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くらしのともしび

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病とともに生きること
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#エッセイ

ほんとうの贈り物

ほんとうの贈り物

ながくは生きられない
難病がみつかったとき
なくなった大切な人が
再会するときをすこし
はやめてくれたのかな
とおもうと安心できた



それから月日がながれ
できないことがふえて
泣いていたときにふと
たくさん楽しいことを
聞かせてほしいという
その人の声がきこえた



そうだ難病があっても
喜ぶことはできるから
日々のくらしのなかに
しあわせをみつけよう
お空でまた会う日まで
いのちを灯

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不便はあたたかい

不便はあたたかい

こまったときにヘルプをたのめる
もよりの事業所さんを探していて
手紙をしたためているところです

というのもわたしは障害のために
お話するのが少しむずかしいから
こんなときは手紙を送るのですが

あまり長く座っていられないので
体のようすを見ながらすこしずつ
何日かにわたって作ってゆきます

びんせんに文字を書いて封をして
ポストに入れたときの気もちには
何ともいえない暖かさがあります

🌸

すきと暮らすこと

すきと暮らすこと

すきなことがわからない
ながされるような暮らし

あるとき病があらわれて
いっしょに生きはじめる



思うように話せないこと
思うように動けないこと

ながれを止めてゆっくり
ただようことを教わった



しずかなことばの書物と
じゆうなみどりの植物と

ことばとみどりがすきと
いつしか自然とわかった



思いをこえていく命から
思いがけないおくりもの

すきなことといっしょに
ゆたかな

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助けを求めること

助けを求めること

なんびょうやしょうがいたちと
いっしょに暮らすまいにちです

ほんのちいさなささいなことで
昨日とてもこまることがあって

いちるの望みでたのんでみたら
だいじょうぶのおへんじでした



こまったときにとじこもらずに
助けをもとめはじめるちからと

さしだされたときためらわずに
救いの手にふれられるこころを

みえないところからひそやかに
あたえてもらった気がしました



どこかで今こまっ

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この月日を慈しむ

この月日を慈しむ

じゅうぶんな休息を祈り
いつの日かの回復を祈り

その暮らしはゆっくりと
わたしに馴染んでいった

もしかしたらこの時間は
ひとときの休みではなく

必ずしも治らなくていい
貴い月日なのだとしたら

それは諦めとはことなる
満たされたしずかなもの

いまここだけをみつめて
ただそこに光をみとめて

たとえ自由にほどとおく
思いのままではなくても

この難病とともにあって
いのちをともす暮らしを

ノートを振り返る

ノートを振り返る

いつも使っていたノートアプリが
いつのまにか保存できなくなって

あたらしいアプリにうつすために
メモを眺めていたら見つけた英語



日本語を紡ぎながらおもいだした
たしかメモしたのは退院したころ

難病であることをつきつけられて
くらやみに迷いこんだ日々のこと



きっといつでもどこにいても同じ
ひとを照らす光で照らされている

与えるようで受けとっていること
じぶんを手放して見いだせる

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