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湧水が誘う文学の散歩道🖌️ 初夏の水前寺江津湖公園そぞろ歩き

こんにちは。昨日は山都町の記事作成のための調べ物に熊本県立図書館(熊本市中央区)に行ってきました。県内の郷土史が全て揃っていて無料で閲覧できる県立図書館にはいつも大変お世話になっているのですが、図書館に行く楽しみはそれだけではありません。県立図書館は広大な水前寺江津湖公園の一角に建っていて、周辺を散策するのもとても気持ちがいいんです🍃山都町の記事がまだ進んでいないこともあり(💦)今回は図書館周辺の散策レポートを投稿したいと思います。湧水に恵まれた水前寺江津湖公園は生態系も豊かで希少な動植物が生息しています。また、園内には著名な文化人がこの地を讃えて読んだ句碑が点在していますので、ルート沿いの幾つかをご紹介したいと思います。皆さまも美しい初夏の水辺の風景を一緒に楽しんで頂けましたら幸いです❣️(3800字)


散策地と散策ルート紹介

南北4キロほどに渡る水前寺江津湖湧水群は阿蘇の伏流水が湧き出しているもので、熊本市最大の湧水量を誇ります。この場所は現在の市街地でもある熊本城下から4kmほど東に位置し、江戸時代から行楽地•保養地として親しまれていて、大名や重臣たちの別邸が造られていました。湧水群の北部に位置する熊本藩主が造園した水前寺成趣園はその代表的なものです。また明治以降は夏目漱石や高浜虚子などの文化人も訪れ、たくさんの句を残しています。水前寺江津湖公園の全体図はこちら↓ (画像は現地案内板より)

北は水前寺成趣園から南は下江津湖に渡る広大な湧水群

今回歩いたのは↑の画像の「現在地」周辺の赤丸で囲んだ、全体から見ればわずかな一角ですが、美しい水辺の風景を十分に堪能でき、リフレッシュできましたよ✨今回の散策エリアを拡大してルートを赤字で示した図がこちら↓ 

画像は同じく現地案内板より

図書館に隣接する熊本市総合体育館の駐車場が図書館と兼用の🅿️のため、そちらに停めて、公園内を通って図書館の裏口まで歩きます。因みに私も図書館の裏手が湧水公園になっていることを最近知りまして、それまでは普通に体育館から図書館までの道を直進して正面入り口から入ってました。ちょっと回り道すれば贅沢な散歩道があることを知らず、今まで損してましたね💧それでは早速、行ってみましょう🏃‍♀️

水前寺江津湖公園 出水地区

こちらが体育館横の道路から公園に入る道です。公園入り口の表示もないし、以前からこの先はどこに繋がってるんだろう?と気になってたんですが、この前初めて意を決して(←大げさ)道を進んでみてビックリ❗️驚きのワンダーランドが広がっていました✨まるで不思議の国のアリスになったみたいでワクワクしましたね🍄因みに私も今気付いたんですが、上の写真左手の木の下に可愛いチェシャ猫ちゃんが小さく写ってます😆向こうはこの時からこちらに気付いている様子ですが、私は全く気付かずに通り過ぎて、数メートルほど進んでからふと振り返った時、初めてチェシャ猫ちゃんに気が付いて目が合いました。向こうは警戒してずっと私が通り過ぎるのを見ていたにも関わらず、その視線に全く気付かないとは私もまだまだ修行がたりませんね笑

不思議の国に導いてくれる可愛いチェシャ猫ちゃん😍
警戒心が強くて撫で撫でさせてはくれない。
どこまでも続いていそうな小道の両側に生い茂る芭蕉のジャングル。なかなか珍しい植生でワンダーランド感満載!
道の両側は、澄んだ湧水が芭蕉を縫うように流れている。
この珍しい花は何だろう?初めて見ました。
おっ!左手に飛び石の道を見つけましたよ💡
子供の頃の探検みたいでワクワクしますね😆
ジャングルの中で何やらバサっ、ドサッと音がするなと思っていたら、カラスのカップルでした。毛繕いなどしてリラックスした様子🐦‍⬛
飛び石を渡り切ると、高台へ続く石段が。
左手には何やら石碑が見えますね。史跡か何かかな?
石段の先は「休憩園地」と名付けられた公園でした。
ラブラドールの散歩してる人や、ピクニックしている家族がいたりして、平和な休日の一コマが広がっています。
そしてこちらが先ほどの石碑、夏目漱石の句碑です。

ふるひ寄せて 白魚崩れん 許(ばか)りなり

夏目漱石は明治29年から数年間、第五高等学校(現熊本大学)の英語教師として熊本に滞在しましたが、その時に詠んだ句だそうです。現地解説書きを以下に引用します。

この句は明治33年の作で、かつては江津湖でもよく見られた「四つ手」網漁の一コマで、網の中で白魚がふるい寄せられ、全身ではねる時の小さな活力に注目している。漱石には小さな可憐なものへの愛着が強かったようだ。

小さな白魚がピチピチ跳ねて、日の光でキラキラ光っている様子が目に浮かぶようです✨白魚の天ぷら美味しそうだな🤤(←おい!)

公園の中を先に進むと、出口付近にもう一つ、句碑を見つけましたよ💡↓

とどまれば あたりにふゆる 蜻蛉(とんぼ)かな

こちらは熊本出身の俳人、中村汀女の昭和7年の作品で、彼女の代表句の一つだそうです。水辺といえばトンボですが、実は散策中に立派なオニヤンマを見つけたんです!人の指ほどの大きさで、黒と黄のシマシマ模様のやつです!停まっているところをそっと後ろから近づいて写真に収めようとしたところ、ツイーッと飛び去ってしまいました。。オニヤンマの写真を是非ともこの記事に載せたかったのに〜、キーッ😫(←note中毒)

休憩園地を抜けると加勢川沿いに出ます。
画面左手前には水遊びをしている男子の靴。健全でよき!
川沿いを歩き始めてほどなく、今度は右手に「芭蕉園」と名付けられた休憩所つきの広場が現れます。
そして芭蕉園の一角にも句碑を見つけましたよ!

産卵の 鯉の刎ねをり 江津朧(えづおぼろ)

こちらは熊本出身の実業家•政治家•俳人である阿部小壺の昭和48年の作品だそうです。ヘッダー写真の上の方にも鯉が写っていますが、加勢川では透明度抜群の水の中に鯉も鮒もそれより小さな魚もたくさん泳いでいて、魚体を反らせる都度、日の光を反射してキラッ、キラッと銀色に輝いて魚達の楽しげな様子が伝わってきました✨それではしばし、加勢川沿いの風景をお楽しみ下さい↓

初夏の植物たちが発する芳しい香りとせせらぎの音と水面の輝きを楽しみながら川沿いをゆっくり歩きます。なんて贅沢な時間✨ あっ、アオサギちゃん発見!
アオサギカッコよくて好きなんですよね〜。
大きな鳥のシュッとした立ち姿が。
アオサギと目が合うと、ハッとして背筋が伸びる気分。
遠景には通り沿いのマンション群が見えます。
江津湖は街中のオアシス的な存在です。
川沿いの道を思い思いにそぞろ歩く人々。マラソン人や、メモ帳に何か書いている年配の方々もいました。俳句を作っているのかな?

そうこうしていると、今度は右手に「旧砂取細川邸庭園」と称される日本庭園が現れます。↓

※左に見えている建物が県立図書館です。

こちらの池ではすでにカエルの鳴き声が聞こえましたよ🐸また、池の周辺には三脚に望遠レンズを設置したおじさん達がいて、最初何を撮っているのか分からなかったのですが、後からわかりました💡ピンときた方もいらっしゃるかもしれませんね😁画像の池の中から出ている木の枝?もヒントです。答えは後ほどということで、庭園の一角にある句碑をご紹介。↓

縦横に 水のながれや 芭蕉林

こちらは『ホトトギス』で有名な高浜虚子の昭和3年の作品です。まさに私が最初に見て感動した芭蕉のジャングルとその下を縫うように流れる清水の光景を詠んだ句ですね〜✨やっぱり虚子さんも同じように感動されたんだなぁ。

ここまで来れば図書館は目の前。日本庭園を通って裏側入り口に向かいます。(川沿いの道からも行けますが。)
図書館入り口付近で、小さな青いものが日本庭園の方へシュッと横切って行きましたよ!カワセミだ〜😆(答)

あとがき

熊本市は阿蘇の伏流水からなる豊富な地下水により「水の都」とも呼ばれます。街の真ん中にこのような湧水湖があるのはとても贅沢で貴重なことなんだと大人になって改めて感じています。子供の頃は両親によく水遊びに連れてきてもらったことを思い出して懐かしく感じました。最近はTSMC関連の半導体関連企業の相次ぐ熊本進出で地下水の保護が課題になっていますが、貴重な地下水を後世にずっと残して行くために県も企業も個人も努力していかなければならないと感じでいるところです。自然より大切なものは無いですからね。

因みに今回散策したルートはここまでですが、このまま加勢川沿いを北へ進むと電車通りに出まして、🚸を渡った先は、以前記事でご紹介したジェーンズ邸です。ジェーンズ邸の横を更に加勢川に沿って進むと、熊本市有数の観光地である水前寺成趣園に出ます。お近くの方はもちろん、遠方から水前寺界隈に観光に来られる方も、お時間があれば江津湖公園の『文学の散歩道』を歩いてみられてくださいね❣️

参考情報:句碑は水前寺成趣園界隈から下江津湖まで全て合わせると23あるようです。句碑の場所や散策路について詳しく書かれた『文学碑ガイドブック』は熊本県立図書館のロビーに置いてあります。

本文中でご紹介できなかった図書館正面玄関前の文学碑。『星の王子さま』の翻訳で知られる熊本出身の内藤濯の短歌が刻まれています。「いづこかに かすむ宵なり ほのぼのと 星の王子の影とかたちと」

最後までお読み頂き、ありがとうございました😊

【参考資料】
•くまもと文学•歴史館発行 水前寺•江津湖周辺 文学碑ガイドブック

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