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生 放浪

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一番下の"あおぞら"から、時系列でつながっています。
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2021年8月の記事一覧

名前をつけてやる

名前をつけてやる

《地下アイドルの記録②-グループ結成、芸名をつける-》

正式に事務所に所属することが決まると、そこからすぐにデビューに向けての準備が始まった。

まずは、新しいグループで顔合わせ。
ということでメンバーと初めて会ったのは、渋谷桜丘の線路沿いの地下にひっそりとあった、事務所のスタジオだった。写真撮影会やレッスンで使われていた場所。
今はもう再開発でいっせいに建物が立退になってすっかり姿が変わってし

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風船ガム ぱちんって 弾けたら 出かけよう

風船ガム ぱちんって 弾けたら 出かけよう

《地下アイドルの記録①-オーディション-》

大学入学とほぼ同時に、私はライブアイドル、ううんもっと言うと、"地下アイドル"になった。少し前にはAKBやでんぱ組など地下のライブハウスからブレイクするアイドルが出てきたこともあり、大小いろいろの事務所や、SNSから発信で広まるアイドルが激増した《アイドル戦国時代》とも呼ばれる時代。
十八才は、その中に飛びこんだ。
前回の記事まででつらつらと書いた、ず

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思春期エイジ かきかえOK

思春期エイジ かきかえOK

高校一年生の途中から始まった私の〈自分磨き計画〉は、結果から言うと、ちゃんと実を結んだ。

明るくてポジティブで、見た目もパーフェクト。
掲げていたのはそんなちょっと完璧すぎるイメージだったけれど、そうなりたいと思ってうたがわない時、とても強いパワーで進んでいける。
毎日研究&反省会をくり返して、華のセブンティーンになる頃には、周りから「すごく変わったね」と言われるようになった。「明るくなった」「

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目の前にはいつもヒントがあり

目の前にはいつもヒントがあり

二〇一二年。日本列島の、東京、その片隅の、高校の校舎の三階の、手前から三番目のうすぐらいトイレの中。まけてばかりだった女子高生はひとしれず〈生まれ変わる〉決心をする。ぐにゃりとねじれよごれたイヤホンを通して、毎日毎日、ロックスターが、歌姫が、歌い続けたのだ。世界を変えたいなら自分が変わるんだぜ、と。

そうやってなんとか起きあがった私が、何より克服しなくちゃいけなかったのは、何より"自信のなさ"だ

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7 days war

7 days war

”mixiをやっていたから”。そんなつながりで結成された高校ではじめてのグループは、ふたを開けてみるととても気の強い子たちの集まりだった。

当時を振り返ってみても、一学年にさまざまな女の子グループがあった中で、私は身内だったからとかではなく一番くせのあるグループだったのではないかと思う。
彼女たちはクラスの中心的な存在で、とにかく人をばかにしてばかりいた。
見た目をけなしてあだ名をつけたり、気に

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僕だってイノセンス 君だって

僕だってイノセンス 君だって

十五才。
只々せつないくらいのすてきな期待だけをもって、坂の上にある高校に入学した。
夜は眠らず、スパルタで熱い塾の先生に「休みな」と言われても休まずに受験勉強をして"のぼった"場所。
これから私の期待とうらはらに、長く長く向上心という名前にかくれた自信のなさと私はたたかい続けることになるのだけれど、それを象徴するみたく、この高校にも先の大学にも〈上〉という文字がきざまれていた。

あの頃、知る人

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雲が いつの日も同じ方に 流れるから

雲が いつの日も同じ方に 流れるから

レースカーテンの奥は朝から曇り模様で、うす明るくひかっている。テレビでは、台風10号が関東沿岸に再接近していると伝えるキャスターの声。雨でびしゃびしゃになった街を映しながら、いのちの守り方を淡々と教えてくれている。お祭りは終わったみたいだね。

こんな何気ない日に、私は文章を書こう。

前記事のつづきです。

*朝に一度下書き保存してます*

*

私の放浪は、いつも「自己肯定感の低さ」とのたたか

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