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自分マガジン お薦め本

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私が読んで面白かった本を紹介します。ジャンルは様々です。世間に余り知られていないであろうマイナー本から、メジャーな本まであります。
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#エッセイ

お勧めシリーズ本#7 大沢在昌『新宿鮫シリーズ』

『新宿鮫シリーズ』は、大沢在昌さんのハードボイルド小説シリーズです。主人公は、新宿署に勤める”訳あり刑事”・鮫島です。Wiki情報で始めて気が付きましたが、主人公・鮫島の下の名前は明らかにされていません。映画では真田広之さん、テレビドラマでは舘ひろしさんが主役の鮫島を演じていますが、私の中の鮫島のイメージは常に真田さんです。 このシリーズは、新宿署の鮫島警部を主人公とする硬派な警察小説のシリーズ。現実の刑事の捜査は二人組のチームで行われますが、鮫島はボッチの”はぐれ刑事”状

お勧めシリーズ本#6 『百鬼夜行シリーズ』

久しぶりに本の紹介をします。『百鬼夜行シリーズ』は、京極夏彦さんが書いた妖怪をモチーフにした推理小説です。このシリーズには、主人公と呼べる人が数名いますが、謎解き役である古書店主・中禅寺の屋号から京極堂シリーズと呼ばれることも多いようです。しかし、作者の京極先生はシリーズ名を特定はしていないみたいです。 このシリーズに出会ったのは、京極先生のデビュー作である『姑獲鳥の夏』でした。京極先生の書名には難読漢字が多く、ルビが無いとほとんど読めません。これが、このシリーズの一つの特

料理マンガの先駆け 『包丁人味平』

『包丁人味平』は、原作が牛次郎先生、漫画がビッグ錠先生の料理漫画です。主人公の塩見味平は、熱血漢のコック見習いでしたが、”訳あり料理人”との交流で料理の奥深さに触れ、ライバルとの料理対決や仲間との協力を経て、料理人として成長していきます。 この漫画は、1973年から1977年にかけて『週刊少年ジャンプ』に連載されていて、私はリアルタイムで読んでいました。また、はじめて自費で買った単行本(全23巻)が、この漫画でした。オリジナル単行本は現在は古書になっていますが、コンビニコミ

偉人の別の顔#4 地質学者・ゲーテ

 ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)は、ドイツを代表する文豪であり、小説『若きウェルテルの悩み』、叙事詩『ヘルマンとドロテーア』、詩劇『ファウスト』など広い分野で重要な作品を残しました。日本では、文豪としてのイメージが強いのですが、ゲーテは多才で政治家・法律家・哲学者としての顔を持ち、さらには色彩論・形態学・生物学などの自然科学にも研究成果を残しています。  Goetheの日本語表記は、今では”ゲーテ”に統一されて

お勧めシリーズ本#5 『池袋ウエストゲートパーク』シリーズ

  『池袋ウエストゲートパーク』は、石田衣良さんの連作短編小説集シリーズです。 このシリーズは、ここで紹介する必要がないほど、有名なシリーズ本です。 略称はIWGP(=Ikebukuro West Gate Park)ですが、プロレス好きならIWGPが新日本プロレスが開催したIWGP(International Wrestling Grand Prix;国際レスリング大賞)リーグ戦の名称と同じ略称であることがすぐにわかります。 石田さんは、ひょっとするとプロレスファンなのかも

驚きの発想#1『重力への挑戦』

 小説は、ストーリーが面白くなければ印象に残りませんが、状況や主人公の設定自体が面白いと思った本が、結構あります。何回続くかわかりませんが、個人的に面白いと思った作品を少しづつ紹介したいと思います。  サイエンスフィクション(SF; 空想科学小説)は、それこそ発想が自由で、色々な状況や主人公が設定できます。しかし、ホモサピエンスであるSF作家は意外と保守的で、宇宙人(異星人)にもその保守性が色濃く残っています。確かに、多種多様な○○星人がいますが、バルタン星人やメトロン星人

お勧め”シリーズ本”#3 「刑事マルティン・ベック」シリーズ

 今回は、ちょっと渋めの警察小説を紹介します。マルティン・ベックは、マイ・シューヴァルとペール・ヴァールーの夫婦が合作した警察小説に登場する架空の警察官です。アメリカや日本でも、二人の合作によるミステリーはありますが、夫婦合作というのは大変珍しいと思います。また、この物語の舞台は、北欧スウェーデンの首都であるストックホルムです。  マルチン・ベックを主人公とした長編10冊からなるこのシリーズには、「犯罪の物語」というシリーズ名がつけられているそうです。このシリーズ本の邦題は

お勧め”シリーズ本”#2 『徳川家康』

 戦国時代の三英傑の一人・徳川家康は、知らない人がいない超有名な戦国武将です。これまた超有名な豊臣秀吉の死後、関ヶ原の戦いや大坂冬の陣&夏の陣で豊臣氏を滅ぼし、265年間も続く江戸幕府を開いた初代将軍です。  小説『徳川家康』は、歴史小説家の山岡荘八さんが書いた徳川家康が主人公の長編歴史小説です。元々は、新聞に連載された連載小説でしたが、その後18年かけて完成させた大河小説です。この本は、幅広い読者を獲得して、累計5000万部突破という戦後最大のベストセラーとなります。この

お勧め”シリーズ本”#1 『赤頭巾ちゃん気をつけて』

 ”赤頭巾”は、グリム童話などに収録されている有名な童話です。ストーリーの詳細は知らなくても、”赤頭巾”は知っているはずです。でも今ドキ、頭巾という言葉は死語で、ほとんど使われていません。頭巾で思い付く言葉は防空頭巾(今なら防災頭巾?)くらいです。  この赤頭巾をモチーフにした小説が、庄司薫さんの『赤頭巾ちゃん気をつけて』です。庄司さん(男性)は、この小説で1969年の芥川賞を受賞しています。本の中身は、読んでから楽しんでもらうことにして、時代背景だけを掻いつまんで説明しま

オヤジの読み聞かせ(番外編) 『シナの五にんきょうだい』

 読み聞かせの記事はまだ一つしか書いてないのに、いきなり番外編です。今回は、私が子供の時に好きだった昔話の思い出を書きます。 『シナの五にんきょうだい』は、「昔シナの国に、姿かたちがそっくりの5人きょうだいが、お母さんと一緒に暮らしていました。兄弟は5人ともそれぞれに不思議な力を持っています。一番上のにいさんは、海の水を全部飲み干すことができました。ところがある時事件に巻き込まれてしまい・・・」というあらすじの古典の名作です。  しかし、この絵本の歴史には浮き沈みがあって

図鑑ブームが来ています。

 出版業界はずいぶん前から不況と言われ、特に雑誌の売れ行きが悪く、廃刊になる有名な雑誌もよく耳にします。雑誌以外でも紙の本は敬遠されがちで、電子書籍などに押され気味です。しかし、この出版不況の中でも一人息を吐いている本のジャンルがあります。それは『図鑑』です。  図鑑は昔からありますし、私も子供の頃に大好きだった本です。字を読むのが面倒くさかった小学校低学年のころは、読書と言えば図鑑ばかり読んでいました。好きだったのは動物図鑑でしたが、今のようなキレイ写真ではなく、多くがイ

お薦めマイナー本#14 『楔形文字を書いてみよう 読んでみよう』

 楔形文字は、メソポタミア文明で使用されていた古代文字です。通常、楔形文字を書く場合には、水で練った粘土板に、葦を削ったペンが使われました。粘土板の最古の出土品は、紀元前3400年にまで遡ることができるそうです。古代エジプトの象形文字は紀元前3200年前後から使われていたので、文字としては人類史上最も古いものの一つです。  メソポタミアとは2つの河のあいだにある土地のことを指します。メソポタミアは、メソ(中間の)+ポタ(河)+ミア(土地)と分割できます。微視的な大きさはマイ

お薦めマイナー本#13 『物理数学の直観的方法 』

 この本『物理数学の直観的方法』は、大学院生の頃に読み、衝撃を受けました。それまでの、応用数学/物理数学の教科書は、数式が並んでいるだけの無味乾燥な本でしたが、本書は数式の物理的な意味を具体例を挙げて説明している点が独特でした。  物理現象をシミュレートする場合、複雑な物理現象を単純化した数学モデルの構築が必要です。この数学モデルは、一般的には偏微分方程式で表されます。例えば、電磁気学の基礎であるマクスウェル方程式は、いくつかの連立偏微分方程式です。この方程式にはrot(ロ

お薦めマイナー本#12 『生物ミステリーPRO 』古生物シリーズ全10巻

 マニアと言うほどではありませんが、古生物が好きです。恐竜は小さい頃から好きですが、恐竜以外の爬虫類・両生類・哺乳類などの今は絶滅している動物たちも好きです。今では見ることのできない古生物の姿を想像することは、何とも科学的なロマンを掻き立てられます。  そんな古生物ファンに贈る、ビジュアル読み物シリーズが、『生物ミステリーPRO 』古生物シリーズ全10巻です。このシリーズは、地質年代毎に古生物を化石写真と復元イラストで紹介しています。エディアカラ紀からはじまったこのシリーズ