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いい広告デザインって何?

いきなりちょっと哲学的な質問です。
いい広告デザインって何でしょう?

洗練されたデザイン?かっこよくてオシャレなデザイン?
ちょっとひねりの効いた面白いデザイン?

もちろんデザイン的な観点から見れば、それらはどれも「いい広告デザイン」でしょう。

でも、とくに商業デザインにおいていい広告デザインとは、ズバリ「商品やサービスが売れるデザイン」なのです。

どんなにデザインが素晴らしくても、広告主から見れば商品やサービスが売れなければ施策が失敗したという評価をしますし、いい広告デザインだとは思われません。

いい広告デザインかどうかは、広告主の観点で評価されるということです。

「デザインの常識的に、ココにこのフォントを使うのはありえないだろ」とか「この配色ってなんか変じゃん!」と感じても、ちょっと極端なことを言うと、売れればそのデザインは正義、な世界なのです。

いいデザインができるようになりたい!と日々研鑽を積んでいるデザイナーにとっては、何とも複雑な現実ですよね。もちろん、デザインについて日々学んでいくことは大切ですし必要なことですが、デザインという狭い領域観点だけで仕事をしていると「なぜ自分はこんなに勉強していて頑張っているのに仕事が来ないのだろう…」と壁にぶち当たってしまいます。

デザインの目的を理解する

ユニクロのブランドデザインを手掛けているのは、アートディレクターの佐藤可士和さんだということは有名な話です。
しかし、セール品の案内をするチラシなど、売上に直結するような媒体に関しては佐藤可士和さんは関わっていません。
これはユニクロの柳井会長の意向だということで、ブランディングデザインとモノを売るためのデザインとでは手法や考え方が違うんだという現実を柳井会長はよくご存知なんだと思います。

つまり、一口にデザインといっても、認知させるデザイン、ブランド価値を高めるデザイン、モノを売るデザインはそれぞれアプローチも違っていて、出てくる結果(デザイン)も変わってくるのです。

デザイナー人口の割合からいくと、モノを売るデザインに携わっているデザイナーが圧倒的に多いと思います。今までたくさんのデザイナーと一緒に仕事をしてきましたが、意外にもこの「目的によってデザインの手法を変えなければいけない」ということを理解していないデザイナーが多いなぁという印象があります。

みなさんはどうですか?商品やサービスを売ることが目的なのに、見栄えだけにこだわってデザインを作ることが目的になっていませんか?

「デザインとしてどんなに優れていても、売れなければ意味がない。」

モノを売る広告において、これが広告主が考えているリアルです。
そらそうですよね。担当者もちゃんと実績上げないと、会社で評価してもらえませんから。

とくに、D2C(Direct to Consumer / 通販のように顧客と直接取引をするビジネス形態)は、反響がダイレクトに数字となって現れてきますので、ものすごくシビアな評価をされます。

私も経験がありますが、数字が良ければクライアントからは“神様”とか“救世主”などと、ものすごく持ち上げられます(笑)
逆に数字が悪ければ、“良くなかったよ…”とだけ言われ、次から声がまったくかからない、なんてことはよくあります。

デザイナーとして声をかけてもらえないというのは死活問題です。
仕事がなくなってしまうわけですから。

継続して発注してもらうためには結果(=実績)が必要になってきます。
じゃあ、どうやったら売れるデザインを作れるでしょうか?


データ根拠に基づいたデザインでレスポンスが変わる


売れるデザインを作る一つの方法として、マーケティングデータを取り入れたデザインをすることです。

マーケティングデータって何?ってことですが、簡単に言うと「お客さま(エンドユーザー)の声」です。

お客さまが広告に触れたとき(目にしたとき)、どこを見ていてどういう印象を持つのか。その商品を買おうと決断する要素は何なのか。

広告代理店などでは、実際にお客さまにアンケートを取ったり、モニタリングでアイトラッキング(視線を追う機械)やヒートマップなどを使って分析したりしている会社もありますが、そういうデータってデザイナーになかなか共有されなかったりします。データ収集や分析はそもそもお金がかかることなので、頻繁にガッツリとやっている会社は少ないというのが現状です。そもそもやっていないからデザイナーに共有しようがないというのもあるでしょう。

マーケティングデータをデザインに反映した方がいい根拠は数字です。
反映したデザインと反映しないデザインでA/Bテストをすると、レスポンスが違ってきます。

正直なことを言えば、劇的にものすごく差が出るわけではありません。
でも、このわずかな数字の改善が大事で、クライアントから見れば「既存のクリエイティブよりも良くなった」という評価をされることになります。

「データ収集や分析はデザイナーの仕事じゃないでしょう」と思われるかもしれませんが、マーケティングをやれということではなく「知っておく」ということが大切なんです。デザインをする上で背景を知っておくというのは非常に重要なことです。
いつ広告展開されるのか、どの媒体で実施するのか、どういう人が買うのか、競合はどこなのか、この商品の課題は何なのか、市場トレンドはどうなっているのか…など、情報はあればあるだけ良いです。
同じように、人はこういう情報を欲しがる、こういうところに目がいきやすい、こんな表現が刺さりやすい…など、広告を見る人の傾向を知っておくと売れるデザインが作りやすくなります。

マーケティングデータについての詳しい話は、長くなってしまうのでまた別の記事で。


デザインの仕事、とくにモノを売るためのデザインの仕事を続けていくためには、依頼してくださる広告主の期待に応えなければいけません。その期待というのは、数字の改善であったりお互いのコミュニケーションの取りやすさだったり、いろいろあると思います。いずれにしても、課題を解決できるデザイナーであれば、他のデザイナーと差別化ができ、それがあなたの強みになると思います。一度実績ができれば、指名され続けるデザイナーになれるでしょう。もちろん失敗もあると思いますが、失敗から学べば必ず結果は出るはずです。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

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