マガジンのカバー画像

グラフィックデザイン考察班

25
運営しているクリエイター

#広告

「コージーコーナー(朝日広告賞受賞)」の考察

「コージーコーナー(朝日広告賞受賞)」の考察

1. なぜアイデアとして優れているか?この広告は食べ物の見栄えとしてはかなりマイナスな「崩れている」というビジュアルを逆手に取っているところに面白みがある。

ケーキの広告のみならず、食品を商品として扱う広告では、美しい形状やシズル感を演出する広告が一般的な表現である。

コージーコーナーやケーキ屋さんの特徴には「持ち帰って食べること」がある。

持って帰る過程で崩れてしまった経験のある人は多い。

もっとみる
「関西学院大学法学部」広告の考察

「関西学院大学法学部」広告の考察

関西学院大学の法学部の宣伝広告。

1. なぜアイデアとして優れているか?
「感情」と「論理」の対比構想となっている。

ターゲット層と思われる高校生以下の思春期真っ只中の学生に向けた広告として、恋愛は自分ごと化されやすい内容である。
対して、「法律」は身近なものでなく、法律に触れる機会がない限り、自分ごととして捉えにくい。
そこを「恋愛の質問を法学の観点から答える」という見せ方で、法律に興味を持

もっとみる
エボルタ(朝日広告賞受賞作品)の考察

エボルタ(朝日広告賞受賞作品)の考察

1. なぜアイデアとして優れているか?このビジュアルは「子供が電池切れしている」という部分に面白さがある。

「持久力」をキーワードに、子供とロボットを使い、「子供の体力の持久力」と「ロボット(電池を使っている)の持久力」を比較する体裁で、「エボルタ=長持ちする電池」という商品価値を演出している。

電池は日常生活の中で使われる場面が多いため、通常の広告では、普段使いされる場面を切り取ることが多い

もっとみる
「ギャツビー」の広告(準朝日広告賞受賞)

「ギャツビー」の広告(準朝日広告賞受賞)

一般公募の広告賞受賞作品。

1. なぜアイデアとして優れているか?毛を「トゲや菅状花(花の中央部分)」に見立てるという、シンプルながら毛を使う挑戦的な広告。

ギャツビーといえば、ワックスやシャンプー、シェービング剤など、メンズ向けの商品を展開するブランド。

通常、体毛を使う広告は、発想自体は面白いが、違和感や気持ち悪さを醸成するようなビジュアルになりかねない。

しかし、この広告では体毛を「

もっとみる
オロナインの広告

オロナインの広告


オロナイン軟膏の紙媒体での宣伝広告。

1. なぜアイデアとして優れているか?

紙のシワを使って手のひびやあかぎれを表現するという、紙媒体ならではの手法で演出している。
手の傷を表現する際、通常のビジュアルであれば、「手を使う状況を絵にする」ことは軟膏の広告でよく見るものになっていたと思う。
今回は紙媒体の特性を使い、カサカサになってひび割れた手を演出することで、紙媒体で見る閲覧者に「くしゃく

もっとみる
「夜の水族館」の広告

「夜の水族館」の広告

 
水族館が期間限定での夜の営業に伴う宣伝広告。

1. なぜアイデアとして優れているか?「夜の水族館」というテーマを、日中のビジュアルでうまく表現しているところに面白さがある。

夜という表現を、団地に並ぶ布団によって「粗相した布団」→「水族館の夢を見ている」→「夜」という連想で想像できてしまう。
本来は、粗相が海の生き物の形になることやシミが青くなることはないが、非現実的な表現に振り切ることで

もっとみる
「味の素広告」の考察

「味の素広告」の考察

調味料や食品を扱う企業「味の素」のブランド広告。食事で使われるうま味調味料が認知されている企業でもある。

1. なぜアイデアとして優れているか?
ダ・ヴィンチの絵画作品「最後の晩餐」をパロディにし、「最初の晩餐」として変換している。
作品自体が有名なものなので、直感的に絵画のパロディであることが認識でき、比較的万人に認知されやすい作りになっている。

最後の晩餐においてはキリストの「死」を思わせ

もっとみる
POLA APEX広告の考察

POLA APEX広告の考察

スキンケアブランドのPOLAが新しく開発した、業界初の肌分析からその人に合ったスキンケア商品を提供するサービス「POLA APEX」の広告。

1. なぜアイデアとして優れているか?美容広告の表現としてあまりない「顔の歪ませる」ことでチャートを作るという表現の新しさが面白い。

従来の美容業界の広告イメージは、芸能人やモデルを使うことが多く、「この俳優さんのようになりたい」という憧れの感情を抱かせ

もっとみる
森林文化協会の啓蒙ポスターの考察

森林文化協会の啓蒙ポスターの考察

世界的に森林が年々減少していることを啓蒙するためのグラフィック。(おそらく)

1. なぜアイデアとして優れているか?森林減少と未来の子供に森林を残そうという2つの意味を持っている

森林伐採などで木々の減少が叫ばれる中で、木々の緑の減少をクレヨンの緑の減少になぞらえているところが、最小限の表現方法で直感的にイメージできる。
さらに、題材がクレヨンであること意味があるのではないかと想像する。
クレ

もっとみる
広告電通賞展ポスターの考察

広告電通賞展ポスターの考察

1. なぜアイデアとして優れているか?

「チャレンジ」をグラフィックで表現する際に、「波乗り」というモチーフはベタなアイデアである。
しかし、海を有機的に捉える演出ではなく、平面的かつ四角という、本来は存在しえない幾何学的な海にすることで「未知へのチャレンジ」という姿勢が演出されていて、表現の面白さがある。

さりげなく配置されているコピーは、グラフィックの特徴に連動したコピーとなっている。

もっとみる
Allphones "Personas"の考察

Allphones "Personas"の考察

allphoneという海外のキャリアのプロモーションで、
プランを個人個人でカスタマイズすることができるという広告。

1. なぜアイデアとして優れているか?「個人のスタイルに合わせて、各々でカスタマイズができる」ということを、スマホに関連するアイテム(自撮り棒やヘッドフォン、SIMカードなど)で人の輪郭に「見立てる」ところに面白さがある。
普通であれば、様々な人の写真やイラストを使い、人がスマホ

もっとみる
「Spotify広告」の考察

「Spotify広告」の考察

1. なぜアイデアとして優れているか?人を使って音の線に見立てている

Spotifyは、スマホがあれば、いつでもどこでも音楽やラジオなどをアプリで聞くことができるサービス。
このイメージを、様々なシチュエーション展開のあるグラフィックと、スペクトラムアナライザ(コンポの画面などについている音楽に合わせて波打つ棒)をかけ合わせたビジュアルで演出しており、人をアナライザに見立てることが、興味を引く1

もっとみる
「資生堂」グラフィックの考察

「資生堂」グラフィックの考察

資生堂の(おそらく)ブランディング広告。
※公式では見られなくなっているため真相は不明

1. なぜアイデアとして優れているか?有機的な人間の体を、幾何学的なシェイプで表現していること

資生堂は、スキンケアやメイクなど、人の肌に触れる商品を作る化粧品メーカーとして認知度の高いブランド。そのため、人の肌をビジュアルに落とし込んでいるのは納得できるが、写真をそのまま使うことで、表現としてベタになって

もっとみる
「ART & COPY 」の考察

「ART & COPY 」の考察

art&copyの映画ポスターのグラフィック。

1. なぜアイデアとして優れているか?ポップアートのようなテイストでアートを連想させる

ポップアートのようなテイストのビジュアルが印象的な表現。
ARTを「視覚でみる」、copyを「言葉で話す」というニュアンスにするため、目と口を使って対比させている部分は直接的な表現ではあるが、ビジュアル表現によってオリジナリティを出している。

2. ビジュア

もっとみる