無形資産が経済を支配する

ビル・ゲイツ注目、「無形資産」4つの特徴(『無形資産が経済を支配する』書評)

ビル・ゲイツが世界経済最大のトレンドと称する「無形資産」。『無形資産が経済を支配する(Capitalism without Capital)』では、その「無形資産」の重要性と、そのトレンドの中でどのように振舞うべきかの示唆もあり、おすすめです。

900年以上、人類は「有形資産」を数えてきた

本書の冒頭が面白い。

2013年に経営難により15憶ポンドで売却されたスタンテッド空港は、約900年前にはただの田舎町だった。当時の征服王ウィリアムがイギリス全土の土地台帳をつくるための調査を行ったとき、スタンテッド荘園を11ポンドと評価した。

価値は11ポンドと15億ポンドと大きく違う。
数える道具も数え棒とPCで大きく違う。
しかし、「有形資産を数える」という価値の計測方法は900年以上変わっていないという。

マイクロソフトの有形資産は企業価値の1%

しかし、GAFAに代表されるように、目に見える「有形資産」ではなく、ソフトウェアやデータベースなどの目に見えない「無形資産」が企業価値の源泉となる企業は増えている。

2006年に企業価値が世界トップだったマイクロソフトにおいて、有形資産は企業価値の1%にすぎない。

無形資産の種類

企業価値の大半を占める無形資産について、本書では3つのカテゴリーに分けている。

①コンピューター化情報:コンピューターに情報を保存し長期的に有用にするための費用
②イノベーション財産:設計書、マニュアル、特許等(昔から計測されてきた研究開発にかけて費用も含む)
③経済能力:上記①・②に直接かかわらない、ブランド、人材、文化等

無形資産4つの特徴

無形資産には有形資産と異なる特徴がある。
この特徴によってビジネスにおいてポジティブな部分、ネガティブな部分がある。

上図では4つの企業を例に挙げているが、グローバル展開に成功している多くの企業はこの無形資産の特徴を捉えたビジネスモデルを実践している。

経営者が無形資産の特徴を知る重要性はさることながら、企業価値算定を行うアナリストや投資家にとっても必須の考え方であると感じた。

本書の後半では、この無形資産の重要性が増す経済における「競争」「経営」「投資」という領域でどのような振る舞いをすべきかという示唆まで記載があり、おすすめです。

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