リワークのはなし
他の記事でも何度か言及しているが、復職前にリワークに通っていた。
体調が回復してきた頃、主治医から勧められたのがきっかけだ。
正直めんどくさいなあ、他人に合わせて生活するの嫌だなあ、とか思っていたが、このままでは復職許可は降りなそうだったし、私自身、体調は良くなったものの心の中にモヤモヤが常にあり「復職する」と言える状態でもなかったので通うことにした。
リワークといっても色々あるし感想も人それぞれなので私の通ったリワークについて書いてみたいと思う。
少しでも迷っている方の参考になれば嬉しい。
プログラムは役に立ったのか?
2種のプログラム構成
私が通ったリワークのプログラムは大きく分けて2つ、実務系とメンタル系だ。
実務系は主に仕事で使う基礎スキルを身につけるのが目的でPC系の割合が高い。労働法規やビジネスマナー、擬似的な職場体験もある。
メンタル・コミュニーケーション系はストレスケア、コミュニケーションスキル、キャリア構築など。
実務系はターゲット外だった
実務系についてはあまり役に立たなかった。といっても内容が悪かったわけではない。私がターゲットから外れていただけだ。社会人経験が少なめの人向けだったので、社会経験がそれなりにある私には効果は薄かった。しかし、パワーポイントで作った資料でプレゼンをする実習では仕事では得難かったプラスのフィードバックや心穏やかな状態での振り返りの経験ができた。
メンタル系は良い経験を与えてくれた
メンタルは大いに役に立った。アサーションや合意形成などのスキルも参考にはなったが、精神的な体験が大きかった。各体験のベースとなっているのが人を尊重し、自分も尊重されるということだ。
社会に出ると組織人として、仕事人としては尊重されるのだが、要求に見合った能力や行動、結果があるのが前提だ。社会という他人の集合体のモノサシで比較評価する、され続ける、と言っても良い。比較評価なしで一個人としての自分と向き合う時間というのはなかなか得られないものだ。
社会で生きるからには他人から望まれる役どころを演じることになるが、本当の自分はどうなのか、心はどう感じているのかを認識できず、演じている状態を本当の自分だと思い込んでしまうことがある。その役を上手く演じられなかっただけなのに自分はダメな奴だと思ってしまったり他人の望む形になることを本心から望んでいると勘違いしてしまう。
リワークではこういった役回り上の自分と本来の自分をそれぞれ自覚するための機会やきっかけを得られた。
通所期間はどれぐらい?
私の通所期間
私の通所期間は9ヶ月ほどだ。元気に毎日出席していれば卒業はできるので、大体3~4ヶ月、早い人は1ヶ月ぐらいで卒業となるのだから長く通った方だと思う。だが、私個人に限定して言えば早く卒業しなくて良かったと思う。
最初のうちは目新しさから出席率も高かったが、そのうち欠席が増えてきたのだ。体調は悪くなくても「今日は何となく気分が乗らないな」とか「めんどくさいな」という理由で休んでいた。体調は良くてもまだ復帰できる状態ではなかったということだ。つまらない理由でリワークを休むなら仕事も同じような理由で休んでしまうだろう。我慢して通えばすぐ卒業できたのかもしれないが、頑張って叩き出した瞬間最大風速で自分の状態を評価しなくて良かったと思う。
卒業条件を満たす為には時間が必要だった
長期間通って良かった理由の1つが自分のペースで自分自身の問題と向き合えたということだ。
乱暴な言い方になるが、再発防止については自分で何とかするしかない。人間関係が原因で休職したのなら尚更だ。職場の人間が全員精神疾患を患うようなブラック企業なら離れればよいが、原因が人間関係なら同じような状況は今後も現れる可能性がある。仕事が自分のところにばかり集まってきてしまう、頑張りすぎてしまう等も人間関係だ。
どんなに良い人でも合う合わないはあるし、集団があれば弱い立場に立たされる、損な役回りになる人が一定割合発生する。メンタルを崩す人はそんな立場になってしまう人が多いように思う。なので、集団に属している限り同じような状況になるリスクは付きまとうのである。自分が悪いわけではない、しかし、自分の中に要因はある、というわけだ。
リワークは悩みを解決してくれる魔法のようなスキルや解決法を伝授してくれるわけではない。こうすればいい、で解決していればメンタルを崩してなどしていない。ただ、通所する中できっかけやヒント、気づきは得られる。それらを見つけて自分を見つめ直す場としての機能は高かった。矛盾するようだが、個人としての自分と向き合うのは一人では難しい。他者も必要だ。1ヶ月で十分な人もいるのかもしれないが、私は自分を見つめ直すために9ヶ月という時間を要した。
卒業のタイミングは一般的には「復職、転職可能かつ再発の可能性が低い状態」ということだと思うが、私は
「復職、転職可能かつ休職時と類似した環境下でも再発の可能性が低い状態が一定期間継続している」
としていた。
つまり、休職になった自分の内的要因と折り合いをつけるということだ。
などと偉そうに言っておいて私も自分が抱える問題を完全に解決できたわけではない。ADHDの特性や自分の性質もあるので、急激な変化は難しい。他人に合わせて変化する必要ある?という気持ちもある。
まあ、自分と向き合う時間は結構とれたし、金銭的な問題もあるから、そろそろ社会の中で引き続き向き合ってみようかというのが正直なところだ。
休職中に薬をコンサータに変えたのだが、リワークを通して効果を検証できたのも良かった。
これからリワークを始める方には環境が許すのであれば自分なりのゴールを定めてじっくりと通うことをお勧めしたい。
参加者との交流
上記の体験を似たような境遇の参加者と共有できたことも大きかった。
それぞれの生きづらさを抱えていて、境遇が近しい人達が毎日集まる場所って他にある?いや、ない。
自分の障害や悩み、好きなことも他人にこんなに話せたのは初めてだ。
特に苦しみながらも自分の根幹部分と向き合っていた何名かの参加者の姿には励まされ勇気をもらった。名前以外詳しいことも連絡先も知らないが勝手に戦友だと思っている。
彼らが今後どう社会と関わっていくのかは分からないが、いつか彼らが自分らしく生きられるようになれば良いと強く願っている。
通って良かった?
またメンタルを崩すかもしれないけど、前よりは少しだけ、ほんの少しだけ上手くやれるかもしれない、そんな感触がある。仕事だけではなく生きるということに対してだ。
社会的な立場から見たら休職はマイナスかもしれないが、私という人間にとっては大事なイベントだった。そう思いたい。
こういった機会や時間、気づきを得ただけでもリワークに通って良かったし、長い期間を費やしたのも間違いではなかったと思う。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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