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お薦めマイナー本#14 『楔形文字を書いてみよう 読んでみよう』

 楔形文字くさびがたもじは、メソポタミア文明で使用されていた古代文字です。通常、楔形文字を書く場合には、水で練った粘土板に、葦を削ったペンが使われました。粘土板の最古の出土品は、紀元前3400年にまで遡ることができるそうです。古代エジプトの象形文字は紀元前3200年前後から使われていたので、文字としては人類史上最も古いものの一つです。

 メソポタミアとは2つの河のあいだにある土地のことを指します。メソポタミアは、メソ(中間の)+ポタ(河)+ミア(土地)と分割できます。微視的な大きさはマイクロスケール、巨視的は大きさマクロスケール、中間的な大きさがメソスケールです。また、ポタは河馬(カバ/ヒポポタマス)の英語の一部にも含まれています。

 ティグリス河とユーフラテス河に挟まれたメソポタミア地域は、降雨量が少ないため植物はあまり育ちませんでした。しかし2つの河が運ぶ良質の粘土に恵まれていました。そのため植物を原料にする紙ではなく、粘土に文字を表わす文化が成立したと言われています。

 私が買ったのは2017年に復刻された復刻版です。この本は130ページ程度の薄い本ですが、結構なお値段です。内容は、楔形文字のことだけではなく、古代メソポタミア文明の歴史についても書かれています。しかし、この本のメインコンセプトは「書いてみよう 読んでみよう」です。本書の前半には、五十音の楔形文字の表記法が、粘土板の写真と共に描かれています。初学者は、この部分を読んだだけで、自分の名前の書き方くらいは分かるようになります。さすがに、一度では覚えられませんが・・・。

 楔形文字を読み書きできれば、周りの人に少しは自慢できるかもしれません。また、たまにはマッタリと楔形文字を眺めながら、時間も場所も遠く離れた古代オリエントの地に、思いを馳せるのも一興かもしれません。


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