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20世紀のグラフィックデザイン3選 -造形の試行からプロパガンダまで

20世紀は2度の大戦、大量消費社会の到来と激動の時代であった。この時代に生まれたグラフィックデザインは、現代のデザインに多大な影響を与えている。

今回は20世紀に起こった3つのデザインの流れ、さらにデザインの持つ政治性についても調べてみた。

バウハウス

バウハウスについては、こちらのnoteで詳しく触れている。1919年にドイツに誕生した学校「バウハウス」は、造形に関する壮大な試行でありスタイルではない。教師と学生が生み出した実験的で多種多様なデザインは、今日のデザインに大きな影響を与えた。

ヨースト・シュミット《バウハウス・オーステルングのポスター》(1923)

ロシア・アヴァンギャルド

ロシア・アヴァンギャルドについては、こちらのnoteで紹介している。1917年のロシア革命の中で、プロパガンダ(人々の思想や行動を誘導する宣伝)を制作する芸術家も出てきた。目を引く大胆な構図が強いメッセージを訴えかけている。

エル・リシツキー《赤い楔(くさび)で白を打て》(1919)
アレクサンドル・ロトチェンコ《「レンギス あらゆる知についての書籍」ポスター》(1924)
グスタフ・クルーツィス《男女の労働者よ、 皆ソヴィエトの改選へ》(1930)

こちらではロシア・アヴァンギャルドのようなポスターを作る方法が紹介されていた。大胆でコントラストが強い、目を引くポスターである。

スイススタイル

「清潔感」「可読性」「客観性」の3大原則のもと、スイスで発展したデザイン様式である。国際タイポグラフィ様式と呼ばれ、多言語国家であるスイスで多言語を併記することに対する解決策として捉えられる。スイススタイルの歴史はこちらのnoteをぜひ。

特徴としては左右非対称、サンセリフの利用、装飾の排除となっている。ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンはグリッドシステムを提唱し、スイススタイルを広めたといえる。

ブロックマンが記した「グリッドシステム グラフィックデザインのために」は翻訳され、日本でも出版されている。

戦争・革命とデザイン

20世紀以降の戦争や革命とグラフィックデザインは切っても切り離せない。ナチスドイツや中国共産党などが利用したように、デザインは政治的にも強い力をもつ。過去を繰り返さないためにも作る側だけでなく見る側もデザインの背後にある本質を考える必要がある。

日本のプロパガンダデザインとしては「FRONT」が有名である。フォトモンタージュを駆使したデザインは、今見ても斬新で強い印象を与える。戦争という負の遺産と優れたデザインをみたとき、複雑な気持ちになる。FRONTの作られた背景についてはこちらの記事が分かりやすかったのでぜひ。

まとめ

以上、20世紀のデザインについて取り上げてみた。次回は日本のポスターデザインについて調べてみたいと思う。

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