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小説家デビューは難しい!

”小説家”や”作家”の響きには憧れるし、印税生活が出来れば、こんな嬉しいことはありません。なりたい理由は様々でしょうが、小説家になりたいと考えている人は5~10万人位いるそうです。しかし、小説の執筆だけで生計を立てられる人は、多くても200人程度だと考えられています。

この人数は、日本のプロ野球の一軍のレギュラーメンバーの人数と同じくらいです。つまり、一流の小説家はそれくらい貴重で珍しいのです。その中でも、ベストセラーを連発する超売れっ子作家は、さらに数が絞られます。

一般的に、小説家としてデビューするには以下のようなルートがあります。①著名な新人賞やコンテストに応募する
②出版社に持ち込む
③小説投稿サイトに応募する
④個人ブログやSNSなどで発表する
⑤自費出版

③と④はヤル気さえあれば、ほぼ無料で小説を発表することができます。このレベルでは、”自称・小説家”で、野球で言えばクラブ活動の野球や草野球レベルです。残念ながらこのレベルでは、小説でお金を稼ぐことはできません。⑤は、お金さえ出せば小説を出版できますが、稼ぐ以前にお金を払っていますから、商業作家とは呼べません。

昔は②のように、出版社に持ち込むこともあったようですが、よほどコネがないと”多忙な”出版社の編集者さんに読んでもらうことはできません。小説家希望の人達に平等に与えられているチャンスが、①のコンテストになります。ここで受賞すれば、受賞作を出版してもらえます。しかし、これも野球で例えると、ドラフト会議で指名されてプロ野球に入団した新人、という扱いです。プロ野球のドラフト一位でも活躍できずに辞めていく人がいるように、コンテストで賞を取ったからと言って、その後の活躍が保証されているわけではありません。

このような出版業界の内側を、ミステリー仕立てで書いている小説が『作家刑事毒島』です。小説家であり刑事でもあるという設定自体が珍しいのですが、主人公の作家・毒島ぶすじま真理の”毒気”が際立っています。作者は売れっ子作家の中山七里さんなので、連作ミステリーとしての面白さはもちろんのこと、出版業界の裏側が”フィクションとして”描かれています。小説家を目指している人には、一読の価値がある小説です。

私は、ずいぶん前に購入していたのですが、多くの本に埋もれていて、本の山から今週発掘しました。最近あまり読書をしていなかったので、この週末に一気に読みました。この本は5つの短編からなる連作小説ですが、一話一話に出版界の怨念/情念を感じました。私は”小説もどき”を書いていますが、やっぱり本物の小説家にはなれないことを思い知りました。

この小説の解説の後ろにある”あとがき/注意書き?”がとても洒落ています。最後の二行をそのまま引用します。『この物語は完全なるフィクションです。現実はもっと滑稽で悲惨です。単行本の刊行から二年経過しましたが、状況は悪化の一途を辿っています。

あなたは、これでも小説家を目指しますか?。


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