旅系じゅうい系

獣医です。

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最近の記事

北欧紀行 〜フィンユールの家〜

コペンハーゲン中央駅から電車に乗り40分ほど。 本当にあってる?と疑いたくなるような閑静な住宅街(とても綺麗)を抜けて 30分くらい歩くと フィンユールの家がある。 正確にはフィンユールの家が展示されている現代美術館がある。 言わずもがななので、語るのをやめよう。 美術館に併設するカフェでコーヒー飲んで帰ります。

    • 「猫かぜ」って何? 〜保護猫活動されている方、猫さん飼われている方に知っておいて欲しいこと〜

      猫さんの代表的なウイルス感染症として

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      • 猫さん好きには絶対知っておいて欲しい。甲状腺のはなし。最終章

        今日は診断の仕方について書いてみます。 ポイントは獣医師が甲状腺機能亢進症の可能性に気付けるか否かです。 気づきさえすれば、診断は簡単です。 例えば、持っている病院さんにはFUJIFILMのこの機械が入っていて 甲状腺ホルモンを院内測定することが可能です。 甲状腺ホルモンの中にも種類があるので詳細は書きませんが まあ、これである程度の評価は可能です。 じゃあこの検査を健康診断で乱れ打ちすりゃあいいんじゃないか? と問われれば、まあそうかもしれません。(少なくと

        • 猫さん好きには絶対覚えておいて欲しい甲状腺のおはなし。その2

          今日も猫さんの甲状腺機能亢進症についてです。 よかったら前記事もお読みください。 〜甲状腺ホルモンが多すぎることによる体への影響〜 1:全身の代謝亢進 甲状腺ホルモンは全身の組織で 代謝を活性化し、エネルギー消費を亢進します。 エネルギーを使いすぎるので 体重減少が起こり、場合によってはガリガリになります。 脂質だけでなく、たんぱく質も異化(必要なエネルギーに変えること)亢進するので 脂肪だけでなく、筋肉も減っちゃいます。 エネルギー不足になると、それを補

        北欧紀行 〜フィンユールの家〜

          猫さん好きには絶対覚えて欲しい。甲状腺のおはなし。その1

          〜はじめに〜 甲状腺機能亢進は猫において最も多く診断される 内分泌疾患です。 え?つまりは糖尿病より多いということですね。 甲状腺機能亢進症では 甲状腺ホルモンの過剰分泌によって 全身の代謝亢進が生じることで 様々な臨床症状が生じます。 今回は第一回ということで「病態」について語ります。 病院でこんなことが起こりますよと 全部をinformすることはなかなか物理的に難しいです。 「何で?」おこるかまでは中々説明できません。 だって説明し過ぎでも上手なi

          猫さん好きには絶対覚えて欲しい。甲状腺のおはなし。その1

          その膵炎は本当に膵炎?エビデンスで考えてみよう。

          今回は猫さんの膵炎です。 2020年にACVIMのコンセンサスが得られました。 (今までの論文を公式にまとめて、病気についての定義や方針を定めてくれています) 結論から言うと やはり定義上でも診断は病理組織検査になるので 慢性膵炎なら「生検」が必要です。(お腹あけるか腹腔鏡で組織をとって検査します) 急性膵炎は臨床症状と検査パネルをうまく組み合わせて判断して診断します。 急性膵炎と慢性膵炎では治療方針が全然異なるため 必ず分類が必要(急性?慢性?)です。 慢

          その膵炎は本当に膵炎?エビデンスで考えてみよう。

          うちの子よく吐いたり下痢するんだよね。がなあなあになってませんか?慢性腸症に対する新しい知見と動物病院の変な治療。

          なんだかよく吐いたり下痢したりで病院にかかるけど なんとなくその時によくなっちゃうんだよね。 とか ずっと嘔吐や下痢で病院かかってお薬飲んでるんだけど よくならないんだよねとか そういうことってないですか? 面白い講演を聞いたので、ご紹介します。 ::::::::::::: まずは問診と身体検査がすごく大事だよというお話です。 行くたびにしっかり身体検査してもらえてますか? 身体検査ではこういうものを見ています。 1:バイタル:活動性、意識レベル、脱水、

          うちの子よく吐いたり下痢するんだよね。がなあなあになってませんか?慢性腸症に対する新しい知見と動物病院の変な治療。

          猫の慢性腎臓病にすごく効くラプロスというお薬。それって本当?

          猫さんで慢性腎臓病が多いのは周知のとおりです。 特効薬というのはないのですが 4年前に「ラプロス」というお薬が出てきました。 このお薬に関するご質問が非常に多いんです。 なのでラプロスと慢性腎臓病について書いてみます。 結論から申し上げると、僕は非常に懐疑的です。 腎数値だけみて腎臓病だと診断し 処方する獣医師のどれだけ多いことか。 そして腎臓の値だけで、治療の良し悪しを判断すべきでないと思います。 :::::::::::::::: 慢性腎臓病が徐々に悪化

          猫の慢性腎臓病にすごく効くラプロスというお薬。それって本当?

          犬猫さんの歯周病の新しい治療法?無麻酔でできる?

          歯周病というのは顎の感染症です 歯の病気ではありません 何を言いたいかというと 歯が汚いからといって歯周病とは限りませんし 汚くないからといって歯周病ではないとは言えないんです 歯周病にもランクがあります 歯肉炎 → 軽度歯周病 →中等度歯周病 → 重度歯周病 といったところです 歯肉炎の時点で治療介入できなければ 歯周炎(上記の中等度歯周病クラス)になると 歯槽骨という顎の骨が破壊され始めますので 治療しても元の組織には戻りません 逆にいうと歯肉炎の

          犬猫さんの歯周病の新しい治療法?無麻酔でできる?

          猫さんの歯肉口内炎 part4 猫さん好きには知っておいてほしいあれこれ

          猫の歯肉口内炎は「あるある」な疾患だというお話しましたよね 2016年にそれまで出ていた猫の慢性歯肉口内炎521本を総まとめにした 論文が発表されてます 結論ですが 完治を目的とする場合は外科が最も効果的 すなわち 様々な要因が疑われる中 抗原刺激となる原因を口腔内から除去し 炎症(不適切な免疫応答)を食い止めることが現状での最良の治療です ということを前提に内科的治療を書いていきます まず簡単に羅列してしまいますと ・ 抗生剤 ・ インターフェロン ・

          猫さんの歯肉口内炎 part4 猫さん好きには知っておいてほしいあれこれ

          猫さんの歯肉口内炎 part3 猫さんを飼われてる方には知っておいてほしい

          何回かに渡って猫の歯肉口内炎について書いています 基本は外科(スケーリングも含める)ということを念頭において 外科手術後 どうしても外科に不安がある 全身麻酔のリスクが高い(ちゃんと評価してね) という方に対してこういう治療も一つ提唱はされています のでご紹介をします これはあくまで犬のために作られた薬剤です 内容はインターフェロン製剤です ここでは詳しく触れません これを猫のために使います 犬の使用方法とは異なります 1回分(0.25g)を水道水5m

          猫さんの歯肉口内炎 part3 猫さんを飼われてる方には知っておいてほしい

          猫さんの歯肉口内炎について part2 保護猫活動されている方には知ってほしいあれこれ

          さてPART1では猫の歯肉口内炎は単なる歯周病の延長ではないんだよ ということを定義や分類をお話しすることで示しました 今回はもう少し掘り下げて見ましょう 1:歯肉口内炎は非特異的な臨床兆候を呈します これが出てたら口内炎だねというような臨床所見はありません 羅列します ・ 下顎リンパ節の腫脹 ・ 口の中の痛み ・ よだれ ・ 飲み込みにくい ・ 口臭 ・ 食欲低下 ・ 口の中から出血 ・ 毛艶がない ・ 体重が落ちる ・ 口を開けるのを嫌がる ・ 食後に食べたもの

          猫さんの歯肉口内炎について part2 保護猫活動されている方には知ってほしいあれこれ

          猫さんの歯肉口内炎 part1 猫さんを飼われている方には知っておいてほしいあれこれ

          昔からある治すことの出来ない疾患で いろんな病名で呼ばれてます 最近では「慢性歯肉口内炎」と統一されて呼ばれることが多いです はじめに大事なことを書いときます 歯肉炎や歯周病と歯肉口内炎は異なります したがって、治療法も異なるので(かぶるところはありますが) しっかり診断してもらうことが大事です これが歯肉口内炎の写真です 結論から言うと、基本は抜歯(外科処置)が第一選択で 内科は治りにくくするだけです 処置後の画像 後ろの方の歯が抜かれることで 炎症

          猫さんの歯肉口内炎 part1 猫さんを飼われている方には知っておいてほしいあれこれ

          動物病院で腎臓病にされてるかもしれない 〜あなたの猫さんは大丈夫?〜 〜実は怖い痛み止め〜

          ごめんなさい 少し煽る感じですかね 一般的に処方される「痛み止め」は必要なときには絶対必要です 「痛み」に対しての介入は「生活の質」をあげてくれますし 僕の考える医学の最も根幹を成す部分だと思います :::::::: じゃあ何が怖いのか 結論から言うと 「腎臓病を誘起する可能性がある」 という点に尽きると思います 少し細かく見て見ましょうか

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