【連載小説】「北風のリュート」第10話
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第10話:奏でるもの(6)
そうだ、と流斗はレイがテーブルに立てかけている楽器ケースを示し、
「それ弾いてみせてあげてよ」と促す。
「ヴァイオリンですか?」立原が席から伸びあがる。
「レアな銀のリュートだよ。しかも、レインボーにしか鳴らせないんだぜ」
なぜか流斗が誇らしげだ。
「レインボーって何?」レイはいつになく甲高い声をあげる。
「レイ、レイ坊、レインボー。レイの最上級だよ。虹は最も美しい気象現象だ」君にぴったりだろ、と片頬をあげる。
レイは口を開けたままフ