マガジンのカバー画像

くらしのともしび

112
病とともに生きること
運営しているクリエイター

#振り返りnote

一歩ずつ導かれて

一歩ずつ導かれて

すすんでゆく病をかかえて
はたらきつづけるわたしに
示されたみ言葉はいましめ

人の命は財産によって
どうすることもできない
(ルカによる福音書 12:15)

それでもしごとをやめたら
暮らせなくなるおそれから
止まりかたを知らなかった



からだを病にむしばまれて
しごとをはなれたわたしに
示されたみ言葉はいざない

私のところへ来て飲みなさい
その人から生きた水が流れ出る
(ヨハネによる

もっとみる
いのちの贈りもの

いのちの贈りもの

病気になったのはなにかの罰と

わずらうことは一度もなかった

自分自身にこころを向けるよう

いのちが届けてくれた贈りもの

神さまから授けられたものだと

うたがいなしにただ感じられた

この感覚はわたしにもふしぎな

人知を超えたいのちのはたらき

***

じぶんを明け渡す

じぶんを明け渡す

なんでも受けいれてきた
こころを試すかのように
あるとき治らない病気が
からだのなかに生まれた



ゆっくり肺をこわされて
呼吸をうばわれるのなら
わたしに息を吹きこんだ
神さまにこころを捧げて



そうして大いなる存在に
病気のからだを委ねたら
ただただ導かれるままに
じぶんを明けわたそうと



なにかをこわされるのは
なにかを与えられるため
いのちの源に抱かれれば
その目的が聞こえ

もっとみる
きずあとのしおり

きずあとのしおり

わたしのからだの片がわには

いくつか傷跡がならんでいる



傷跡はあなたのおはなしの栞

といつかだれかが言っていた

それならこのならんだ傷跡は

わたしのはじめての手術の栞



お医者さんと看護師さんへの

ことばにしきれない感謝の印

たくさんの怖いおもいと涙と

そこからあふれだす感謝の印



わたしのおはなしに刻まれた

このからだにのこる傷跡の栞