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連載小説「オールド・クロック・カフェ」

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京町屋を改装したカフェは、一歩入ると時計の森。そこでは、時のはざまに置いてきた忘れ物を教えてくれる「時のコーヒー」があるという。
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#忘れられない恋物語

『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(6)

第1話から読む。 前話(第5話)は、こちらから、どうぞ。 * * * Time Coffee * *…

deko
2年前
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『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(7)

第1話から読む。 前話(第6話)は、こちらから、どうぞ。 * * * Friends * * *…

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2年前
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『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(8)

第1話から読む。 前話(第7話)は、こちらから、どうぞ。 * * * Ring * * * 「…

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2年前
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『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(9)

第1話から読む。 前話(第8話)は、こちらから、どうぞ。 * * * long time no see …

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2年前
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『オールド・クロック・カフェ』4杯め「キソウテンガイを探して」(10)

第1話から読む。 前話(第9話)は、こちらから、どうぞ。 * * * Wander * * * …

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2年前
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『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(11)

第1話から読む。 前話(第10話)は、こちらから、どうぞ。 <あらすじ> 『オールド・クロッ…

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2年前
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『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(12)

第1話から読む。 前話(第11話)は、こちらから、どうぞ。 * * * Time goes by * * *  運ばれてきたコーヒーの薫りが私を正気に返らせた。ひと口啜ると、ひび割れた大地に水が浸みこむように喉を潤しようやく呼吸ができた。声帯がふるえ意味のある声になる。 「今のは忘れてくれ。君がアメリカに行く方法を考えよう」  綾の肩から手を離し向かい席に戻って、失言を覆い隠そうと私はしゃべり続けた。  まずはパスポートや。親に取り上げられたんやったな。紛失届を出そう。

『オールド・クロック・カフェ』4杯め「キソウテンガイを探して」(13)

第1話から読む。 前話(第12話)は、こちらから、どうぞ。 * * * Confession * *…

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2年前
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『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(14)最終話

第1話から読む。 前話(第13話)は、こちらから、どうぞ。 * * * Merry go round *…

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2年前
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『オールド・クロック・カフェ』4杯め <全文>

 その店は、東大路から八坂の塔へと続く坂道の途中を右に折れた細い路地にある。古い民家を必…

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2年前
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『オールド・クロック・カフェ』5杯め「糺の天秤」(4)

第1話は、こちらから、どうぞ。 前話(3)は、こちらから、どうぞ。 * * * Treasure …

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1年前
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『オールド・クロック・カフェ』5杯め「糺の天秤」(5)

第1話は、こちらから、どうぞ。 前話(4)は、こちらから、どうぞ。  澄は長らく宇治で暮…

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1年前
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『オールド・クロック・カフェ』5杯め「糺の天秤」(7)最終話

第1話は、こちらから、どうぞ。 前話(6)は、こちらから、どうぞ。  聖アグネス教会のバ…

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1年前
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『オールド・クロック・カフェ』5杯め「糺の天秤」<全文>

 その店は、東大路から八坂の塔へと続く坂道の途中を右に折れた細い路地にある。古い民家を必要最低限だけ改装したような店で、入り口の格子戸はいつも開いていた。両脇の板塀の足元は竹矢来で覆われていて、格子戸の向こうには猫の額ほどの前庭があり、つくばいの傍らで桔梗が揺れている。格子戸の前に木製の椅子が置かれ、メニューをいくつか書いた緑の黒板が立て掛けられていなければ、そこをカフェと気づく人はいないだろう。  そのメニューが変わっていて、黒板には、こんなふうに書かれている。  なぜメ