Delphi NOTE by Ken Muratsu

古代ギリシアにおいて、世界の中心と信じられ、最古の神託の場として人々の運命を左右する役…

Delphi NOTE by Ken Muratsu

古代ギリシアにおいて、世界の中心と信じられ、最古の神託の場として人々の運命を左右する役割を担ったとされるDelphi。世界の出来事やトレンドに関しての疑問や感想そして分析などをDelphi NOTEとして配信します。ここが現代の神託の場として、思考・議論のきっかけとなれば。

最近の記事

なんでコンテンツで蔵を建てないの?

日本のポップカルチャーが世界を席巻している。 いまや若い外国人にとって日本と言えば、“SUSHI”,“FUJIYAMA”,“GEISHA”ではなく、“TOYOTA”“SONY””CANON”でもないのだ。”MANGA”や“OTAKU”が共通言語になりつつある。アメリカでもヨーロッパでも、そしてアジアでも、ジャパニメーションが今一番イケてるのだ。海外で日本のポップカルチャーを目にすると、素直に嬉しくなり、そして誇らしく感じる。新しい分野でも日本はまだ世界の先頭に居られるのだと思

    • 対GAFA、脱GAFA ~この先のことも考えてみた~

      アメリカ政府の対GAFA政策が本格化してきている。かつてのAT&TやIBMのように、国があくまでもコントロールしてあわよくばGAFA解体をもくろんでいるのであろうか。GAFA達もまた会社のシステムやスキームを駆使して自衛策を講じているようだ。 だがこのGAFA対抗策を本当のチャンスとしているのは、シリコンバレー以外の企業や国なのかもしれない。アメリカ国内へのベンチャーキャピタル(VC)投資額が1300億ドルを超え、2000年のITバブル期を凌いで過去最大になった。だがこれは

      • BATH ~こちらも、改めて考えてみた~

        ある著名な経営コンサルタントの方が、“問題のある所にInnovationは起きる”と仰っていた。まさに中国がそれなのである。中国はシステムに問題があると、その問題に直面して枠組みの中で解決するのではなく、一気に全く新しいもの作り上げてそれをスタンダードとしてしまうのだろう。 その圧倒的に大きすぎる国土と膨大な人口のため、インフラ、テクノロジー、システムが全く追いついていない。その社会問題が企業にとって大きなチャンスとなりマーケットになるようだ。そこからGAFAを脅かす企業B

        • GAFA ~今更ではあるが、改めて考えてみた~

          今や世界征服した感のある人類のプラットフォーム企業達であり、もはや宗教的な存在。そして何となく今年の流行語大賞。 今更各社の説明は必要ないが、ふと。素朴に彼らは何の会社なのか。メーカー? IT企業? ネット通販会社? あまりにも巨大で多岐にわたりすぎているので、ジャンルで区切ること自体が無意味な気がしてきた。だがビジネスというフィールドを飛び出して見渡すと、彼らは人間の生活のアップデートをする役目をしているのだとわかった。アップグレードではなく、アップデートである。 人間

        なんでコンテンツで蔵を建てないの?

          9・11はどこへ

          今年も9月11日を迎えた。あらから18年。当時ワシントンDCにいた私はまさにテロに巻き込まれた。突然現れた軍人に命令され避難をし、信じられない瞬間をテレビで目の当たりにし、そしてテロの標的となった街はパニックとなった。 その日の出来事やその後の街の様子などは、本に書けるほど鮮明に覚えいる。今もあのことは忘れることはできない。だがあの日のことを思い出して多くを語る気になれないのも本音だ。もちろんあの映像は二度と見たくない。忘れることはできない出来事ではあるが、思い出したくない

          9・11はどこへ

          ラグビーワールドカップに居ない3人の男

          いよいよラグビーワールドカップが始まる。子供の時からラグビーを見続けてきた者からすると、幸せの時間がやってくる。 黒衣の戦士の3連覇?ワラビーズの逆襲?北半球の捲土重来?そして桜の戦士たちはどう世界立ち向かうのか。個人的にも2試合観戦する機会を得ることができ、今からドキドキが止まらない。初のアジア開催となった今回のワールドカップが、世界のラグビーシーンを変えてしまうほどの革命的な大会になると思っている。来年のオリンピックと並び、その可能性は無限大だ。 だがその一方で、少し

          ラグビーワールドカップに居ない3人の男

          ディズニー帝国

          ディズニーファンの祭典、D23 EXPO 2019が開催された。聖地アナハイムに世界中のディズニーファンだけではなく、エンタメ、メディア、コンテンツなど各業界の人間も多く駆け付けたという。そこでは新作のスターウォーズのお披露目に始まり、なんと2025年までの様々なラインアップが発表され、そして満を持して11月に始まる配信事業、Disney+が全面にPRされていた。ディズニーの“今”をそして“力”をひしひしと伝えるものだったようだ。参加した友人からは、溜息しか出ないというコメン

          ディズニー帝国

          e-sportsは誰のための運動?

          ゲームがスポーツになろうとしている。いずれはオリンピックを目指すという。体を動かすものではないが、将棋やチェスなどといったポジションになるのだろう。囲碁将棋より下、麻雀よりは上という感じか。パズルからレースそして戦争と様々なジャンルで競技が行われている。 当然ゲームの中の世界の競技なので現実では起こらない事ばかりである。日本人がブラジルのサッカー選手をゲーム上で操って優勝することもあれば、車のハンドルすら握ったことが無い少年がF1で優勝することもある。また殺しあって生き残っ

          e-sportsは誰のための運動?

          USA⇔VEN

          20数年ほど前、私がアメリカに留学していたころ、最も仲が良かったのはベネズエラ人達であった。明るく楽しくそして誰でも受け入れる開放的な性格が私には合っていた。そして女性は皆美女であった。原油が豊富にもかかわらず億万長者はおらず、サッカーよりも野球が盛ん。明らかに他の南米の国々とは一線を画した、ユニークな国であった。そしてまたその時代は、ベネゼエラはアメリカにとって最も友好的な国であった。 だがしかし現在、ベネゼエラは世界で最も不安定な国となり、アメリカと敵対することとなった

          我が家にも8050問題

          リタイヤした80代の親と自立できない50代の子が親子で社会から孤立する、「8050問題」。50代といえば、人生のハイライトを迎え、そしてこの国を支えるべくであろう、まさに希望に満ちた層である。その国にとって最も重要な層の多くの人が社会から完全にドロップアウトし、最貧困層に到達する可能性があるのである。その潜在人口は70万人以上とも言われている。この層を守るのがこの国の急務なのかもしれない。 そして我が家でも、別の形の8050問題に突入しつつある。親が80代になるとき私は50

          我が家にも8050問題

          朝ドラと京アニの悲劇

          NHKの朝ドラ『なつぞら』を毎日観ている。日本のアニメーション業界の黎明期を描いた作品を日々楽しんでいる。主人公のヒロインは、日本最初の女性アニメーターといわれる奥山玲子さんをモデルにしているという。そして現代のアニメーション界の礎を築いた名だたる名士たちが登場する(ドラマ上のモデルとして)。東映アニメーション創設者の大川博や、森康二、大工原章、大塚康生といった稀代のアニメーターに虫プロの中村和子、ジブリ作品の色彩設計の保田道世、そして若き高畑勲と宮崎駿もついに登場してきた。

          朝ドラと京アニの悲劇

          香港は不完全燃焼

          今、揺れに揺れている香港に行ってきた。そして数十万人のデモを目の当たりにした。その様子は5年前の雨傘運動とはかけ離れたイメージであった。過激な行動をとるものはほんの少数でデモはパレードのようでのんびりしたものだった。 何に対する反抗なのか、何が不満なのか、なにを要求しているのか、全てが曖昧でそしてその一つ一つのプロテストのテーマが小さいような気がした。新しい条例の反対なのか、キャリー・ラムの退陣なのか(その場合、だれが後任に?)、警察の取締り方法への不満なのか、選挙法の改正

          香港は不完全燃焼

          中国市場と日本企業の失われた10年

          中国のGDPが日本を凌駕したのが、約10年前。それから瞬く間に中国は世界経済の主役に躍り出た。今や世界最大最強のマーケットである。その間、日本企業は中国と何もやらなかったのではない、ただ真剣に対等に相手をしなかったのではないか。中国は日本の下請けではなく、顧客だったのに。それを理解したくなかったのだろう。中国のためのビジネスは許さなかったのだろう。 中国はビジネスにおいて守るべきlegacyが無いのか、既成概念や段階的な成長過程を一気にすっ飛ばして新しい分野に辿り着く。そこ

          中国市場と日本企業の失われた10年

          ダイソンかアイリスオーヤマ

          日本の経済を支えていた、大手家電メーカーが岐路に立っているようだ。全く新製品が売れないという。マーケット、ユーザーの考え方、生活の思想が変わってきたのかもしれない。もはやユーザーはハイエンド商品か最安値商品の二極化しているのだろう。ダイソンかアイリス・オーヤマでいいのだ。 日本のお家芸である大手家電メーカーはそれなりにいいモノをそれなりにいい価格で常に新商品を送り続けている。だがそれが全く受けないくなってしまったのだ、国内でも、国外でも。現在、ユーザーの趣向が、アップグレー

          ダイソンかアイリスオーヤマ

          ワシントンDCとトランプ

          ワシントンDCはアメリカ合衆国の首都である。まさに首都に特化した街である。政府と議会と省庁に関連した人間・ビジネスだけで成り立っている特殊な土地で、石を投げれば弁護士に当たるといわれるほどだ。DCで力を持つということは真の政治力を得るといわれている。政治力を夢見る野心溢れる人々が街を闊歩し、この国をそして世界を動かしているのはこの街にいる人間だと誇示していた。 私は大学時代をこの街で過ごした。その頃(2000年代初頭)のDCは世界中の政治力でみなぎり、スキャンダルに溢れ刺激

          ワシントンDCとトランプ

          シリコンバレー$$$

          この春、初めてシリコンバレーに降り立った。そこは想像を遥かに超えていた。一戸建てが500万ドル以上し、テスラは納車一年待ち。ウォーリアーズは常勝軍団となり、カリフォルニアワインは高騰の一途。そして一般職の賃金でさえNYのバンカーを並みだという。 IT企業が街ごと買い取り、快適なオフィスと優良な病院、そして優秀な教員を集めた学校を作る。そしてまた人々と富が集まる。集まった人々は当然のようユニコーン企業を目指す。こうなるともうOld Money Industryはついていけない

          シリコンバレー$$$