小林でび 〈演技ブログ『でびノート☆彡』〉

インディーズ映画監督の小林でびです。演技トレーナーや外国映画の音響監督もやってます。そしてここnoteでは「よい演技について」「映像の演技の歴史」について書いてます。演技の不思議や面白さについて一緒に考えていただけると嬉しいです~☆

小林でび 〈演技ブログ『でびノート☆彡』〉

インディーズ映画監督の小林でびです。演技トレーナーや外国映画の音響監督もやってます。そしてここnoteでは「よい演技について」「映像の演技の歴史」について書いてます。演技の不思議や面白さについて一緒に考えていただけると嬉しいです~☆

最近の記事

「観の目」「見の目」、いい俳優は周辺視野で演じる。

先日タモリステーションの大谷翔平特集を見ていたら、大谷選手は打席に立ってるとき「周辺視野」で見ていると解説されていて、なるほど!と。 以前から大谷選手はホームランを打つ打席は構えたときに「キョトン顔」をしているよねーと思って見てたのだけど、そうか! あのキョトン顔は「周辺視野」で世界を見ている時の顔なのです! 「観の目」というやつですよね、宮本武蔵の『五輪書』の。 ピッチャーを見るでなく、投げたボールを見るでなく、守備の動きを見るでなく、ランナーの動きを見るでなく、キャッチ

    • 「演技のマジック」は起きたか?『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』

      『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』全世界的に賛否両論みたいですねー。 まあ前作『ジョーカー』も当初、『ダークナイト』みたいなのを期待した観客が「期待してたのと違った!」「駄作!」とか騒いでたので、まあ賛否両論は『ジョーカー』シリーズらしいって気もするのですがw。 ボク的には今作は、劇中でミュージカルの名曲がたくさん歌われて楽しかったし、あと脚本も緻密に練られていて良く出来ていたと思うのですが、うむむ・・・なんかドキドキできなかったんですよねー。 だって前作『ジョーカー』で

      • 『ルックバック』の演技、ディテールが実写並みでした。

        『ルックバック』は58分の中編アニメでしたが・・・堂々たる「映画」でしたね~! 満席の客席。折々に起こる吐息で、観客の心が大きく動かされていることが伝わってきました。泣いてる人もたくさんいた! ボクも作品世界に引き込まれて、すっかり画面上の人物たちの「演技」に見入ってしまってました。 いや~藤野と京本、いい芝居してましたよね~。 2人がお互いの影響を受けてどんどん変化してゆく・・・実写の俳優でもこんなに繊細でディテールが豊かなコミュニケーションの芝居をするかた、なかなかい

        • 8/31(土)「嘘をつかずに演じるには?:人物の視野をコントロールする!」演技ワークショップやり〼。

          なんだか秋の気配が・・・って言いたいところですがまだ8月w。 というわけで6月・7月と続けてやってきました参加者公募の演技ワークショップを8月にも開催いたします☆ 今回のWSテーマは、 「嘘をつかずに演じるには?:人物の視野をコントロールする!」撮影現場などで、俳優にとって大切な「感じる」という作業が、さまざまな理由でできなくなることってありますよね。 残念なのは、感じることが出来ないと、「ウソの感情」を演じたり、「役の人物のフリ」を演じざるを得なくなることです。 ウソや

          「小さな芝居」の時代がやって来た!『アンメット』

          ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』!!! ・・・なんかすごいもの見ちゃった感ありましたねーw。 主演の杉咲花さんと若葉竜也さんの演技・・・地上波のテレビドラマで、あんなに小さな声で喋るなんて! あんなに小さな表情の変化で大きな情感のうねりを表現するなんて! そして何よりも、その「小さな小さな芝居」が、ちゃんと一般の視聴者の心に届いて大ヒット作になるなんて・・・!   そう、届いたんです。あんなに小さな小さな芝居が。 あの若葉竜也さんの小さな小さな芝居が、杉咲花さんの心

          「小さな芝居」の時代がやって来た!『アンメット』

          7/27(土)「ギバーの演技!」ワークショップやり〼。

          夏ですね! 暑い日は冷房の効いた部屋で、演技をしましょうw。 今年も7月27日(土)に、参加者公募の「ギバーの演技!」ワークショップを開催します。 昨年開催して大好評で「現場で役に立った!」の声や、「もう一回!」のリクエストが多かったので、今年もやることにしました。 さて「ギバーの演技」とは何なのか?撮影現場などで自分の芝居がシーンから浮いてしまうことってありませんか? ちゃんと役作りして、気持ちも作って演じているのに。なぜ? それはもしかして「ギブの芝居」が足りてないの

          7/27(土)「ギバーの演技!」ワークショップやり〼。

          『虎に翼』第1部☆伊藤沙莉さんのコロコロ表情が変わる演技法。

          朝ドラ『虎に翼』見てますか? 信じられないような神回が続いた第9週に唸らされまくり、泣かされまくり。そして月曜から第2部「裁判官篇」が・・・楽しみ過ぎます。 最近周囲の俳優達にも「すごい芝居が毎朝15分見れるよ」と勧めまくってる私ですw。 主演の伊藤沙莉さんのコロコロ変わる表情がメチャ魅力的ですよね~。 秒単位でどんどん表情が変化してゆく・・・現実の人間でそういう人は見かけますが、俳優が芝居でそれを演じるのは至難の業です。 それはもし俳優自身が意図的に表情をコントロールし

          『虎に翼』第1部☆伊藤沙莉さんのコロコロ表情が変わる演技法。

          「役の人物としてシーンを生きる!」演技ワークショップ開催し〼。6月8日(土)

          こんにちは!小林でびです。 6月8日(土)に参加者公募の演技ワークショップを開催します。 今回のテーマは、 「役の人物としてシーンを生きる!」 よく「役を生きる!」とか「役になりきる!」とか言いますよね。でもどう演じればそうなるのか、それは謎だったりしますw。 俳優本人は「役になりきった」気持ちでも、観客から見えるのは役の人物ではなく、迫真の演技でノリノリのその俳優だけだったりしてw😅 よく柄本明さんがインタビューとかで「役になんかなり切れないですよ」とか言ってたりするの

          「役の人物としてシーンを生きる!」演技ワークショップ開催し〼。6月8日(土)

          『悪は存在しない』さらに進化した濱口メソッド。

          映画『悪は存在しない』はあきらかに2024年前半の目玉ですね! いろいろ凄い映画なのですが、俳優視点で見て一番すごいと感じるのは、登場人物たちが「その人に見える」というか「ちゃんとそれぞれのコミュニティ(生活圏)の人に見える」ってことだと思います。 それがまたよくある「田舎の人=善」「都会の人=悪」みたいな説明的なコミュニティ表現ではないのです。 『悪は存在しない』のほとんどの人物が「本物」に見えたのは、その人物の居方、そして目線の動きなどの「反応」がまさに長年その生活を

          『悪は存在しない』さらに進化した濱口メソッド。

          『オッペンハイマー』分解・再構成される演技。

          『オッペンハイマー』いや~大変な映画でしたねw。 バラバラな時系列がグチャグチャに入り組んでミックスされていて、登場人物も多くて人物紹介なしにどんどん出てくるので、3回くらい観ないとイミわからないよ!と皆に脅されて観に行ったんですが・・・意外とすんなり楽しめました。 これは時系列がグチャグチャでも「人物の情感」がちゃんと繋がっているからか・・・もしくは『メメント』から『TENET』まで、時系列ぐちゃぐちゃな映画をたっぷり見せられまくりつつ、「時系列を頭で整理しようとするな。

          『オッペンハイマー』分解・再構成される演技。

          小林でび監督“超”短編映画『ラップ現象の部屋』キャスト・オーディションのお知らせ。

          キャスト募集の告知です。今年も映画オムニバス「おまめ映画菜」用に、4分間の“超”短編映画を撮影します。コメディで、作品タイトルは『ラップ現象の部屋』。 監督はわたくし小林でび。 登場する女性キャスト、2名を公募したいと思います。 <A> ヒロイン・優菜(女性、20~30代)カラオケ教室に通う人妻。お酒大好き。 カラオケ教室の先生にメッチャ口説かれてるが、まんざらでもない。 そこはかとなくセクシー。 <B> 幽霊・RAP(女性、18歳~20代)カラオケの先生の部屋に棲む女性

          小林でび監督“超”短編映画『ラップ現象の部屋』キャスト・オーディションのお知らせ。

          俳優はどうやって作品内で自己表現すべきか?

          演技で「自己を表現する」とは?俳優は演技で「自己を表現」します。 俳優自身の感情を解放し、役の人物を自分らしく、自分自身の個性で演じようとし、場合によっては演出家に「自分はこのセリフは言えません」とか「このセリフ、言いにくいのでこう変えてもよいですか?」などと言ったりすることも時にあります。活き活きと自分らしく演じるために!   でもちょっと待ってください。そもそも俳優の仕事って何でしたっけ?   それは「脚本に登場する架空の人物を演じること」・・・自分自身の身体と心を使って

          ¥300

          俳優はどうやって作品内で自己表現すべきか?

          ¥300

          世界の見え方が変わると、人は行動が変わるのだ!『不適切にもほどがある!』

          クドカン最新作『不適切にもほどがある!』 なんのかんの言いながら、最終回まで楽しく観ました!   第1話はミュージカルシーンがちょっと説教臭かったので、 わ、これ1980年代の人達が悔い改めたり、2020年代の人達が悔い改めたりする物語になっていったらイヤだなあ! と思ったりしてたんですが。 『三体』冒頭の文革のシーンみたいに三角帽子をかぶせられて「自己批判せよ!」にはならずにw、ほんわかした最終回を迎えてホッとしました。   だって1980年代に生きる人にとっての感じ方や価

          世界の見え方が変わると、人は行動が変わるのだ!『不適切にもほどがある!』

          2つの表情筋の話。『PERFECT DAYS』

          映画『PERFECT DAYS』遅くなりましたが、ようやく観てきました。 ラスト5分! あの役所広司さんの時空が歪むような芝居は、まさにカンヌで主演男優賞を獲るのにふさわしい演技でしょう。素晴らしかった。 シーンとしては全く説明不足で「抽象的」。 平山がいま何を思い出しているからとか、過去にどんな体験をしたからとか、そのあたりが一切観客に開示されていない。そんな「抽象化された表現」だからこそ観客ひとりひとりの人生とリンクして、心にズドンと届いてしまう。「それ、わかるよ!」

          3/2㈯3/3㈰「役の人物の衝動で動く!」演技ワークショップを開催し〼。

          こんにちは!小林でびです。 3月2日に参加者公募の演技ワークショップを開催します。 (追記:参加希望者多数のため3/3も追加されました) テーマは「役の人物の衝動」で動く! 昔から「役に寄せるか、自分に寄せるか」みたいな言葉がありますが、「役に寄せる」と芝居は説明的になり、「自分に寄せる」と芝居は脚本が意図するニュアンスから逸脱してゆくというジレンマがありますよねw。 なんとなく役の人物になり切れていない違和感を感じながら役の人物のように見えるような動作や表情を演じて、演

          3/2㈯3/3㈰「役の人物の衝動で動く!」演技ワークショップを開催し〼。

          セリフを「自然な間」でしゃべるには?

          どうも 小林でび です。 俳優のみなさんは「セリフの間が気になるんで、間をあけないで喋ってください」と演出家に言われたことはありませんか? 会話のシーンで、どうしてもセリフの出が遅れちゃう俳優さんって、じつは結構いるんですよね。 相手のセリフが終わってから自分のセリフを喋りだすまでにひと間の「余計な間」があいてしまう・・・これって映像の現場ではアウトです。 シーンを切り返しで撮影してる場合はこの「余計な間」をバンバン編集でカットして自然な間っぽく修正してゆくことができるん

          セリフを「自然な間」でしゃべるには?