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249 賽は投げられた


はじめに

古代ローマ時代にカエサルが放った言葉に「賽は投げられた」という名言があります。古代ローマ時代の政治家であり、軍人であったカエサルは、追い詰められていました。
そんな彼が、ルビコン川を渡る際に放った言葉がこの言葉です。今日のコラムは、その言葉の由来と受験に向かう心理について少しお話してみたいと思います。

カエサル

功績を上げ続けていたカエサルは、領土を拡大していきました。そんな成功の真っただ中にある裏切りが起こりました。
それが、共に戦い、信頼していたポンペイウスの裏切りです。カエサルは、ポンペイウスという信頼に足る人物の裏切りにより、人生最大の危機を招きます。
ポンペイウスはカエサルとの共通の政敵であった元老院と結託し、元老院はカエサルに軍隊を解いて本国への召喚を命じます。カエサルは、この命令を不当なものと判断し、拒否します。
追い込まれたカエサルは、ローマ領に兵を進め元老院と対峙する道を選びます。当時、ルビコン川はローマと他の領土の境界であり、武装を解かずローマ側に渡ることは禁じられていました。
しかし、カエサルは、そのルビコン川を渡り、元老院に宣戦布告をしたのです。兵を率いて南下する際に兵たちを前に放った言葉こそが「賽は投げられた」という言葉なわけです。
もう後戻りは、できないという彼の強い意志を示したこの言葉は後世に、逸話と共に受け継がれていくこととなります。

賽の目

「賽は投げられた」とは、もはや決行するしかないことをたとえた言葉です。「賽」は「さい」と読み、サイコロを意味します。決意表明などの際に使われることが多い表現です。カエサルの場合、「ルビコン川を渡る」行為自体が賽を投げた瞬間となるわけです。
ルビコン川そのものは超えることは簡単な川です。当時から橋もかかっていましたし、アペニン山脈に水源を発して東に流れ下るイタリアの小さな川ですから渡るのは簡単でした。
カエサルが迫られていた決断は、どうやって対岸に渡るかということではなく、軍を解かずにイタリア本土に入るこという大罪を犯すことへの決断だったのです。
明日の受験は、すでに数日前、数週間前、数カ月前に受験すると決断した瞬間から始まっていてまさに、賽は投げられていたのです。カエサルは、倍の兵力差をひっくり返し、この内乱を制しました。
「はじめ」の合図と共にあっという間に過ぎゆく正味1時間の戦いを思う存分、後悔が無いよう受験生には強い決意の中で戦ってもらいたいと思います。

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