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森林文化協会の啓蒙ポスターの考察


世界的に森林が年々減少していることを啓蒙するためのグラフィック。(おそらく)

1. なぜアイデアとして優れているか?

森林減少と未来の子供に森林を残そうという2つの意味を持っている


森林伐採などで木々の減少が叫ばれる中で、木々の緑の減少をクレヨンの緑の減少になぞらえているところが、最小限の表現方法で直感的にイメージできる。
さらに、題材がクレヨンであること意味があるのではないかと想像する。
クレヨンは、子供のお絵かきで使われるイメージがある。
ゆえに、「子供が緑を使った後のクレヨン」が写っているという想像もできる。つまり、「生い茂る木々を緑を使って描いたもの」とも想像でき、「木々を絵を描く時に、緑色がなくなる程、未来の子供のために森林を残そう」というメッセージもある。
森林の絵ではなく、クレヨンの緑そのものを減らすということで想像の余白が生まれている表現。

2. ビジュアル表現のよさは何か

緑色と黄緑色という、緑色の系統の2色が減っていることによって、1色よりも緑が減っているということが認識しやすくなっている。
そして、森を想像させるロゴをセンター下に小さく配置することによって、森の緑が減っているという意味であるという答え合わせができる。


3. 構図の妙は?

真っ白な空間ではなく、囲みを作ることで中央のクレヨンに視線が誘導される。
加えて、ロゴと写真を別の空間として分け、メインの要素と付属的な要素とが明確にわけられている。

4.批判的視点

前述の通り、「未来の子供に森林を残す」という意味づけをするのであれば、例えば木々を表現するときに使う茶色のクレヨンも若干減らすことで、その意味を強められたと思うので、もしかしたらそんな意味は持たないグラフィックの可能性もある。

5. 個人的な感想

想像の余白を残す最小限の表現だからこそ、細かい芸は入れ込む必要があると思う。緑色以外の色味を減らすことで「絵を描いている」ということがわかる表現にもできたと思うので、少しもったいないビジュアルだと思った。

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