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リモートで脳波計測!!メディテーションヨガを科学する

突然ですが、“6月21日”って何の日かご存知ですか?

答えは「世界ヨガデー」
2015年にスタートし、今年で7度目を迎えました。

記念日が制定されるほど世界中に広がり、日本でも人気の高い習い事・趣味のひとつとして定着しているヨガですが、元々は古代インド哲学を起源とする心身訓練法でした。

2020年に日本ヨガインストラクター協会が行った調査によると、「ヨガを始めた一番の理由」について“健康のため”や“ダイエット”と回答した方が7割を超え、日本ではどちらかというとトレーニングやボディメイクの一環として取り入れられている側面が強いようですが、最近ではマインドフルネスや瞑想の要素を取り入れた瞑想ヨガ(メディテーションヨガ)も広がりを見せはじめています。

今回は、ヨガ本来の目的である心と体を共に整えることに注目し、ヨガ・瞑想インストラクターの高橋琴江先生を講師に迎えて、ヨガ・瞑想初心者の方々に体験してもらいました。

脳波を用いた感情分析からヨガ・瞑想が私たちの心にもたらす効果を可視化します。

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高橋 琴江(たかはし ことえ)
ヨガ・瞑想講師/日本語講師
2015年 ヨガを始める
2016年 インド(リシケシュ)にて
               全米ヨガアライアンス認定RYT200時間コース修了
2017年 インド(リシケシュ)にて、エネルギーヒーリング、
               クンダリーニヨガを学ぶ
               大手ヨガジムでインストラクターを務める
2019年 インド(リシケシュ)にて
               メディテーション・ティーチャートレーニングコース100時間修了

在宅型ニューロリサーチで脳波計測をしながら「瞑想」体験

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体験1日目の朝。
少々眠い目をこすりながらも、1日をヨガで爽やかにスタートできるなんて、それだけでいつもより気持ちがわくわくしてきます。リモートワークですっかり鈍った心身を整えつつ、これから合計3日間のヨガ・瞑想体験を行っていきます。

今回の体験はオンラインで進行しました。
電通サイエンスジャムでは、オフラインで人を集めての検証が難しい状況下でもご活用いただけるよう、昨年から被験者の方々のご自宅に機材を配布しての「フルリモートニューロリサーチ」をご提供しています。

リモートリサーチのメリットは、より本来の生活環境に近い状態での実験結果を得ることができる点です。最近はコロナ禍の影響でオンラインヨガのレッスンも増えていることもあり、この機会にリモートリサーチを活用することになりました。

オンラインでも、一人ひとりがしっかりと目的を理解してから取り組めるよう、実践する前に先生からヨガと瞑想についての講義を受けることからスタート。

まずはじめに先生がお話しされたのは、「人間はどんなに幸せでも、苦悩や葛藤を生み出してしまう生き物である」ということ。
それは人間がマインド(MIND)を持ち、考えることができるシステムを持っているからだそうです。

「例えば、皆さんは雨が降っている時どんな気分になりますか?」
先生は私たちにこう問いかけました。

すぐにふと思い浮かぶのは「外に出たくないなぁ」とか、「濡れたくないなぁ」などのネガティブな感情だという人の方が多いのではないでしょうか?

こんな時ニュートラルな思考ができる人は、「今日は雨だ(雨の匂いがする)」のように、不必要にネガティブに捉えることなく、起こっているその事象だけをただ素直に受け止めることができるそうです。

瞑想のコツは、このように“自分自身をコントロールすることなく、何が起こったとしても、あるがままの状態を観察すること“だそう。
「瞑想」って何かを悟るとか、そういった宗教的なことではなく、自分自身を素直に受け入れ、思考に縛られないためのトレーニングだったんですね。

ヨガ八則図

さらに、ヨガの基本となる「The Eight Limbs of Yoga(八支則)」を元に4つのポイントを教わり、いよいよヨガのポーズに入っていきます。

【4つのポイント】
1.身体、感覚、感情、思考を観察する
2.抵抗を手放す (思考によるジャッジをしない)
3.痛みを手放す (body,mind,spiritの調和。苦しみを生み出すコントロールをしない)
4.「必要なことが起きる。それが何であっても。」 という全肯定の態度で自分を受け入れる

呼吸で心と体のバランスを整える

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実験は下記の流れで行いました。脳波計測には弊社独自のアプリケーションである「感性アナライザ(※1)」及び「Valence-Arousal アナライザ(※2)」を 使用します。

①脳波計を装着し、安静状態で計測(1分)
②マインドフルネス状態へ導くためヨガのポーズ・呼吸法(40分)
③瞑想(10分)
④再び安静状態で計測(1分)

※1「感性アナライザ」
慶應義塾大学の満倉靖恵教授が研究・開発したアルゴリズムを用いて、人の感情を脳波から推定し数値化できるアプリケーション

※2「Valence-Arousal アナライザ」
電通サイエンスジャムが開発した、人の感情を規定する二次元値Valence(快楽水準)とArousal(覚醒水準)を脳波から推定し、数値化できるアプリケーション

 先生の誘導でゆっくりとヨガのポーズをとっていきます。
今回はスムーズにマインドフルネス状態に導くことを目的としている為、難しいポーズなどは行わず、ストレッチに近い易しいポーズを中心に進行していきます。ポーズをとるだけでも普段凝り固まっている体が解れて、少しずつ楽になっていく感覚がありました。

次に、ヨガを行う上でとても重要な”呼吸法(プラーナ・ヤーマ)”を行っていきます。
「プラーナ・ヤーマ」はサンスクリット語で「生命をコントロールする」という意味を持ち、呼吸によって全身へエネルギーを巡らせ、心と体のバランスを整えていきます。

基本的な呼吸法を行った後、瞑想に入る前に「SOHUM(ソーハム)呼吸法」を行い、そのままゆっくりと瞑想状態に入っていきました。

はじめは瞑想中も「今日のお昼何食べよう」とか、「あの仕事早く終わらせなきゃ」とか、無意識にいろいろな思考が頭の中に浮かんでいたのですが、個人的には3日間続けていくうちに段々と慣れてきて、少しだけ思考を上手く手放せるようになってきた感覚が出てきました。

継続がポジティブな変化を生む

体感としては効果を感じることができたものの、果たして脳波の計測結果はどうなっているのでしょう?

ヨガ・瞑想を始める前後で比較すると、全体的な傾向として下記のような結果が見えてきました。

1. 事前よりも瞑想中は集中度が高まり、事後も高まり続けている。
2. 瞑想後、ストレスが下がる。

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実際に参加者からも“瞑想をすることで心に余裕が生まれ、物事をスムーズに進めていくことができるようになった”、“イライラせず落ち着きを取り戻した”という声が聞かれました。

また、回数を重ねることによってこのような効果も望めることがわかりました。

1. ヨガ・瞑想後、Valence(ポジティブ度)が上昇、Arousal(活性度)が減少していることから、ポジティブかつ落ち着いた状態に変化している。
2. 回数を重ねる毎に眠気の覚める度合いも高まり、リラックス度も上がる。

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ヨガや瞑想をすることで眠気が覚めてリラックスすることから、朝や、日中の作業の合間に行うと、その後の仕事もすっきりした状態で取り組むことができそうですね。

まとめ

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今回の体験を通じて、ヨガや瞑想を行うことで短時間でも実際に心がポジティブ且つ落ち着いた状態になり、さらに継続することでその効果を持続できるようになる可能性が見えてきました。

初心者が行ってもこのような結果が得られたので、今度はプロのインストラクターの方々の脳波と比較してみたら、もっと面白い結果が表れるのでは?と思います。

ヨガや瞑想の良いところは自宅でも気軽に取り組めるというところです。皆さんも、ストレスフルな社会の中で心身のバランスを整える身近な方法として、日常のルーティンに取り入れてみてはいかがでしょうか。

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■「フルリモートニューロリサーチ」の活用事例

画像引用(TOP画像):下記URL参照
画像引用(その他) :画像内にリンク貼付


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