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「コージーコーナー(朝日広告賞受賞)」の考察


1. なぜアイデアとして優れているか?

この広告は食べ物の見栄えとしてはかなりマイナスな「崩れている」というビジュアルを逆手に取っているところに面白みがある。

ケーキの広告のみならず、食品を商品として扱う広告では、美しい形状やシズル感を演出する広告が一般的な表現である。

コージーコーナーやケーキ屋さんの特徴には「持ち帰って食べること」がある。

持って帰る過程で崩れてしまった経験のある人は多い。そんなシチュエーションを「いくつかの崩れたケーキ」とコピーによって、「ケーキが崩れてしまった文脈」を連想させている。



2. ビジュアル表現のよさは何か

ケーキの崩れと崩れによってできた空間に沿うようにテキストが配置されることによって、崩れる過程の躍動感を想像させる。

ホールケーキは複数のいちごとケーキの大きさから、家族で食べるものとして、またショートケーキはいちごがくっついているなど、カップルを想像させるなど、ケーキの種類によって色々と想像が膨らむ造りとなっている。


3. 構図の妙は?

箱を上から覗く構図にすることで、普段私達がケーキを開ける際の見え方と同じになるため、「家に帰って開けて見ている」というグラフィックの趣旨が瞬時に認識できる表現となっている。


4. 批判的視点

「自分で持ちたいっていうから」という部分のケーキは、コピーから「親子」が想像されるので、もう少し子供用のような動物が乗っているケーキなど、子供を想像させるカラフルなケーキを入れても良かったと思う。


5. 個人的な感想

誕生日やご褒美、お礼など、ケーキが持つ「特別感」という演出がシンプルにできている。このグラフィックには、誰かを喜ばせたいという心が見える構成であり、ブランディングとして考えた時に、「せっかくだからコージーコーナー寄っていこう」というポジティブな行動を促せるグラフィックだと思う。


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