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熱心な指導をする教師は迷惑かもしれない、という話

 こんにちは。教育家夫婦が開いた小さな塾「Dear Hope」です。
 いつも記事をお読みいただき、ありがとうございます。

 この記事は、理数担当の副塾長(夫)が書いています。

 今回は、熱心な指導が「生徒をコントロール」する指導にすり替わってはいけない、という話です。
 誤解がないようにあらかじめ断っておきたいと思いますが、決して、「熱意があってはいけない」とか、「教えるにあたって一生懸命な態度ではいけない」ということではありません。

「相手をコントロールしよう」という不純物

 熱心に指導しようとするとき、「相手をコントロールしよう」という不純な思いが含まれていることがあります。この不純物を「熱心さ」と取り違えてはいけないということです。
 このことは、私が書くまでもなく、ベテランの先生にとってはごく当たり前のことだと思いますが、自分はまだまだだなと思う場面もあるので、自戒の意味も込めてあえて記事に残しておこうと思います。

人は、他人を変えることはできない

 人は自由意志を持っているため、誰かに変革を求められたとしても、それを受け入れるのか受け入れないのかは、自分で決めることができます。そして、人は、他人から変革を強制されたくないものです。だから、誰かをコントロールしようとしても、その試みは失敗に終わる可能性が高いと言えるでしょう。

一生懸命指導しようとするほど空回りするという逆説

 授業においてもその通りのことが言えます。
 生徒の皆さんは、成績を上げたい、勉強ができるようになりたいという希望をもっています。だから、それに応えようと、私も一生懸命に指導します。ところが、「もっとできるようにしてやろう」と指導に熱(実は邪念)が入ってしまうと、その日の授業はあまり手ごたえを感じられないものです。
 「もっとできるようにしてやろう」という気持ちには、相手をそのようにコントロールしようという気持ちが隠れています。だから、例えば宿題を忘れた生徒さんに対してキツい言い方をしてしまったり、説明を行っているときに暗に「これくらいはできるよね」という押しつけが言葉の端々に現れてしまったりして、生徒らのやる気を削いでしまうのです。

 逆説的ではありますが、やる気に満ち溢れ、熱心に指導しようとする先生は、生徒にとって迷惑でしかないことがあります。私自身、今まで何度も失敗してきました。それに懲りて、(まだ完ぺきではありませんが)生徒の自主性を信じるようになった結果、思いのほか伸びていく生徒さんが増えてきました。そういうことを振り返ってみて、「やっぱり相手はコントロールできないものだな」と感じています。

私たちにできるのは、本人の向上心をサポートすること

 別の角度から言うと、教師がいくら「私の指導によって成績を上げてやろう」と頑張っても、あまりうまくいかないということです。生徒さんが自らの自由意志によって「成績を上げたい」と決意し、「勉強する」という行為を選択しない限り、どうしようもありません。私たちにできることは、明るい気持ちで生徒に接し、相談に乗ったり、勉強内容に興味を持ってもらえるような切り口で解説を行ったりと、本人の向上心をサポートするくらいのものです(ただし、そのようなサポートにこそ知識と技術が必要になります)。
 そして、このようなスタンスの方が、かえって生徒さん自らが勉強に主体的に取り組むようになる傾向があり、結果的に成績も上昇していきます。

私たちは「純粋な熱意」を大切にしている

 私たちは、いい意味で熱心でありたいと思っています。つまり、私たちは、「相手をコントロールしよう」という恣意的な態度が見え隠れするような押しつけがましさを排し、「徹底的に生徒の向上心に報いたい」という純粋な熱意に基づく指導を行いたいという意味です。そういう意味で、私たちは熱心な指導を行っていきたいと思っています。

家庭でも、子どもをコントロールしようとするとうまくいかない

 このことは、家庭においても当てはまるかもしれません。
 例えば、子どもに「いい大学」に合格して欲しい(そのようにコントロールしたい)という気持ちのあまりガミガミ指示したり、あるいは、あらかじめ会話の着地点を用意しておき、その着地点に向かって子どもの考えを導こうという意図をもって話を進めたり。
 ところが、中学生、高校生にもなると、そのようなコントロールは拒絶され、信頼関係にひずみが生じてしまいかねません。

 私は専門家ではないため決定的なことは言えませんが、子どもが一定の年齢になったら、子どもを信頼してさまざまな決定を委ねることが必要かもしれません。同時に、親御さんの方から「私はこのように思っているけれど、どう思う?」というように率直に自己開示をしながら対話を行うことも効果的だと思います。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


 このnoteでは、教育家夫婦が開いた大学受験の小さな塾「Dear Hope」のスタッフが、大切にしていることや、日々考えていることなどを書き記していきたいと思います。

 今後とも、よろしくお願いいたします。

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