【連載小説】「北風のリュート」第39話
前話
第39話:空の赤潮対策本部(1)
【6月18日、G県庁】
今日は長い一日になりそうだ。
鏡原とは辰峯山地で隣接するG市の空は、梅雨だというのに青空が広がる。G県庁舎前の公園の緑もまぶしい。迅から送られてくる鏡原の空の画像は赤黒く沈んでいて、樹木の葉はまばらだ。わずか数十キロの距離なのに、あまりの違いに流斗の心は重くなる。
カッターシャツの胸もとをぱたぱたと扇ぎながら、閉まりかけのエレベーターに滑り込む。21階建てG県庁の18階会議室。そこが今日から決戦までの大本