見出し画像

「言の葉の庭」から見る継続の力

監督:新海誠/2013年/日本


あらすじ

梅雨入りに季節。

15歳の孝雄は新宿御苑の屋根付きのベンチで雨宿り。そこには見覚えのある女性雪野がいた。孝雄は雪野にどこかであったか尋ねるが、勘違いだと言う。しかし、雪野は孝雄の制服を見ては「雷神の少し響みてさし曇り雨もふらぬか君を留めむ」と言い去っていく。2人は毎朝のようにベンチで何気ない会話をするようになる。そして孝雄は自分の事に興味を持って話しを聞いてくれる雪野に靴職人になりたいという夢を打ち明ける。


キーパーソンはきっといる

「言の葉の庭」は表面的にはラブストーリーだが、子供にとって荒れた生活環境がどれ程将来を蝕むかがひしひしと伝わってくる。

孝雄の靴職人になりたいという夢はとても素晴らしいし、自ら学んで自分の部屋に工房まで作る自発的な行動力があるにも関わらず、周りの人たちは「10代の夢なんて」と最初から諦める前提で話している。

諦めるかどうかなんてどうでもいいし、そんな思考回路で日々を送っていたら何の成長もしないだろう。この現状はかなりリアルに描写されていて日本にとって深刻な風習ではないだろうか。

実際、孝雄の努力は凄まじいのだ。朝の頭が冴え渡る時間から靴のデザインをやって、夜は一生懸命バイトをし専門学校の学費を貯める。そして食費節約の為に自炊をする。これほどまでの努力をしているにも関わらず周りの人間は表面上の「10代の夢」というレッテルに縛られてしまう。

どうやったら諦めないで進めるか、こういう方法をとれば商売として成り立つんじゃないかと一緒に考えてあげることで、提案者も大きな成長に繋がるのに、なぜ多くの日本人はお互い何の成長にも繋がらない方向に行ってしまうのか。

だが、コツコツ継続を続けていると不思議なことに女神のようなキーパーソンは現れる。ヒロイン雪野はベンチで孝雄と出会ってから孝雄の悩みや夢の事を丁寧に引き出してくれる。

画像1

孝雄は雪野に靴が作りたいと新たなアイディアが生まれる。たわいもない話しでも前提にある努力を肯定して話しを進めていけば、面白いアイディアはたくさん出るはずなのだ。

画像2

雪野は心の病により「歩行障害」と「味覚障害」を患っている。

孝雄の話しを親身になって聞くことにより、雪野の障害は少しずつ治り始めるのだ。まさにお互いが成長し合う会話である。

私自身も人の話しを否定してしまうことはよくあるが、まずは親身になって話しを聞こうと思う。なぜならお互いが成長し合えることはこの映画で学んだからだ。


「言の葉の庭」は甘酸っぱく切なくキュンキュンでもあるので是非!!