持ちで臨もうとはしませんよね。

大野選手もこう言っています。

「覚悟=準備だと私は思っているので」

命を懸けてもいいほどの覚悟=準備はできたか。

今まで五輪と世界選手権で金メダル4個。その裏には、こんな心の強さがあったんですね。

最後に〝求道者〟らしさが爆裂している言葉を紹介させてください。こちら、オンエアはされていない部分です。

「柔道、そういった〝道〟のつく競技は終わりがないんですよね。一生修行だと思ってます。なので、東京オリンピックだけを見ている、そのような視野の狭い柔道家にはなりたくないと」

大野選手には野望があるといいます。

歴史に残る柔道家たちよりも強いと言わせたい。そして、軽量級でも無差別級を制することができると証明したい。

その道は、どこまでも続いていく。

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