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Separation After Darkness

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短編、掌編を載せます。 幻想小説だったり(恥ずかしい)日常の一場面を切り取ったり、そうではなかったり。 私が見ている景色、感じた情景をみなさんにも共有したくて。
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#銃

獅子の山

 我々はとうとう獅子の山にたどり着いた。フランベルジュのように尖った岩を超え、霧をかき乱し、獣でさえ躊躇する山を踏破した。そこにあるのは獅子の山。我々の子供をさらった獅子たちが棲んでいる。仲間は皆屈強な古強者ばかり。全員が武骨で艶消しされた銃を担ぎ、沈黙している。恐れているからではない。皆、獅子に子供を連れていかれた怒りに身を焦がしていた。それぞれが、邪悪な獅子など怖くない、俺の子供を返せ、という

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A4用紙に書かれていたこと

 彼女の身体は銃身で、放った後は良く歌う。
"よく熱せられた銃が好き。あなたの次に好き"
 それ言うの待ってって。ちょっと言うのまだ早いって。まだだって。
"アギトをぐっと、奥歯をぐっと、食いしばって"
 俺と教授は彼女が穿つ様子をモニター越しに眺める。
"そのまま千まで数えて引き金。銃痕・イン・ザ・頭蓋"
『また頭蓋かい?』
 教授が俺に言う。
「そうなんだよ」
『カレイニナはよくはずしてしまう

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