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小林秀雄を読む日々

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『小林秀雄全作品』全32巻を、あきれるほど丁寧に読んでいきます。まず「『私の人生観』にたゆたう」を完結。新連載を準備中です。
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#書くこと

文体を欠いた思想家はシンフォニーを創り出せない

日本の哲学者は、論理は尽くすが言葉を尽くしていない。観念を合理的に述べれば十分だと思い込…

既視の海
1年前
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国語という大河に生きて、言葉をつかむ

ベルクソンが天才だと思うのは、特定の人や作った本人しか解らないような専門用語を用いず、日…

既視の海
1年前
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とにかく書いてみる。書いてみなければわからない。

芸術家は美しい物を作ろうとはしていない。だだ物を作っているだけだ。完成したものが、作り手…

既視の海
1年前
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『考えるヒント』が小林秀雄のプロポ(語録・哲学断章)だ

小林秀雄が生涯つうじて著書を愛読した二人の哲学者、ベルクソンとアランについて、未完ではあ…

既視の海
1年前
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なぜ「アラン論」を書かなかったのか?

長年読み継がれている『幸福論』の著者であるフランスの哲学者アランについて、小林秀雄が彼の…

既視の海
1年前
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歴史は上手に「思い出す」こと

単行本『私の人生観』は1949(昭和24)年10月に刊行されたが、もともとは前年の講演録であるう…

既視の海
1年前
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おごれる人も久しからず、おごらざる人も久しからず

話を『私の人生観』における「諸行無常」に戻そう。 小林秀雄は、「諸行無常」という言葉は誤解されていて、「おごれる人も久しからず」つまり、驕り高ぶる人は決して長続きせず、「盛者必衰のことわりを示す」すなわち、いずれ必ず滅びるだろうという間違った解釈をされていると語る。 さらに、江戸城を築いた室町時代の武将である太田道灌が若い頃に、父親から「おごれる人も久しからず」とたしなめられたところ、「おごらざる人も久しからず」と返したという逸話を紹介して、説明する。 仏教は、生まれる

ふたつの『平家物語』

小林秀雄には1948(昭和23)年の『私の人生観』をはさんだ、二つの『平家物語』がある。戦火が…

既視の海
1年前
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絵をみて人を「観る」

いつものように『私の人生観』を読んでいて、ふと違和感を抱いた。 20代前半から付き合いが…

既視の海
1年前
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