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プロフェッショナル怠惰の流儀〜26歳一般人の休日〜

ポーン


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11月13日(金) 某所

男の朝は早い。会社が休みにもかかわらず朝8時に携帯のアラームがワンルームの部屋に響き渡る。男は目を擦りながらアラームを止めた。

休みの日でもいつもアラームを?

「そうですね。なんとなく。早起きは三文の徳って言うじゃないですかw」

そう笑いながらDiceKはタバコに火をつけ物思いにふける。吸い終わると何故かベッドへと向かった。


早起きしたのではなかったのですか?

「まだ眠いんですよね。三文払って寝ることにします。」

そう言ってDiceKは10時を過ぎるまで二度寝をした。


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DiceK 26歳 なんの取り柄もないただのサラリーマン。

noteに中身のないどうでもいい話を投稿し続けている一般人。





起床するとDiceKは真剣な顔つきでスマホで何かを検索していた。

「あぁ、実は今日はユニクロとジルサンダーのコラボの発売日なんですよ。そのために有給を取ったんですが忘れてましたねw」


ふつう何のために有給を取ったのか忘れるだろうか。しかしながらDiceKの顔は実に真剣だった。

「もう銀座の本店に行っても間に合わないと思うんですよね。500人くらい並んでるし。今からでも間に合いそうなところ探してみます。」




10分後DiceKはそそくさと外出の準備を始めた。

結局どうするつもりですか?

「つくばに行ってみようと思います。わざわざそんな遠くまでみんな行かないと思うんで。」

なんの根拠もない持論を述べたDiceKは電車へと向かった。



ポーン

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道中、DiceKは偉そうに持論を語った。

「休みの日はこんな感じでいつも適当ですね。働いてる時っていつも色んなことに気を遣うじゃないですか?その反動ですかね。」


当たり前のことを言っているようにしか聞こえなかったが、DiceKの表情はどこか誇らしかった。



つくばに到着するとDiceKは何故か早歩きになった。

今更急いでも無駄なのでは?

「いやー、そうなんですけどねw 少しでも早く着いたらいいかなって。」

こんなに矛盾だらけの男がいるだろうか?
問い詰めても無駄なのでそれ以上は聞かなかった。



ユニクロに到着すると、DiceKの予想とは裏腹に大盛況。500人以上の行列ができていた。

DiceKは戸惑いを隠さなかった。

「これは予想外ですねw とりあえず並びますか。」


最後尾に並ぶDiceKはどこか寂しそうな顔をしていた。自分が全て悪いのにどうしてそんな表情をしているのかは誰も理解できなかった。

並び始めて30秒後、DiceKは行列から離れた。

どこへ行くんですか?

「一旦タバコ吸おうかなって。長い戦いになりそうなんで。」



喫煙所へ向かうと何やらDiceKは考え込んだ表情を浮かべた。誰も寄せ付けない雰囲気が現場に緊張感を与えた。


5分後、DiceKは重い口を開いた。

「考えたんですけど、家帰ろっかなって。」

せっかく有給を取ったのに?

「いやー、なんか別にそこまでして欲しくないかなって思ってきました。何時間並ぶかわからないですし。」

このあと何か予定でも?

「ありませんよw 家帰って寝ます。」



そう言うとDiceKは足早に電車へと乗り込んだ。
つくばの滞在時間は15分。往復3,000円の交通費をかけて、DiceKはタバコを吸いにつくばへと行ったのだった。


ポーン

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何の成果も得られていないのにもかかわらずDiceKは清々しい表情を浮かべていた。

なにも買えなかったのに残念そうじゃないですね?

「今日10万円くらい使おうと思ってたんですけど、結果1円も使わなかったんですよね。」
「結果的にプラス10万円だなぁと思って。良い気分になってきました。」


ずいぶんポジティブな考えですね?

「はいw 僕人生で一回も後悔したことがないんでw」

そう言ってDiceKは自宅へと帰って行った。





♪ジャラランジャララン♪

♪ぼくらは位置について 横一列でスタートをきった♪


今日の有給はどうでしたか?

「うーん。いい感じじゃないですか? つくばで吸ったタバコ美味しかったんで。」



♪つまずいている あいつのことを見て本当はシメシメと思っていた♪





心から言ってるのだと分かるくらいDiceKの顔は充実していた。
上司に怒られ、客に怒られ、鋼のメンタルを手に入れた男に怖いものはないのだろう。




♪誰かを許せたり 大切な人を守れたりいまだ何一つ サマになっていやしない 相変わらず あの日のダメな ぼく♪


最後にDiceKに休日について聞いてみた

あなたにとって休日とは?

「世界中の誰も僕に文句を言えない日ですかね。」



♪ずっと探していた 理想の自分って
もうちょっとカッコよかったけれど
ぼくが歩いてきた 日々と道のりを
ほんとは"ジブン"っていうらしい♪


DiceK 26歳 独身という自由の中で生きる1人の一般人。果たして彼はいつか家族という幸せを掴むことはできるのであろうか?




♪世界中にあふれているため息と
君とぼくの甘酸っぱい挫折に捧ぐ・・・
"あと一歩だけ、前に 進もう"♪



怠惰な休日こそ、最高だ。




プロフェッショナル怠惰の流儀〜26歳社会人の休日〜 完





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