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The1975「Being Funny in a Foreign Language」 あの人気PDを迎えた事が大きく活きた成長を感じる最高作!

先月、大好きなバンドの待望の新譜がリリースされました。
 

The1975「Being Funny in a Foreign Language」(邦題:「外国語での言葉遊び」)

 
 今やUKを代表するバンド 、The1975の待望の新アルバムです。 

日本でも本当に人気が高いバンドで、今年8月に行われたsummer SonicにもUKや他国に先駆けてヘッドライナーで出演してくれた彼ら。私も今年参加できたので、the1975を含めライブレポを書きました!


もう私も大好きでしょっちゅう聴いてるバンドなのですが、前作「Notes on a Conditional Form」から2年を経て今作をリリース。

前作の時にもレビューを書いたのですが、この作品も大好きで。コロナ禍の不安定な時期にリリースになってしまったものの、大いにあの時の心の不安を支えてくれたありがたいアルバムでした。

The1975って2010年代のロックが元気がなかった時に、新しい風をもってロックを支えてくれていたバンドだと思っていて。
日本でも今回の新作のリリース時には、Twitterで私がフォローさせてもらっていた音楽好きさんの盛り上がり方が本当に大変な状態でした!本当に「愛されているバンドだ」と感じました。今日本で一番くらいと言ってもいいかもしれないですね♪

 で、今回の「Being Funny in a Foreign Language」はなんといっても個人的な最大な注目ポイントがあって。それがタイトルにも書いたのですが、今本当に大きな音楽プロデューサーとなっている彼を迎えています。

Jack Antonoff

ジャック・アントノフについては、私のブログにも名前がちょこちょこと出てきてたと思うのですが、あんまりしっかり書いてなかったかも。

「Fun.」というバンドでギターだった彼が、音楽プロデューサーとして2010年代にどんどん人気になっていきます。


何と言ってもインディ系女性アーティストのPD作が豊富で、有名どころだとLorde、Carly Rae Jepsen、St. Vincentまで。その作品群から注意度がさらに上がったのが、テイラー・スイフトの作品へのPDですね。

ちょうどPD作が出始めた時の特徴としては、80sのロックやポップロック的なサウンドに寄った曲作りが得意で、自分の持ち味にしていった感じがどんどん強まった感じがします。キャッチ―なところとインディ系の雰囲気のバランスが上手で、耳にすると彼の作品と割と分かりやすいところがありました。
 
それがある作品から私の聴こえ方に変化があって、ちょうど昨年から今年にかけてリリースされた作品で「アントノフ自身のPDの仕方にも成長があったんじゃないか」というところに、

 
このthe1975の新譜がリリースされて、the1975にとってもアントノフにとっても個人的に「最高の作品だ」と思いました。これは個人差もあると思うので、あくまで私の感想ですけど。アントノフについてもちょっと後述しますね。

この作品で私が一番the1975の成長と言うか、前作までとの変化を感じたのは、音の感じが前作までと変わって、言葉にするのはちょっと難しいのですがちょっとスモーキーというか、彼らが今回打ち出してきたモノクロのイメージとまさにピッタリな、少し渋さと柔らかさが加わったような音質に聴こえました。

先行シングルだった

「Part Of The Band」からもうそれが伝わってきてて。アルバム全体で聴くとこの曲が一番変わったというか、変則的に聴こえるような攻めた曲構成に感じる曲でした。MVもとてもいい感じでアルバムへの期待値が上がりました!

今回、そもそも先行シングルが本当に良くて、後に続く「Happiness」ではもう「the1975の必殺技」と呼んでもいいような80sポップ感にアントノフがまた得意としているシャレたアレンジ(特にホーン)が程よく加わって、イントロからして「最高!!」ってなる曲が出てきたり、

「Im In Love With You」のアコギから始まるミドルテンポのラブソング(今だったら結婚式とかに絶対ピッタリだな)に、

私のこのアルバムでのベスト曲「All I Need To Hear」の音の質感が最高な演奏によるバラード!!(私はthe1975のあったか系バラードに弱い)

シングル曲って、そのアルバムでも自信のある曲をリリースすることも多いと思うのですが、アルバムを通して聴いてみると、どの曲もシングル曲で単体で聴いていた時よりもさらに耳に馴染んで、よりいい曲に聴こえるような感じで。「Part Of The Band」なんてまさにそうでした。それが今作の本当に強みの一つでもあるな、と思います。

シングル曲じゃない曲も、また本当にどの曲も良くて。

「Oh!Caroline」のポップネスも個人的にほんとたまらない曲なんですけど、一歩間違えればダサい曲になりそうなところをthe1975は絶対にそうしない!アントノフのアレンジのエッセンスはもちろん、ボーカルのマッティとドラムのダニエルがもともと持っている絶妙な楽曲センスが光った最高の曲の一つだと思います。しっかりバンドとしての重みも感じる後半のサビパートが大好きです。

「About You」も、もともと持っていたシューゲイザー的な要素をさらに演奏でエモーショナルにアレンジしながら、抑えたボーカルで聴かせる名曲に仕上がったと思います。アルバム内で人気曲なのが分かります。

今作はthe1975にしては珍しく11曲で全体が60分ないという作品。それも私にはとても良かったです。もともと長くなりがちなthe1975のアルバム。それはそれでとても聴きごたえがあっていいのですが、アルバムとして全体を聴くときに今作はとても聴きやすくて、「長ければいいってもんじゃないな」と改めて感じることができました(笑)。余韻で行ったら3rdの時と同じくらいです。

とにかく今作は1曲1曲の出来がとても良いので、無駄も無くて本当に成熟を感じますね!!もしかするともっと曲もあったかもしれないし、彼らの事だからリリースもしたかったかもしれないけど、たぶんアントノフが入ったことで冷静に俯瞰して曲を選ぶ選択をできるようにしたのかもしれません。PDを置くってそういう効果もあるんじゃないかな、と思います。

今作は音質の話もしたんですけど、生楽器のバンドの音が前作よりも凄く際立って聴こえるところも大きな特徴だと思います。楽器の演奏と聴こえ方に凄くこだわってきたように聴こえて。でもそれが力が入りすぎてなくて、アルバム全体にも統一感があるし、今回打ち出して来たモノクロの感覚と本当にマッチしてて。

ビジュアルにもこだわってきたThe1975らしくもあり、こういう作品に出逢えるのはとても嬉しいです。以前のスタンスにこだわることなく前進できるって凄い事だと思います。ロックシーンを支える大きなバンドとして、さらに頼りにできると思いました。ここも「今作が今までで一番だな」と思えた最大の特長の一つです。
 
マッティは今作のリリースでいろんな媒体でインタビューに答えています。おすすめです!


先にも書いたとおり、今回はアントノフがPDとして入ったことが本当に活きた作品になっていると思います。The1975側の変化に加えて、アントノフのPDワークが今ほとんど無双状態でいい作品を生みだしている波に乗った状態なことも大きかったような気がします。というのも、アントノフ自身がここのところPDの仕方をアーティストによって変えているような感覚があって。

Lana del ray 「Norman Fucking Rockwell!」


 彼が手掛けた作品で最高傑作とも呼び声が高いラナ・デル・レイの「Norman Fucking Rockwell!」。

私もリリース時によく聴いていたのですが、この作品からアントノフは「よりアーティストの持つ個性や資質に併せて、そこに自分の持っているアレンジ力を最大限に活かしてPDしていくようなスタイル」が深まっているんじゃないかなと思います。
それまでは一聴すると「アントノフかな」っていうようなアレンジやメロディの曲が多かったんです。「アントノフ印」が分かりやすかったというか。
それがラナ様のこのアルバムでは、私は最初に聴いた時は全然気づかなくて。凄く驚きました。もともとラナ様が、少なくとも曲的にはPDに左右されるようなアーティストじゃないってこともあるんだと思うのですが、「こんなにアーティスト側に寄せることもできるのか」と驚いた作品で。
そこから、特にここ2年くらいの作品はそういう感じの作品が増えてきて。
最も驚いたのが

テイラー・スウィフトの「Folklore」「Evermore」の2作のPD曲でした。その前の「Lover」でもPDしてましたけど、全然スタイルが違うように感じで。これはテイラー自身のその時のモードにも多分に影響があったんじゃないかと。

そして、

Clairoの「Sling」、Florence and the Machine「Dance Fever」そしてThe1975の今作。
どのアルバムもそれまでのアーティストの良いところを伸ばしながら、さらに1つステージをあげているような感じで。それも自分の色もちゃんと出しながら。ここまで凄いPDワークを連発する人は本当に「なかなかいない」と思います。

とはいえ、テイラーの最新作は個人的にラナ様以前のPD感に戻っちゃった感じがして、個人的に残念だったんですけど(笑)。恐らくアーティストのモードによってやり方を分けようとしているのかな~。それはそれで器用ですごいですけど。今年のベストPDの一人なのは間違いないと思います。

というわけで、アントノフの話が長くなりましたが(笑)、アントノフの引き出した音の良さとアレンジでThe1975がさらに成長したことは間違いないし、自分たちの軸がしっかりとありながら、変化を恐れず前進できるバンドだと改めて感じることができた最高な状態のバンドだと思いました。
今年の最高な1枚の一つだと確信しています!

来年4月には早くも再来日が決まっています!私は個人的な事情(たぶん4月バタバタ)で、泣く泣く諦めましたが、このアルバムをライブで聴けるなんて絶対最高だと思います!!!
サマソニで「Happiness」聴けただけでも超感動でした!羨ましいー!!!行く方は楽しんできてください!!
 
というわけで、興味を持った方はぜひ聴いてみてください♪


おまけ

「im in love with you」のMVに前作からのつながりでPhoebe Bridgersがいるの、また最高だよね〜。

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