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『誰も知らない』是枝裕和監督のカンヌを魅了した子役演出!【YouTube更新】

おはようございます!
A芸さんのYouTube動画、「小林でび監督がA芸えびちゃんと子役の演技について語る」シリーズの第5弾、第6弾アップされました。

今回のテーマは、映画『誰も知らない』『万引き家族』などでの、是枝裕和監督の独特な子役演出について。そして『誰も知らない』主演の柳楽優弥くんが第57回カンヌ国際映画祭・最優秀主演男優賞を最年少で受賞したその理由を演技の分析から考察してます。
5分前後の短い動画なので、お気軽に見ていただけると嬉しいです。

『誰も知らない』、子供たちの無垢さが、無防備さが観客の心をえぐりますよね。

でも是枝映画における子供たちの無垢さって、よくテレビCMやドラマなどで見る「一般的な子役演技」とは真逆の方向性。 大人が考える「イメージとしての子供」の無垢さではなく、その子たちが本当に持っている無垢さ・自由さが映っていて、しかもそれが物語の一部としてしっかり機能している!・・・これは子役映画の中でもかなり特殊なんじゃないかと思います。

よく映画などで「子役の演技が凄い!」って言われる場合、子役の演技がいかにコントロールされているかを絶賛されることが多いと思うんですが、是枝作品の子役はその逆でコントロールされている印象ではないんですよね。そこが凄い。
もちろんコントロールしてるわけですよ。でなければ物語を撮影できないですから、でもそのコントロールの仕方が独特なんですよね。子役にはあらかじめ脚本を渡さずに、現場で口伝えで台詞や行動を教えてそれをロールプレイングゲームみたいに演じ、撮影してゆく。 ドキュメンタリー出身の監督ならではの独特のコントロール法だと思います。「状況設定」そして「観察」・・・実験室ですよねw。

是枝組の子役のオーディション基準は、①自由に遊べる ②集中が切れない だそうです。

YouTube動画、後編は柳楽優弥くんの最優秀主演男優賞を受賞した演技について、そしてYOUさんの怖ろしい怖ろしい演技についてw、です。

『誰も知らない』でもうひとつ素晴らしいのは「衣装」でした。

状況が深刻化してゆくにしたがって衣装が凄い勢いでくたびれてゆく。そして髪の毛とかもどんどんボサボサになってゆく。部屋の中もどんどん散らかっていって汚部屋になってゆく。
これってもちろん視覚的な状況説明としても素晴らしいんですが、演じる子役たちに心理的に与える影響も大きいと思うんですよね。動画の中で子供たちに蕎麦を食べさせたり、五感を刺激することで自由な演技を引き出している、という指摘をしたんですが、この服や部屋を汚してゆくというのも彼らの五感を刺激して素晴らしい演技を引き出しているのだと思います。

さて、そんな素晴らしい演技をしたYOUさんも、柳楽くんも、それ以降に出演した映画ではもっとコントロールされた演技をしていて、『誰も知らない』で見せたようなアンコントローラブルな瑞々しさ・衝撃的な演技は『誰も知らない』だけでのものになっています。
是枝監督は子役たちやYOUさんの「人間としての魅力」を作品に取り込む演出をしているので、「俳優としての上手さ」を必要としていない・・・そのあたりが他の監督の現場とはかなり勝手が違うのかもしれませんね。

脚本を渡さない子役たちには「人間としての魅力」を、そして脚本を渡して演じてもらう俳優さん達には徹底的に「俳優としての上手さ」を期待する。その金魚鉢の中と外に俳優を分けて考えているところが、是枝監督の子役演出の最大の特徴と言えるでしょう。

子役たちの活き活きした姿を一番楽しめる是枝映画は『奇跡』かもしれませんね。『誰も知らない』と同じ手法で撮っているのにヘビーにならず、これは子供たちがとにかくただただ可愛らしい・愛らしいw。
しかも「大人がイメージする子供」を演じているわけではなく、本当に子供らしく自由に活き活きと演じている。『奇跡』、超オススメです。

このA芸さんのYouTube動画シリーズ、じつは毎回準備が膨大なんですw。
インタビューやメイキングなど作品に関する資料ももちろん手に入るものは全て調べるんですが、映画本編はもちろん何度も何度も見て、子役たちの演技を細かく細かく観察して分析してゆくんです。
そしてYouTube収録は4本撮りなんですが、5分x2の動画のために毎回1時間以上話してますからね(笑)。編集なさる方も大変だと思いますw。

この演技ブログ「でびノート☆彡」とは違って、喋りで表現できるっていうのが面白くてやっています。やはり喋りで表現すべきことと、文章で表現すべきことって別なんですよねー。
この動画、毎週金曜日夜19時に新作がアップされているので、毎週末チェックしてくださると嬉しいです。ヨロシクです🌟

小林でび <でびノート☆彡>


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