2022秋 メンバーのおすすめ芸術リレー
秋になりました。
長野の秋は山も空も彩度が高く、息をするのが気持ちいい季節です。
秋といえば、「芸術の秋」。
エルはデザイン会社ということもあり、社内ではよく、好きな本や映画など、芸術関係の話題が挙がります。日々の会話から、各々の芸術への知見を感じることも多々あります。
そこで、「エル×芸術の秋」という切り口で何かできないかと考え、「メンバーが、自分の好きな芸術作品をおすすめしていくリレー」を企画しました。
メンバーは普段、どんな作品に触れているのか、どんなことに興味を持っているのか。メンバーに対して、どんな印象を抱いているのか。そんなことを知るいい機会になればいいなと思いました。
メンバーから好きな芸術作品を教えてもらうことで、これまで知らなかった新しい作品と出会うことができます。また、その人の「好き」を知ることで、その人自身のことももっと知ることができます。おすすめする側もされる側も、ちょっとどきどき。
さっそく、リレースタートです!
神保(ライター)→百瀬(デザイナー)
千年後の百人一首
百人一首の、いうなれば「現代心情版」です。詩人の最果タヒさんが翻訳・執筆、イラストレーターの清川あさみさんが挿絵を担当しています。学生のころ、ゼミの先輩に教えてもらって以来とても好きな本。
切ない、懐かしいといった私たちの感性は、1000年前から脈々と受け継がれているのかもしれない、と感じます。ことばも絵もとても美しいです。
歌ごとに、抽象的な絵が添えられているのが印象的。イラストが得意な百瀬さんだったら、それぞれの歌にどんな絵を添えるんだろう、と思いました。
百瀬(デザイナー)→栗原(デザイナー)
榊原澄人さん
主に映像作品を制作しているアーティストです。インターネットに情報が少なく活動を追いづらいのですが、長野県立美術館の交流スペースで作品が上映されていて、無料で見ることができます。
壁一面にループアニメーションが流れているのを初めて見たとき、その世界観に圧倒されました。人間がどんどん思いもよらない姿に変わっていく、少し不穏な雰囲気に引き込まれ、気づいたら1時間くらい眺めていました。
シュールポップな世界観で、栗原さんの好みに合うかなと思い紹介してみました。
栗原(デザイナー)→清水(アートディレクター)
コマ撮りアニメーター「Animist」
フィギュアをコマ撮りして、生きているように動かすアーティストのYouTubeチャンネルです。
アナログな制作風景とユーモアのあるストーリーが、大人のこども心をくすぐります。
面白いのは、メイキングまでコンテンツ化されていること。この映像はどうやってつくっているんだろう?という疑問にまで応えてくれるので、見ていてとても楽しいです。画面に映っている時計の針が高速で回っているので、すごい時間と手間がかかっているんだろうなと感じます。見始めると止まらなくなるので注意です。
清水(アートディレクター)→山岸(デザイナー)
以前、長野ADCの集まりに顔を出した際に見た、札幌ADC2020-2021の年鑑を紹介します。
山岸さんとは、看板制作プロジェクトの際に「上田市にある信州アップルパイ研究所のデザインがかっこいいよね」という話をしました。
誰がデザインしたのだろうと思っていましたが、ここに実績が掲載されていました。
そのほかのデザインもとても素晴らしいです。エル唯一のグラフィックデザイナーとして、いい刺激になると思うのでぜひ見てみてください。
特に、川尻竜一さんのデザインが印象的でした。
山岸(デザイナー)→長張(エンジニア)
大矢真梨子さんのInstagram
東京を拠点に活躍する、フォトグラファーの方のInstagramです。プライベートで撮る花の写真がとても綺麗で、長張さんの「素敵な女性」のイメージに合うと思ったので紹介しました。
いつも通るような道だったり、何気ない風景を撮っているはずなのに、とてもドラマチック。光の入れ方や色遣いからは、真似したくても真似できない、高度な技術を感じます。
長張(エンジニア)→堀内(テクニカルディレクター)
4〜5年前に、ニューヨークへ行ったときに見たブロードウェイショーです。演目はシェイクスピアの「マクベス」が下書きになっています。
会場になっているのは、廃墟になったホテル。席はなく、地下1階から地上6階まである会場内を、自由に歩き回ることができます。各登場人物の物語が別々の場所で同時に演じられているため、目をつけたキャラクターのストーリーを主に追いかけることになります。
観客は仮面をつけて「見えざるもの」として演者と同じ舞台に立ち、物語の中に入り込んだ感覚で観劇します。演者とは、手で触れられてしまうほどの至近距離。
セリフがなく、ストーリーも断片的に追うことになるためすべてを理解するのは難しいですが、他では味わえない、斬新で刺激的な体験ができます。あと10回は見たい!と思いました。
ぜひ、ニューヨークで見てほしいです。
堀内さんの新タスク:パスポートの更新
堀内(テクニカルディレクター)→原(クリエイティブディレクター)
土偶を読む 図鑑 竹倉史人
古代の芸術「縄文土偶」。この本は、「土偶は植物や貝類をかたどったフィギュアである」という新説を解説していく内容です。同時に、細部デザインの解説を通して縄文人の美意識に触れる「アートブック」でもあります。
私は歴史が好きなのですが、その原点は、土器・土偶・古墳です。
昔の人はどういう意図でこれを作ったのだろう、この場所で実際にどんな生活を営んでいたのだろう、と思いを馳せるのが好きです。
アート性の高い火焔土器も捨てがたかったのですが、今回は多種多様な土偶をおすすめすることにしました。
歴史好きなハラさんとは、太古の歴史の話もしてみたいです。
原(クリエイティブディレクター)→神保(ライター)
絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える
ことばが得意な神保さんに、「デザインと言葉の関わり」についての本を紹介します。著者の寄藤さん曰く、「絵と言葉はぼくの仕事の共通項」。
2012年、ギンザ・グラフィック・ギャラリーで、赤瀬川原平著『千利休 無言の前衛(岩波新書)』を研究対象に、さまざまな側面から装丁デザインのアイデアを出し、そのプロセスを黒板に描いていくという展示がありました。この本はそこで買ったもので、寄藤さんのサインも入っています。
展示はとても素晴らしかったのですが、その作品31アイデア(プロトタイプ)が、まるごと第4章「本と装丁」に掲載されています。「アイデアが浮かぶという現象そのものより、デザインが仕上がって行くときの頭の中の様子を知りたいということではないか」という視点で、1冊の装丁を考えるときの考え方を絵にして並べてみたとのこと。その視点はとても面白く、勉強になります。
オフィスの本棚には、同じ作者の「ラクガキ・マスター」や「大人たばこ養成講座」なども揃っています。ぜひ読んでみてください。
リレー終了!
楽しかった!
メンバーの好きなものや興味のあることを、たくさん知ることができました。また、自分の「らしさ」をメンバーがわかってくれていて、「〇〇さんこれ好きかなと思って」と作品をおすすめしてもらえるのは、とても嬉しいことだなあと感じました。自分におすすめしてもらった作品はもちろんですが、他のメンバーにすすめられている作品にも興味が湧きました。
音楽や本や映画などは、つい自分の好きなものばかりを選びがちです。
だからこそ、自分以外の人から作品をおすすめされることで、これまで知らなかった世界や、自分では見つけられなかった「好き」を見つけることができます。同じ作品に触れても感じ方はそれぞれ異なるので、同じ本や映画を観たあとに「感想会」をするのも楽しそうです。
今年はメンバーからおすすめしてもらった作品に触れて、いつもとひと味違った芸術の秋を楽しみたいと思います。
みなさんも、どうかよい芸術の秋をお過ごしください。
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デザインスタジオ・エルは「超えるをつくる」を合言葉に「らしさ」をデザインするWeb制作会社です。
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