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連載小説「オールド・クロック・カフェ」

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京町屋を改装したカフェは、一歩入ると時計の森。そこでは、時のはざまに置いてきた忘れ物を教えてくれる「時のコーヒー」があるという。
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#創作

『オールド・クロック・カフェ』1杯め「ピンクの空」 <全文>

 その店は東大路から八坂の塔へと続く坂道の途中を右に折れた細い路地にある。町家を必要最低…

deko
3年前
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小説『オールド・クロック・カフェ』 2杯め 「瑠璃色の約束」(3)

(1)から読む。 (2)から読む。 <あらすじ> ガラス工芸作家の泰郎は、鳩時計の「時のコ…

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3年前
60

小説『オールド・クロック・カフェ』 2杯め 「瑠璃色の約束」(4)

前回までのストーリーは、こちらから、どうぞ。 (1)から読む。 (2)から読む。 (3)か…

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3年前
82

『オールド・クロック・カフェ』2杯め「瑠璃色の約束」 <全文>

 その店は、東大路から八坂の塔へと続く坂道の途中を右に折れた細い路地にある。古い民家を必…

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3年前
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小説『オールド・クロック・カフェ』 3杯め 「カマキリの夢」(1)

『不器用たちのやさしい風』は、断ち切ることのできない想いを抱える達也の、せつなくて心あた…

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3年前
80

小説『オールド・クロック・カフェ』 3杯め 「カマキリの夢」(2)

前回のストーリーは、こちらから、どうぞ。 <あらすじ> 『不器用たちのやさしい風』で明る…

deko
3年前
76

小説『オールド・クロック・カフェ』 3杯め 「カマキリの夢」(3)

(1)から読む。 (2)から読む。 <あらすじ> 『不器用たちのやさしい風』で明るい脇役として登場した松尾晴樹。茨城県北部の日立市から、婚活失敗の傷心を癒そうと夜通しバイクで駆けてきた晴樹は、『オールド・クロック・カフェ』にたどりつく。32個の柱時計に興奮する晴樹。そのうちの一つ、祇園祭の山鉾を模した30番の長刀鉾の柱時計に選ばれ、時のコーヒーを飲むことになった。 <登場人物> 茨城のライダー:松尾晴樹 晴樹の元恋人:由真  カフェの店主:桂子  カフェの常連客:泰郎  

小説『オールド・クロック・カフェ』  3杯め 「カマキリの夢」(4)

(1)から読む。 (2)から読む。 (3)から読む。 <あらすじ> 『不器用たちのやさしい…

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3年前
72

小説『オールド・クロック・カフェ』 3杯め 「カマキリの夢」(5)

(1)から読む。 (2)から読む。 (3)から読む。 (4)から読む。 <あらすじ> 『不器…

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3年前
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小説『オールド・クロック・カフェ』 3杯め「カマキリの夢」 (6)

1話から読む。 2話から読む。 3話から読む。 4話から読む。 5話から読む。 <あらすじ> 『不…

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3年前
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小説『オールド・クロック・カフェ』 3杯め 「カマキリの夢」(7)

1話から読む。 6話に戻る。 <あらすじ> 『不器用たちのやさしい風』で明るい脇役として登…

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2年前
52

『オールド・クロック・カフェ』3杯め「カマキリの夢」<前編・カフェ>

* * Welcome Again * *  その店は、東大路から八坂の塔へと続く坂道の途中を右に折…

deko
2年前
48

『オールド・クロック・カフェ』3杯め「カマキリの夢」<後編・祇園祭>

前編・カフェ編は、こちらから、どうぞ。 <あらすじ> 『不器用たちのやさしい風』で明るい…

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2年前
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『オールド・クロック・カフェ』4杯め 「キソウテンガイを探して」(2)

第1話は、こちらから、どうぞ。 * * * hesitation * * *  大樹と泰郎を追いかけ、由真が格子戸をからからと滑らせて閉めると、ざわめきも戸外へと潮の引くように遠のいた。  時計も声量を落とし、いつもどおり気まぐれな時を刻む。  冬の淡い陽がためらいがちに射し、前庭と通り庭の両方の窓辺をほんのりと明るくする。  時計に囲まれたカフェは、逆説的に、時を忘れる静寂につつまれる。  瑠璃に連れられて入って来た女性は、オフホワイトのハーフコートを脱ぐのも忘れ、