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ホームグラウンド

ホームグラウンド

ここに来ると、明日が楽しくなる。

知識の格納庫でもあり、芸術の聖地であり、憩いの場でもある。

自分の人生を量る場所になっている。

歌や、服や、食、そして屋まで技術の粋が集まっている。

どのようにみえるか、なにをかたれるか、どんなことばがきけるか、それでたいていのひとのなりがあらわれる。

最初にここにきていうことばは、「きれい」だけだと思う。

そこから観察できるちからがつくと、「すごい」に変わる。

そして、「なるほど」「おもしろい」「すばらしい」と

表現のレンジがひろくあかるくなっていく。

はじめて足をふみいれたら、まず松の木がとびこむ。

そして、黒色の建築物がうつりこむ。

それから季節の花やもみじへ展がって目線をあげると

空がある。

そして、ここは日本だときがつく。

まっしろだったあたまの中がとたんに色彩にみたされてる。

うつくしい、とまたつぶやく。

宇宙の端っこでコドクにただよっているきえかかった

くらげがめをさまして音のただしさをといただした。

律せられたコンダクターは無意識にタクトを振る。

そして、700年前の私を思いだそうとこころみる。

気泡がはじけてしまうときの記憶と追憶が鉛に変わる。

のびちぢみしきった今は映画フィルムのように転がってた。

ひろえるちからなどもちあわせている織師はみはてぬ夢だ。

巻き戻しがきかない舞台にたつきかざった資格保持者たち。

とびはねまわりならしわらいどなりちりかわりとまりみゆ。

メディチはヨーロッパをゼアミは和にムゲンの波をおこす。

私は、ハッと時計をみる。

ぼうぜんと立ちつくしてうごけなくなる。

天気予報の雨が降る時間だった。

洗濯物が乾かなくなってしまう。

あわてて劇場を飛び出した。

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