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コロナ禍と資金調達環境が冷え込む時代を乗り越えて

電脳交通代表取締役社長の近藤です。昨日、シリーズCラウンド12億円の調達完了をプレスリリースにてご報告させて頂きました。

先ず、新たな株主の皆様、追加出資をいただきました既存株主の皆様、ご相談させていただいておりましたが契約に至らなかった皆様、改めまして、応援をいただきまして誠にありがとうございました。

斜陽産業かつコロナ禍で大ダメージを受けたタクシー業界、そしてIPOやその他Exitなどエクイティストーリーの実績が乏しい地方ベンチャーというラベルのついた我々が、創業時から調達した資金の総額は27億円となりました。

祖父から継いだ家業のタクシー会社の再建に2010年から取り組み、その経験に基づいて2015年12月に共同創業者の坂東(現CTO)と家業のタクシー会社の車庫で創業した電脳交通。創業してから一貫して配車システムやデータ解析ツールなどタクシー業界向けに特化したバーティカルSaaS、そして配車業務BPOサービスの提供など、タクシー事業者の経営支援に特化した事業づくりに取り組んできました。

そんな我々が今回調達した12億円で何を目指すのか。

創業当時、共同創業者で現CTOの坂東と

それは、業界トップシェアを達成し、タクシー会社へ次世代の業界スタンダードとなる配車OSを提供することで、ユーザー(タクシー利用者)の移動体験をより高い次元へと引き上げていきたいと考えています。

創業7年間で電脳交通が積み上げた実績は、サービス提供エリア45都道府県、契約社数約500社、契約タクシー車両数約15,000台、直近3期連続でSaaS契約台数は前年比200%越えの伸びとなっており、当社システムを経由して配車マッチングされる注文数は全国で年間1,700万件に上ります。

現在、タクシー業界は乗務員不足や高齢化が原因で営業車の稼働率が大幅に低下し、配車マッチング率が2020年は78.3%、2021年は74.8%まで低下しており、地方を中心に「タクシーが手配できない時代」に突入しています。(引用:自社調査データ)

タクシー業界、特に地方部の事業者がこの時代に本質的に求めるものは、新たな顧客獲得や需要創出ではなく、限られた稼働タクシー車両数で既存の需要を取りこぼすことなく対応し、交通インフラとしての最低限の役割を先ずは果たすことだと我々は考えています。

それらの課題解決にタクシー業界とともに取り組みたいと思い、2023年2月にSaaSプロダクトであるクラウド型タクシー配車システム『DS』の新パッケージ『DS Smart』を開発。タクシー1台あたりの生産力を最大まで高める配車ロジックの最適化や、従来はオペレーターが対応していた業務を自動化させることで省人化につなげ、限られたタクシー車両数で多くのお客様に配車を行うオペレーションをローコストで構築できる環境をタクシー事業者へ現在提供しています。

乗務員用車載タブレットを操作する様子

「申し訳ございません、現在空車タクシーがなく迎えにあがることができません。」
タクシー業界が利用者に提供するUI/UX論の出発点は、まずこの会話をなくすことから始めなければいけないと考えています。

利用者、事業者それぞれにとって最適な体験を提供できる状態にすることが、タクシー業界に求められるDXの役割そのものだと考えており、配車アプリを中心に進むタクシーサービスto C領域のDXだけでなく、タクシー事業者自体のDXも並走させることが必要であり、その推進力を生み出すエンジンとなりたいという強い意志を我々は持っています。これが、我々が業界トップシェア達成に強い拘りを持つ理由です。

SaaSやBPOのシェア拡大戦略としての施策をいくつか打ち出してとしていますが、現在最も力を入れているのがコミュニティマーケティングの一環として取り組む「アンバサダー制度」です。当社のSaaSやBPOをご利用いただいておりますユーザー企業様の経営者へ導入の意思決定をどのタイミングで行ったかをお聞きすると、「実は電脳交通の既存ユーザー企業へ訪問して運用している現場を見て決めたんだよ。」とおっしゃる方が最も多いです。

そこで我々は、プロダクト導入後に現場のパフォーマンスが飛躍的に向上した事業者様へ相談し、当社システムの運用方法の紹介や視察の受け入れなどのご対応をいただく「アンバサダー企業」として複数社に公式にお力添えを頂くことにさせていただきました。

アンバサダー企業の皆様とタクシー業界から真に求められるシステム開発の方向性をともに吟味し、経営改革に取り組む全国の事業者を巻き込み、業界全体を巻き込んでDXを加速させ、結果として当社プロダクトのシェアが向上する状況になればと考えています。

アンバサダー制度を発表させて頂いた今年2月のイベントの様子。多くのタクシー事業者様に参加頂きました。

電脳交通は、株主の皆様だけでなく、顧客であるタクシー事業者の皆様とともにプロダクトを育ててきました。我々が今回のシリーズCラウンドで投資家の皆様へ提案したエクイティストーリーも、コミュニティマーケなどの施策が極めて低いチャーンレート1%未満という強い数字を生み出し、SaaSやBPOの高い成長率を支え続けてくれているからだと考えています。

家業のタクシー会社の車庫で坂東とシステム開発をはじめて7年が経過し、数多くのハードシングスを乗り越え、思えば遠くへ来たもんだということなのですが、我々の現在地はまだまだ第1章にすぎないと感じています。先ずはタクシー業界でトップシェアの獲得を目指しておりますが、今後はバーティカルSaaSから染み出す機能を拡張させることや、異業種領域への水平展開を行うことで、より多くの市場へアクセスできる事業へと成長すると確信しています。

改めまして、今回応援いただいた株主の皆様、既存株主、従業員、クライアントの皆様とともに、日本のタクシーが今まで以上にユニバーサルなサービスとなり、利用者にとって生活に欠かせない存在となれるよう、腰を据えて事業づくりに取り組んでいきたいと思います。

シード、シリーズA、シリーズBとラウンドを重ねるごとに、もっと小慣れた経験談を語る余裕が身についてくればよいのですが、毎回払い込み金額の記帳を終える度に、ふと「困ったときに手を差し伸べてくれる方がいる。結局今回も助けてもらったなぁ。」と感謝と安堵で力が抜けます。

シリーズA出資が決まった時の写真、GO株式会社(旧JapanTaxi)川鍋会長と

今回のラウンド、最後の最後にとあるハプニングが起こり、目標調達金額の12億円が集まらないかもしれない状況に陥りました。その際に「12億集めると覚悟決めてやってきたんだろ、絶対最後までやり切れ!」とチームを突き放したのですが、みんなのピンチから這い上がる徹底力が実を結び、計画通りの着地を決めてくれました。

CFO不在のなか総力戦で挑んだシリーズCのプロジェクトチームのみんな、本当よく頑張った!ありがとう。4月から新たな仲間を迎え入れ、また新たな物語が始まっていきます。多くの困難が待ち受けていると思いますが、電脳交通が日本を代表する企業へと成長できるよう、引き続き腰を据えて事業づくりに取り組んでいきましょう!

おわり


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最後までお読みいただきありがとうございました。

電脳交通は、事業拡大と今後の徳島における正社員・アルバイト採用強化のため、本社オフィスを徳島駅前・アミコ東館6階へと移転しました。電脳交通でのお仕事に興味を持った方は、ぜひサイト採用サイトもご覧ください。

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