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素人ナチュールワイン屋の戯言 〜土壌と水〜

ブドウ栽培においては、木の根を出来るだけ地中深くまではらせることが重要です。

当たり前ですが、深く伸びた根は水やミネラルなどの養分を地中から吸い上げるからです。


前回の記事で書きましたが、同時に光合成を行い二酸化炭素を利用して光合成を行い

ショ糖を合成するんでした。

ショ糖を果実により多く届けることができれば凝縮感が高まります。

そのために仕立てと剪定の作業があります。

ブドウの根の張り方は、土壌のタイプにより変化します。

肥沃な土地では、浅いところでストレスなく水や養分を吸収できます。

そのために放置すると根はあまり伸びず、太くもなりません。

その結果、果実まで栄養が行き届かなくなり

根や枝ばかりが成長します。

土地が肥えていることによる弊害ですね。

逆に水はけの良い、痩せた土壌であれば

ブドウの根は水や養分を求めて頑張ります。

地中深く、岩盤に到達するレベルで成長します。

そのために果実にしっかりと水や栄養が運ばれて

収穫を迎える頃にはブドウの個性がぎっしりと詰まった素晴らしい味わいになります。

人もそうですが、甘ったれた環境では成長しません。

獣医なんかも開業している人はスーパーブラックな環境で働いてきた人ばかりです。

24時間あったら25時間勉強するんです。

そう教わりました。

かようにブドウは適度なストレス下でこそ最高なパフォーマンスを発揮できます。

19世紀半ばにフランス南部のラングドックの肥沃な土地で栽培したアラモンという黒ブドウ品種から

ワインを製造したところ、とても売り物にならない代物になったらしいです。

ブドウの木はハーブ系植物と同様に主根から枝分かれした多くの側根が

表層の下にある地層まで水や養分を求めて深く伸びるという特徴があります。

畑の水はけの良さがブドウの品質に直結していると言われるのもこれが理由です。

数年前にボルドーのメドック地区で調査された論文でもこれを証明しています。

メドックは元々水はけの良い砂利質土壌で知られていますが

ある丘の斜面に位置する畑でさらに水はけをよくした結果

ブドウの品質がより一層向上したということでした。

このように水はけの良さがブドウの品質に直結していることは広く知られていますが

実は土壌のタイプがもたらすブドウへの違いはよくわかっていません。

その理由の一つにブドウのきの生活環境への適応能力の高さが挙げられます。

また、さらにややこしくしているのは生産地の地域特性です。

例えば、フランスの中でもロワールのサンセールやシャンパーニュのようなアルカリ性土壌が広がる地域では

白ブドウ品種の個性を強調する傾向があるのに対し

前述のメドックのような砂利質土壌の地域では

黒ブドウ品種の特化した栽培を行っています。

とはいえ、これはあくまでも傾向であるために

土壌のタイプとブドウ品種の関係性についてはさらなる研究が必要です。

あえて、科学的知見からこういう記事を書いていますが

僕らはナチュールを主に扱っています。

どこまでもロジカルにできない点に惹かれてもいるわけです。

研究が進むのは嬉しいですが、少し矛盾する気持ちもありますね。

また、ブドウの品質は栽培密度にも密接に関係しています。

なぜなら、表層やその下の地層から吸い上げ、果実にまで送り届けられるミネラルや風味物質の前駆体である養分の量は

栽培密度により大きく変わります。

これを逆に利用してやると

肥沃な土地では、栽培密度を高くすれば

ブドウ同士が競争して頑張ります。

痩せた土地ではその逆ですね。

キーポイントはストレスを適度に与えることです。

近年ではブドウの畝にハーブなどの植物を植える取り組みも世界各地で行われています。

これも植物の競争原理を利用したもので

ブドウの木の根の発達を促し、果実の風味を豊かにするために行われています。

雨が多い年には周りの植物が土壌の余分な水分を吸収してくれるので

ブドウの凝縮感が増す効果も期待できますね。

さらに、これらの植物をブドウの成長期に刈り込み

カバークロップと呼ばれる表層を覆うための植物として利用すれば

ブドウの成長に必要な窒素を土壌に返すこともできるわけです。

こうした様々な効果を得られることから

ブドウ農家の中には、それぞれ畝の間にどのような植物の種をまくか考慮している人もいるわけです。

知識があるとより楽しいワイン。

僕らも素人です。一緒に勉強しましょ。

オルタナチュール!

是非とも、静岡市葵区のナチュールワインバー。

Alternaへ。

https://instagram.com/alterna.tive0921?igshid=YmMyMTA2M2Y=


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