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自分マガジン お薦め本

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私が読んで面白かった本を紹介します。ジャンルは様々です。世間に余り知られていないであろうマイナー本から、メジャーな本まであります。
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記事一覧

お薦めマイナー本のまとめ#1

メジャー(多数派)の反対がマイナー(少数派)です。スポーツの世界には、メジャーリーグの野球やプロリーグのサッカーのように、多くの人達に興味を持たれている人気のスポーツがありますが、その反対に”ごく限られた”国や地域だけで人気のあるマイナーなスポーツもあります。タイトル画のセパタクローもそんなスポーツの一つです。 このブログでは、日の当たらない”マイナーな本”に焦点を当てて紹介してきました。もちろんこれは、私個人の勝手な好みで選んだものです。ここでは、そんな過去の記事をまとめ

どうする”影武者”家康

NHKの『どうする家康』では、遂に本能寺の変のエピソードに突入しました。本能寺の変では、明智光秀が織田信長を殺害するわけですが、その理由は未だに解明されておらず諸説あります。家康黒幕説や秀吉黒幕説など、信長以後に天下人となった人には、”天下統一”という動機があるので、状況証拠はそれなりにあります。 家康には、信長に正室である築山殿と嫡男・信康を自害させられた個人的な恨みもあったのかもしれません。ただし、これは現在の倫理観で考えているだけで、戦国時代の倫理観には当てはまらない

お薦めマイナー本#15 『図解 財宝発掘マニュアル』

久しぶりに、このカテゴリーの記事を書きます。実は、”お薦めマイナー本”の企画は、すっかり忘れていました(笑)。 「海賊王に、俺はなる!」といったマンガの主人公は、”ワンピース”と呼ばれる、手にした者が“海賊王”になれるというお宝を探し求めています。海賊王でなくても、隠された秘宝や埋蔵金の発見は、男のロマンです。 銭貨や家財などの財宝が、所有者が回収を予定した秘匿目的で、一時的な保管のために埋納されたのに、戦争などの混乱によってその場所が不明となることがあります。このように

小説家デビューは難しい!

”小説家”や”作家”の響きには憧れるし、印税生活が出来れば、こんな嬉しいことはありません。なりたい理由は様々でしょうが、小説家になりたいと考えている人は5~10万人位いるそうです。しかし、小説の執筆だけで生計を立てられる人は、多くても200人程度だと考えられています。 この人数は、日本のプロ野球の一軍のレギュラーメンバーの人数と同じくらいです。つまり、一流の小説家はそれくらい貴重で珍しいのです。その中でも、ベストセラーを連発する超売れっ子作家は、さらに数が絞られます。 一

オヤジの読み聞かせ#3 『ジャムつきパンとフランシス』

絵本”フランシス・シリーズ”は、『おやすみなさいフランシス』から始まる5冊の絵本です。文はラッセル・ホーバンで、シリーズの最初だけは絵がガース・ウィリアムズですが、それ以外の本の絵はリリアン・ホーバンになっています。また日本語訳は松岡享子さんです。 この絵本シリーズの主人公・フランシスは、アナグマの女の子です。主人公が日本人には馴染みのないアナグマなので、絵を見ても性別がイマイチよくわかりません。この本は、子供が小さい時に何度も読み聞かせた記憶があります。家にはシリーズ5冊

お勧めシリーズ本#10 『Princeton Field Guide』シリーズ

記念すべきお勧め本の第10弾は、ちょっと趣向を変えて洋書です。しかも洋書の図鑑です。恐竜の洋書については、以前にも紹介したことがあります。今回紹介する本も前回同様、超お勧めの本です。 この本は”The Princeton Field Guide to”ではじまるシリーズ本で、今のところ「Dinosaurs(恐竜)」「Pterosaurs(翼竜)」「Mesozoic Sea Reptiles(中生代の海棲爬虫類)」の三冊が刊行されています。作者はGregory S. Paul

お勧めシリーズ本#9 大沢在昌『坂田勇吉シリーズ』

前々回に大沢在昌さんの『新宿鮫シリーズ』を紹介しましたが、同じ作家さんの”マイナーだけど面白いシリーズ”を思い出したので、是非紹介したいと思いました。そのシリーズが、『坂田勇吉シリーズ』です。シリーズといっても、まだ三冊しか出ていません。また、作者自身が三冊目で終わりと宣言しているので、続編は期待できません。 新宿鮫の主人公である鮫島は、アウトローのキャリア官僚で、頭も良いし、腕っぷしもそれなりにあります。しかし、本シリーズの坂田勇吉は、本当に普通のサラリーマンです。頭が切

お勧めシリーズ本#8 森博嗣『S&Mシリーズ』

森博嗣先生は、理系ミステリィのトップランナーです。森先生自身が、某国立大学の建築学科の助教授であったことからもわかりますが、ガチの理系です。ベストセラー作家・東野圭吾先生も理系出身で、『探偵ガリレオ』シリーズの理系ミステリィを書いていますが、作風が全く違います。個人の感想ですが、森先生は感情を抑えたドライ(乾いた)文章で、東野先生は情緒に訴えたウェットな(湿った)文章です。同じ理系ミステリィでも、趣(文体)が全く異なります。 森先生は、主な登場人物が異なる様々なシリーズを書

お勧めシリーズ本#7 大沢在昌『新宿鮫シリーズ』

『新宿鮫シリーズ』は、大沢在昌さんのハードボイルド小説シリーズです。主人公は、新宿署に勤める”訳あり刑事”・鮫島です。Wiki情報で始めて気が付きましたが、主人公・鮫島の下の名前は明らかにされていません。映画では真田広之さん、テレビドラマでは舘ひろしさんが主役の鮫島を演じていますが、私の中の鮫島のイメージは常に真田さんです。 このシリーズは、新宿署の鮫島警部を主人公とする硬派な警察小説のシリーズ。現実の刑事の捜査は二人組のチームで行われますが、鮫島はボッチの”はぐれ刑事”状

お勧めシリーズ本#6 『百鬼夜行シリーズ』

久しぶりに本の紹介をします。『百鬼夜行シリーズ』は、京極夏彦さんが書いた妖怪をモチーフにした推理小説です。このシリーズには、主人公と呼べる人が数名いますが、謎解き役である古書店主・中禅寺の屋号から京極堂シリーズと呼ばれることも多いようです。しかし、作者の京極先生はシリーズ名を特定はしていないみたいです。 このシリーズに出会ったのは、京極先生のデビュー作である『姑獲鳥の夏』でした。京極先生の書名には難読漢字が多く、ルビが無いとほとんど読めません。これが、このシリーズの一つの特

料理マンガの先駆け 『包丁人味平』

『包丁人味平』は、原作が牛次郎先生、漫画がビッグ錠先生の料理漫画です。主人公の塩見味平は、熱血漢のコック見習いでしたが、”訳あり料理人”との交流で料理の奥深さに触れ、ライバルとの料理対決や仲間との協力を経て、料理人として成長していきます。 この漫画は、1973年から1977年にかけて『週刊少年ジャンプ』に連載されていて、私はリアルタイムで読んでいました。また、はじめて自費で買った単行本(全23巻)が、この漫画でした。オリジナル単行本は現在は古書になっていますが、コンビニコミ

偉人の別の顔#4 地質学者・ゲーテ

 ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)は、ドイツを代表する文豪であり、小説『若きウェルテルの悩み』、叙事詩『ヘルマンとドロテーア』、詩劇『ファウスト』など広い分野で重要な作品を残しました。日本では、文豪としてのイメージが強いのですが、ゲーテは多才で政治家・法律家・哲学者としての顔を持ち、さらには色彩論・形態学・生物学などの自然科学にも研究成果を残しています。  Goetheの日本語表記は、今では”ゲーテ”に統一されて

お勧めシリーズ本#5 『池袋ウエストゲートパーク』シリーズ

  『池袋ウエストゲートパーク』は、石田衣良さんの連作短編小説集シリーズです。 このシリーズは、ここで紹介する必要がないほど、有名なシリーズ本です。 略称はIWGP(=Ikebukuro West Gate Park)ですが、プロレス好きならIWGPが新日本プロレスが開催したIWGP(International Wrestling Grand Prix;国際レスリング大賞)リーグ戦の名称と同じ略称であることがすぐにわかります。 石田さんは、ひょっとするとプロレスファンなのかも

驚きの発想#1『重力への挑戦』

 小説は、ストーリーが面白くなければ印象に残りませんが、状況や主人公の設定自体が面白いと思った本が、結構あります。何回続くかわかりませんが、個人的に面白いと思った作品を少しづつ紹介したいと思います。  サイエンスフィクション(SF; 空想科学小説)は、それこそ発想が自由で、色々な状況や主人公が設定できます。しかし、ホモサピエンスであるSF作家は意外と保守的で、宇宙人(異星人)にもその保守性が色濃く残っています。確かに、多種多様な○○星人がいますが、バルタン星人やメトロン星人