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もっともらしい「人生の公理」を持とう

記事を見てくださり、ありがとうございます。
今回は、価値観に原則を添えることの重要性について書いていきます。
また、この記事では数学との類推を使って結論を導きたいと思います。

ということで申し訳ありませんが、まずは数学の話からさせて下さい。
よろしくお願いします。

公理と本質

数学における公理とは、検証なしに正しいことを認め、議論の出発点となる事柄のことです。議論や疑いの余地のないものと言うこともできるでしょう(※1)。例えば、起きる可能性のある事柄のことを「事象」と呼ぶことにすると(※2)、確率の公理は次の4つになります。

  1.全ての事象はあらかじめ分かっているものとする
  2.各事象に割り当てられている0以上の数を確率とする
  3.事象が分割できるなら、分割する前の確率は、した後の
    事象それぞれに対する確率の和である
  4.全ての事象にわたって確率を足し上げると1になる

これら4つの事柄は、私たちが確率と呼ぶもの全てに共通する最も基本的な性質です。そういう意味で、公理とは本質と言い換えることができます(※3)。上の1-4が「確率の本質」なのです。

定理と性質

「より起こりやすい事象に対する確率の方が大きい」といった、私たちが知っている確率の性質は全て上の公理から導かれます。これらを定理と呼びます。ゆえに定理とは性質と言い換えることができます

公理と定理

公理と定理の関係は、図にすると上のようになります。全ての定理は公理という土台の上にあり、公理から導かれた定理を基に全ての定理が決まっていくのです。

価値観と行動

前置きが長くなりましたが、本題へ入ります。
価値観とは何でしょう?
Googleで検索をかけると、次のような説明が出てきます。

物事の価値についての、個人(または世代、社会)の(基本的な)考え方。

つまり、人間は自らの価値観に基づいて物事を判断します。物事をどう判断するかによって人間は行動が変わりますから、人間は価値観に基づいて行動を決める生き物であると言うことができます(※4)。例えば、おいしい食べ物を独り占めしようとするのは、

「この食べ物には限りがあるから、たくさん取らないと損だ」
「自分さえよければ他人はどうでもいい」

などといった価値観に基づく行動です。

公理と定理に基づく価値観と行動の類推

よく考えてみると、上で導いた結論はさらに上で見た公理と定理の関係と論理的構造が同じです。つまり価値観と行動の関係は下の図のようにも表せます。

また、公理と定理の関係を述べるときに使った言い回しもそのまま使うことができます。言い回しを借りてくると、「全ての行動は価値観という土台の上にあり、価値観から導かれた行動を基に全ての行動が決まっていくのです」。少しびっくりしませんか?公理と定理で使った表現を転用しただけなのに、こうも印象が違うとなかなかに驚きですね。

同時に腑に落ちることもあります。ある人が考えを曲げないのは、その人の価値観が疑いの余地のないものであると信じてやまないからです。人が他人を説得できないのは、人それぞれ持っている価値観(絶対的ルール)が違うからです。偏差値の高い学校へ行くと(絶対的な)成績がよくなるのは、志の高い仲間と価値観を共有することにより、行動が変わるからです。

以上の類推から導ける結論はいくつかありますが、最も重要なものは、たとえ公理(その人の価値観)であっても間違ったものを据えれば間違った定理(行動)しか導けないということでしょう。つまり、正しい価値観を持つことで初めて、正しい行動が生まれるのです(※5)。

原則に基づく価値観を

それでは、一体どういう価値観を持てばいいのでしょうか。
そもそも「正しい」価値観とは何でしょう(※6)。「正しい」というのは主観的な表現ですから、真に全員が正しいと納得する価値観などないはずです。したがって「正しい」価値観には、もっとも多くの人が「正しい」と言うものを持ってくるしかありませんし、それこそがもっともよい一連の行動をもたらすでしょう。それってどういうものでしょうか? ―― 答えは「原則に基づく価値観」です。

原則とは、時代や場所に依らず人間の有意義なあり方を支配する普遍的な法則です。それはつまり、議論や疑いの余地がないことを表しますので、そういう意味でも価値観に添えるにはぴったりです。原則には様々なものがありますが、「誠実」はその最たるものでしょう。例えば、「誠実」な態度を持った価値観からは、「人との約束を守る」「困っている人を助ける」「自分にできることを精一杯やる」といった、ポジティブで喜ぶ人が多いであろう行動が導かれます。このように、原則に基づいた価値観は皆さんを魅力的にしてくれます原則に基づく価値観を持ちましょう

総括

今回の記事では、もっともらしい(原則に基づく)価値観を持つようにしようという話をしました。価値観が人間の行動を支配するからです。原則に基づく価値観を持つことで、皆さんの人生がより豊かなものになることを心から願っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

脚注
(※1)絶対的ルール、なんて言い方もできますね。
(※2)つまり「事象という言葉の定義」です。
(※3)確率とはこういうものだよ、と言うこともできます。ですから
「アイデンティティ」と言ってもいいかもしれません。
(※4)行動には考える、思いやるといった、物理的な動作を伴わないものも含みます。
(※5)これは「7つの習慣 人格主義の回復」でスティーブン・R・コヴィー博士が説いた「イン・サイド・アウト」の考え方の正当性を裏付けるものです。
(※6)同様に、「間違った」というのも主観的な表現です。ある人から見れば「間違っている」ことでも、またある人から見れば「正しい」ことなのかもしれません。例えば私は「泥棒は悪いこと」だと思っていますが、盗みを働く人から見れば「正しいこと」なのでしょう。

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