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人工島のマーケットに、本と花を


11月20日(日)、文学フリマ東京に参加してきた!
昨年は抽選で外れたので、おととしを入れて、二度目の参加になるのかな。

ブースのテーブルには、今年自費出版した「くちなしの部屋」「虹」の小説二冊を置いた。
それから近所のよく行く花屋で買ってきた、小さい白い花びらがいっぱいついたイネのような花を一輪、花瓶に。
花瓶は鎌倉にひとり旅した時に、小町通りの中にある工芸品店で買ったものだ。渋茶色の木の表面をなめらかに彫ったオブジェは、胡瓜の皮を所々剥いたように濃い色と薄い色が混ざっている。その真ん中の〈木のうろ〉のような空洞に、透明の試験管をまっすぐ通したかたち。説明が難しいのだけど、とっても気に入ってる!

出来上がった、かなり簡素なブースを見た時。
息がつまりそうなくらい幸福感がぶわーっと胸にこみあげて、そして思った。
「そうそうこれなの!!!本来のわたし!」と。

実はこの頃、恋愛をしている。じつに数年ぶりの恋人!マッチングアプリで出会い、半年ほど前から付き合い始めた。
元来ひとりでひそひそ何かをすること、遠くまで出掛けていくことが好きなわたしにとって、誰とも付き合っていない期間に心が枯れてしまうことってあまりない。いつまでもこんな自由を愛していていいのかしら、と一抹の不安はあるものの、性には合ってるんだと思う、やっぱり気楽で、しあわせなのだ。

だけど今、頻繁に会って、出かけたりして、一緒に過ごしている彼のことがわたしは好き。
ジョーダンではなく、生きてるとゆーだけでかわいいなーー、ってなってる。あぁ喋ってる!だまってる!ご飯食べてるね!今もちゃんと息してるんだよね、けなげだなぁ、、、と、何をしてても、存在が凄く愛しい。
そして、その気持ちに比例するみたく、「綺麗になりたいな」と思うようになった。

見た目のことなんて、長い間、正直まったく気にしていなかった。自分をどう見せるかより、色んなものを吸収して感じるほうが大切だったから。
本や音楽や、目に映るものから発されるエナジーを深く吸いこむのって、自分のことを考えすぎてたら気がちるし、往来をのびのび歩くのなら、飾る必要はない。

だけど最近は、変わってきている。
久しく新調していなかったアイシャドウやラメ混じりマスカラを買い足すなどし始めた。ZOZO TOWNや化粧方法を紹介しているインスタを眺めちゃうし、Panasonicのスチーマーが欲しくなってくるし、睫毛パーマもしたいし、美白のサプリだって飲みたい。
服装だって、いつのまにかジーパンを穿くことをやめてしまった。
別に彼が何か言ったわけじゃない。私の家のベランダに似たようなジーパンが3本、風にも微動だにせず干されてるのを見た時も、とくに何も言っていなかったし。(ちょっとシュールな絵ではあった)

だけど自分で勝手に、変わっていってる。
ジーパンがどうとかじゃなく、自分の好きな人はわたしのセンスを気にいるのかな、て考えるし、デートに綺麗な格好をしていきたいいい感じと思われたい、とじれじれ変身してゆくのも、心ではないだろうか。時代サクゴかしら。

そんなこんなで。
今までの自分なら選ばないようなものを選んだり、欲しがったりし始めた日々の中で、ふと迎えたこの日は、自分をとりもどした大切な日だった!

自分で書いた本と、旅先から連れてかえった花瓶。
その簡素なブースを前に、用意してもらったパイプ椅子に座る。
目の前を無数の人が通り過ぎていった。こっちを見ることなく行ってしまう人が多い中で、立ち止まって本を手に取り、持って帰ってくれた人がいた。色々な人がいたけど、自分の本を手にしてくれたんだもん、表情や雰囲気にどこかシンパシーを感じてしまう。
あの空間は、まるでどこか遠い国の、砂埃の舞う路上マーケットみたいだなと思う。
実際は東京湾に浮かんだ、人工島の上だけれど。


この場所があることが、たとえいくらか人生をスムーズにいかせていない原因になってたとしても。わたしにとってはかけがえない、業と紙一重のしあわせだなと思う。

来年はもっと計画的に本を出していきたい。
ブースにもっと沢山の本を並べたいし、誰かの心に届くようなものが書けるようになりたい。

文学フリマ、ブースで本を手に取ってくださった方々、本当にありがとうございました。お一人お一人のお顔がまだ鮮明に思い出せます。
そしてここを見てくださっているかわかりませんが、お隣のブースで出店されていた方、ブックスタンドを貸していただきありがとうございました…!声をかけていただきうれしかったです。

一瞬一瞬でしたが、素敵な出会いがいくつもありました。

感謝です。

ではまた!


p.s. そうそう、この日は久しぶりにジーパンを穿きました。岩手県に一大ひとり旅をした時に四日間穿きとおした(洗え)ジーパンです。
なんてことないブルーのストレートジーンズだけど、飾らず、ナチュラルで挑みたい日の相棒みたいになりつつある。

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