見出し画像

エボルタ(朝日広告賞受賞作品)の考察


1. なぜアイデアとして優れているか?

このビジュアルは「子供が電池切れしている」という部分に面白さがある。

「持久力」をキーワードに、子供とロボットを使い、「子供の体力の持久力」と「ロボット(電池を使っている)の持久力」を比較する体裁で、「エボルタ=長持ちする電池」という商品価値を演出している。

電池は日常生活の中で使われる場面が多いため、通常の広告では、普段使いされる場面を切り取ることが多いが、ただ家電の電池としての機能だと面白みに欠ける部分がある。

子供が寝ていて、ロボットが立っているというビジュアルによって、「ロボットの持久力」を演出することができている。


2. ビジュアル表現のよさは何か

このビジュアルでは、電池を使っているはずのロボットは最も遠くに配置され、数や遠近感によって圧倒的に子供が目に入ってくる。
「あえてロボットをメインに置かない」という選択によって、単純にロボットを見せるよりも、「人→ロボット」という視線の流れができ、ロボットの持久力が認識できる。

カラーは、床や壁のベースカラーのピンクと、ピンクと差異がつくような子供の洋服のバイカラーやロボットのグレーで、人やロボットの輪郭がはっきりするので認識しやすい配色。カラフルだが、明度彩度がほぼ統一されておりうまく調和している。


3.構図の妙は?

ロボットを中心として、子供が、奥から手前に円状に広がっており、子供の寝ている向きも円状になっていて遠近感があるので、子供からロボットへと自然に目がいくように誘導される構図。

コピーの配置は、コピーを使わずともビジュアルで理解できるため、左上に添えるように配置している。さらに、コピーと商品を対角線上に配置し、左上のコピーと、それに対するアンサーのような見せ方になっているところもよくできている。


4.批判的視点

ロボットを一番手前に配置し、背中に電池が入ってるような見せ方にする方法もあったかもしれない。
ロボットが電池ではなく充電式のものもあるので、「ロボットが電池で動いている」という見せ方にすれば、右下の電池を配置せずともエボルタの商品を訴求できた可能性がある。


5.個人的な感想

電池を機能的な視点でみると無難な表現になるところだが、この広告は可愛らしさや愛おしさを感じさせ、ひいては商品にポジティブな印象を与えるビジュアルになっている、とても素敵な広告だと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?