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サーフィンから得てビジネスに活かしている5つのこと

 筆者は昔、プロサーファーを志していた。森下にあるサーフショップに通い、妻ともそこで出会った。結局はプロサーファーには遠く及ばなかったが、それでも全国大会には出場した経験もある。その年の東京勢の中で最も成績が良く表彰されたのを覚えている。学生時代は週末は必ず海に行っていたし、平日も時間を作っては千葉に通っていた。起業してから、海に行く回数は徐々に減り、子供が出来てからは更に減り、病気をきっかけに全く海に行けなくなった。しかしサーフィンのことは毎日のように思い出すし、今でも波に乗っている夢を見る。サーフィンで培ったことがビジネスに役立っていると感じることは多く、5点ほど関連性の考察を記述する。

1.主体性

 波があるところを探さないと練習すらできない。海に行くこと自体が都会のサーファーにとっては行動力と実行力を求められる。友達に誘われて行っているようだと一生上手くなれない。自分で意志を決めて一人で海に行き、一人で練習して誰とも話さずに帰ってくる。上手なサーファーなら誰でもやっていることである。夏はまだしも、寒い冬にこれを主体的に出来るかどうかでスタートラインに立てるかどうかが決まる

2.競争性

 波はいつでもあるものではない。折角、海に行っても海に入ることなく帰らざるを得ないこともしばしばある。練習したくてもできないのである。また、波があったからといっても乗れないことも多い。波の良い人気スポットの情報はすぐに広まり、人が集まる。波はセットという固まりで、何本かまとめてうねりが来る。サーフィンにはルールがあり、1本あたり左右で2人が上限なので、5本セットが来ても10人しか乗れない。インサイドと呼ばれる波打ち際には一度崩れた波が再度立ち上がり、こちらで初心者は練習することが多い。しかし、良質の波とは言えないことが多い。混雑している状況だと1つのポイントに100名を超えるサーファーが集まることになる。もはや競争である。「皆んなで順番に」なんて世界ではない。奪い合いである。
 ビジネスの世界ではWin-Winが重要であるが、そもそも競争できない人や戦えない人が多いように感じる。競争できるマインドを持った上で、Win-Winの関係性を築くということが重要だと感じる。

3.マーケティング的思考

 サーフィンは楽しければ良い。そんな考え方もある。しかし、競技スポーツとしてはもっとシビアなのである。自分のサーフィンスタイルを確立しないと高評価を得られないし、周囲にも認めてもらえない。パワー系なのか、スタイリッシュ系なのか、などから始まり高いレベルではその人独自のオリジナリティが求められる。オリジナリティとは数百メートル先からでも、サーフィンを見れば誰なのか分かるということである。私はこの点に関して成功したわけではない。周囲の先輩たちに指導を受けながら散々思い悩んだのが懐かしい。自己分析や競合分析、市場分析を行い、自分の方向性を定め、目標を設定してスタイルや技を磨いていくのである。これはビジネスのスタートアップ期のPMF(Product Market Fit)によく似ている。これは顧客や市場から支持される商品やサービスをつくるという意味である。ビジネスを立ち上げる上で非常に重要である。

4.リスクとの向かい合い方

 サーフィンだけに留まらず競技スポーツの世界ではリスクが高いほど評価される。サーフィンにおいてはその日1番大きい波(セットの大波)のピークと呼ばれる最も沖で割れる場所でテイクオフし(波に乗ること)、最初のターンから繰り出す技が最も評価される。(今は異なるかもしれないが、少なくとも筆者がやっていた時点ではそうだった)
 そこで行う技は、そもそもリスクを伴うが、更に難易度の高い技を決めることが出来るかが重要である。これは大会に出た時だけの話ではなく、普段の波乗りでも周りに尊敬されるかどうか、カッコいいかカッコ悪いかの判断基準となる。リスクを取らないでいい波に乗っていくと周囲からブーイングを受ける。リスクを取りすぎて波を無駄にすると、波を無駄にしたと白い眼で見られる。
 失敗するかもしれないが成功する自信のある最大限の選択を行う必要がある。このバランス感覚を養わないと、乗っては転ぶの繰り返しで上達しない。ビジネスも同様である。

5.運と実力

 サーフィンも他のスポーツも同じだが、結果を残す人と残せない人がいる。最後 のところで優勝できない人やはたまた彗星の如く現れて突然優勝する人がいる。運・流れや好不調の波など、様々な要因が考えられる。とはいえ、優勝を狙う人は、10回大会に出て1回2回失敗しても、8回は準決勝に進めるだけの実力がある。ビジネスの世界では実力をつけることに注目する方が重要だ。8~9割は実力。残りは流れ、波、運によるものという捉え方をしていないと、運命頼り・運頼みの考え方になる
 「それは○○さんだからできるんですよね」という言葉をしばしば聞く。血筋とか運命に関しての優位性を言われることは多いが、そもそも血筋や運命など5%にも満たない程度のことと捉えるべきだ。

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