見出し画像

医療者に必要なもの

気持ちの良い季節になりました。
夕暮れ時の空が好きです。
本格的に暑くなるまでの少しの期間ですが、この心地よさを楽しみたいですね。

さて、この2月まで脳外科で働いてきました。

6年連続の脳外科勤務で得たものはとてつもなく大きくて楽しい日々を送ってきました(もちろん大変なことも多々ありましたが…)。

ご想像の通り、脳の損傷はあらゆる面において大きなダメージを残します。

中にはほとんど症状が無いという方もいますが、大半は片麻痺を呈しますし生死の狭間をさまよう方もいます。

救急救命の進歩はめざましく、ほとんどの方は命が助かります。

しかし大半の方に障害が残ります。

脳血管疾患は死因では4番目ですが、要介護状態になる要因では2番目に多いというのが現状です。

(ちなみに要介護状態の要因1位は認知症ですが、脳血管性認知症のことを考えるとやはり脳血管疾患による影響は非常に大きいと言えます)

日本の死因順位

介護が必要となった主な原因


そんな患者さんの変化していく姿を目の当たりにできたのはとても刺激的でした。

一方で、すっきり改善していかない方も多く苦労しました。

脳血管疾患になるということはそれだけ色々な部分の受けたダメージが積み重なっていると言えます。

それだけ色んなアプローチをしても改善の度合いがとてもゆっくりだった印象が強い、というのが脳血管疾患の患者さんでした。



そしてこの3月から内部疾患チームに変わったわけですが、とても改善の変化が早いように感じています。

1つの仮説としては脳に複合的症状を呈している方のほうが、よりダメージを受けており改善も時間がかかっているのではないか、というもの。

もう1つはコミュニケーションの問題による影響が大きいのでは、というもの。

脳血管疾患では言葉が話せなくなったり、理解ができなくなったり、というコミュニケーション障害をよくきたします。

また、感覚や認知機能の障害によってうまく情報の処理ができなくなることも多々あります。

そうするとやはりコミュニケーションに何かしらの障害をきたすことがあります。


脳血管疾患以外の患者さんでコミュニケーションに障害がある方はあまり多くない印象があります(あくまで印象です)。

こちらが言ったことは比較的よく伝わりますし患者さんの言いたいことも認識しやすい。

言語・非言語問わず意思疎通ができるとこちらの伝えたいことがが的確に相手に伝わる、そんな感覚があります。

だからこそ脳血管チームを離れて急に患者さんの改善が早くなったように感じているのではないか、と思ったのです。



そして今日はとても印象的な日で、何人もの方から私のアプローチに対して深い感謝の念を示していただけました。

こんなことは14年働いてきて初めてです。

何が患者さんの心を動かしたのか、振り返ってみるとやはり「コミュニケーション」だと思ったのです。


私は常に「患者さんにとっていま何が辛いのか」にフォーカスを当てて関わってきました。

入院している以上、すべての方は何かしらの辛さを抱えています。

そこにしっかりとフォーカスを当てる。

そしてどうしたらそれが解消できるか考えて行動する。

そのやり取りの積み重ねの成果だと感じています。



今日関わった方の一人は末期がん。

余命幾ばくもなく、痛みのコントロールができずにとても苦しい思いをされてきました。

そんな方から「あなたと話していると痛みが消えていくんだよね」という言葉をいただきました。

本当に感動しました。

私はただ、患者さんの波長に合わせて会話していただけです。

それだけで医療用麻薬ですら抑えられない痛みを緩和することができた。

コミュニケーションにはそれだけの力がある。

そんな確信を得た一日となりました。



しかし、医者や看護師など多くの医療者は忙しさを理由に患者さんの辛さにしっかりフォーカスできていないと感じます。

リハビリテーションスタッフは最も密に患者さんと関わることのできる立ち位置にいますが、それでも患者さんの感じる辛さに意識をフォーカスできていなければ同じことです。

相手の感じることに意識を寄せて課題解決に取り組む。

コミュニケーションと行動が医療者に最も必要なことではないかと感じます。


これは医療に関わらずあらゆる仕事に通じることなのかもしれません。

皆さんもぜひご自分の仕事を振り返ってみてください。

相手の期待を遥かに上回るパフォーマンス、見せていきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?