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e-sportsは誰のための運動?

ゲームがスポーツになろうとしている。いずれはオリンピックを目指すという。体を動かすものではないが、将棋やチェスなどといったポジションになるのだろう。囲碁将棋より下、麻雀よりは上という感じか。パズルからレースそして戦争と様々なジャンルで競技が行われている。

当然ゲームの中の世界の競技なので現実では起こらない事ばかりである。日本人がブラジルのサッカー選手をゲーム上で操って優勝することもあれば、車のハンドルすら握ったことが無い少年がF1で優勝することもある。また殺しあって生き残った者が勝利というものまで。正直言って複雑である。これは運動なのかという論争は当然である。

この夏、アメリカから遊びに来た14歳の甥っ子もe-sportsに夢中である。やはりこの世代に一番根付いているのか。彼が日本に来てすぐに向かったのは、e-sports用のPCショップであり、e-sportsチームのグッズショップであった。e-sportsチームのユニフォームを興奮して物色していた姿は、まさにFCバルセロナやレアル・マドリードのユニフォームを欲しがる姿と同じだった。サッカーチームとe-sportsのチームは同じような存在か。そしていわゆるシューティングゲームが好きだという。叔父さんはちょっと複雑だ。

そんな中、冷静になってe-sportsのショップを見て回ると、そこに日本メーカーのモノがあまりないのだ。日本はいわゆるビデオゲームが主流なのだが、世界のゲームシーンはPCゲームは常識となっている。そのためこのPCゲームを中心としたe-sports業界に日本は完全に遅れてをとってしまったようだ。ハードだけではなくソフトやシステム、そして競技としての規模と環境、全てにおいて後手になってしまい、いまや韓国や台湾が先進国だという。

この世界規模で可能性がある新しい分野でも、日本のこれまで考え方・やり方が通用しないのである。日本でe-sportsが根付いたころには、逆に国内ゲーム産業はどうなるのだろうか。世界に誇る電脳タウン、秋葉原で憂いてしまった。

世界で驚異的に肥大したゲーム産業の力が、e-sportsをここまで押し上げたのだろう。スポーツというより、ビジネスが先行している感が否めない。ビジネスが一般的に認知され理解されるスポーツとなるには、まずはレギュレーションの整備が急務。誰でもできるという魅力はあるがなんでもできる(なにをやってもいい)という怖さも垣間見れる。ルールがあってこそスポーツは成り立つのだ。本当にスポーツとして確立すには、業界、メーカー、ユーザーにとってここからが正念場である。

やはりちゃんと汗をかかないといけないのである。