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仕事を辞めて配偶者の海外駐在についていくということ




■「駐妻」という言葉に感じる違和感

まず、私は所謂「駐妻」ではない。というのも男性なので妻ではないわけで。
もうその一点をもって私の今回の判断、「家族の海外赴任についていくために仕事を辞める」という決断が何やら特別なものとして周りの人たちに受け止められている実感がある。奥さんのサポートのために退職を選ぶなんて「素敵」で「かっこいい」と。
ただそれって旦那さんの海外赴任に仕事を辞めてついていく女性も同じですよね、と。5日前に渡英して、着実に専業主夫としての日常をこなし始めた今、とても強く思う。駐妻と呼ばれる人々も自分のキャリアを一旦中断して家族をサポートするという素敵でかっこいい判断をしているよね、と。

もちろん、当の本人も男性が仕事を辞めて家族の海外赴任についていくという判断が「珍しいもの」で「前向きなもの」として受け止められることは重々承知していたわけなのだけれども、当事者になってみて改めて感じる違和感があるのでここに記しておく次第。

ちなみに「駐妻」の対義語としての「駐夫(ちゅうおっと)」という言葉は極力使いたくないと思っていて、代わりの言葉として「帯同ファミリー」なんてどうかと考えている。英語ではTied Familyと表記して「固く結びつけられた家族」ということで、家族の絆を大切にして帯同される道を選んだ配偶者をそう呼びましょうよ、と。
この話はまた別の機会に詳しく。

■仕事を辞める決断ができた理由

また、自分の場合は妻の英国赴任という機会をポジティブに考えられる要因がいくつもあった。ざっと以下の通り。

・妻のキャリアアップ

 L 海外で働くという妻の夢の実現
 L 2回の育休でのブランクを取り返すチャンス

・自分のルーツのある国での生活

 L 英国は父が生まれ育った国であり、いつか暮らしてみたかった
 L 自分の英語の勉強(前職では英語使用の機会がほぼ無かった)

・子供たちの教育

 L 英語(バイリンガル)教育の機会
 L 異なる価値観に基づいた教育を受ける機会


一方で、今回の決断が自分自身のキャリアの足かせにはならないという見立て、言わば打算のようなものもあった。

それは
・転職エージェントとしてならば再就職出来るという見立て
・帰国後の家族単位の収入は渡航前の水準に戻せる

前提として、私は人材紹介(転職エージェント)の仕事が大好きで、一生携わりたい職業に出会えたと思っている。このことは会社を離れる決断をする上でとても大きなポイントだった。

というのも、もし「この仕事を続けたい」と思える職業が見つかっていなかった場合、自分のキャリアが「会社(組織)」縛られてしまうからだ。
自分の役職が自分を測るモノサシになってしまい、マネージャーになれていない自分は今回のように仕事を辞める判断はできなかったと思う。

また、妻は海外駐在を経てキャリアをアップさせていくチャンスを得た。帰国後は家のローンも残っていて私も働くことは大前提なのだけれども、その時に年収が高い仕事に就いて激務で疲弊することを前提として考えなくて良いのは自分にとってはポジティブな材料だった。
(帰国時の就職活動においては、自身が生き生きと働ける環境を探して活動することになると思っている)

■自分のキャリアが中断されることについて

転職エージェントで7年ほど働いて、ようやく自分なりに成果を出せるようになってきた自覚がある。その上で明確に足りていない「課題」となる点や、例えば組織のマネジメントなど「やり残した」点はいくつもある。これらに取り組まずに退職を選ぶことがネガティブかというと、そうは思わなかった。

もちろん、惜しいという気持ちはあるのだけれども、それ以上に上述の(自分を含む)家族にとってのメリットをすべて見送った上で自分のキャリアを継続することの方が、トータルで失うものが多いと感じたのが正直なところである。

 妻の「海外で働く」という夢も
 自分のルーツがある国での生活も
 子供たちの国際教育の機会も

自分が前職を続けていては叶え難い機会であるからこそ、自分としては今回の機会をポジティブに受け取っている。

■この先について

妻の駐在期間は2年間の予定で、今日を含めるとあと727日。
長いようであっという間に違いないので、できるだけ多くのことを経験したい。
・価値観のアップデート
 L 新しい人との出会い
 L 新しい考え方との出会い

・リスキリング
 L 「データ分析」ができるようになりたい
 (Google Data Analyticsプロフェッショナル認定講座を受講中)
 L コーチングの国際資格を取得
 (オンラインのコーチングスクールを受講中)

・家族との関係性深化
 L とくに子供たちとの関係性を深めたい

子供たちとの関係については思うところがあって。
子供たちからすると、パパの中の優先順位は「仕事>ママ>自分たち」になっていると思われてるんじゃないかと思ったことがありまして。
コロナ禍以降に在宅勤務が中心になったことで、家族で過ごせる時間は段違いに増えたのでその点はとてもよかったのだけれども。在宅勤務だからこそ「目の前にいるのに仕事を優先されている」という環境が多くなったかなとも思っていて。
自分自身はあまりオンとオフの区別を上手に付けられるタイプでもないので、なおのこと子供たちからすると「パパは仕事の方が大事なんだな」と感じさせちゃってたんじゃないかなと反省しているわけで。

2年間、せっかく仕事から離れるので、このあたりは以前と変わるといいなと思っている次第。

ということでnoteへの初投稿はここまで約2300文字にて終了します。
仕事から離れてロンドンで暮らす2年間で自分の考えがどのように変わっていくかを確認するための定点観測として、定期的に文章をアップしようと思います。
今日のこれが多くの人の参考になる文章であるとは思わないし、具体的なノウハウも無い私の独り言を最後まで読んでいただきありがとうございます。

もしこの記事をロンドンに今いらっしゃる方が読んだならばぜひご連絡を頂いてお会いできる機会がもらえたら嬉しいですし、お会いできなくてもお知り合いになれたらそれだけでHappyです。

以上、ご機嫌よう。


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