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ひとこと日記/2019.09.01

暑い暑いと言っていた今年の夏も、朝晩はもう過ごしやすくなりましたね。
日によってはクーラーを使わず、窓を開け虫の音を聴きながらぐっすりと眠ることも出来るようになってきました。
8月が終わり新しい月が始まります。

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今年の夏はペーパーコードの椅子の張替にずいぶんと時間を使ってしまいました。

エンベローブ編み、という縦横のコードを対角線で編み込んでいくこの技法はなかなか難しく、納得いくまでに結構苦戦しました。。
作業にあたっては職人の方からもアドバイスを頂き、参考にもしたのですが、実際、職人の方それぞれにも仕上がりに違いがあったりして。
自分の仕上げはどこを目標とするべきか、と着地点の設定それ自体にとても悩みました。

で、目標を作ろう、と思いまして。

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北欧家具の中でも、このペーパーコード張りの椅子は幾つかのメーカーの製品で見ることが出来るのですが、その中でも『CARL HANSEN & SØN』というデンマークのメーカーがその種類も豊富。
世界で100万脚以上を販売してきたことでも知られているロングライフチェア『Yチェア(CH-24)』をはじめとして数々の名品を有し、その信頼や実績は多くの方の知るところでしょう。

思い付く限り、このペーパーコード張りの椅子の『スタンダード』を牽引しているメーカーの一つと言っても良く、そのクオリティを学びに、製品を見に行ってみようと考えました。

もちろん張替の現場を見れるわけではなく、カールハンセン社の職人の方に会ってお話しを伺えるわけでもないのですが
展示されている製品を見て実際に体感することで、自分のそれと比較することが出来る。それだけで十分です。

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8月21日。店休日の水曜日。
折角なので外苑前にあるカールハンセン社のフラッグシップストアへ行ってきました。
スタッフの方には先に一言、自身でお店を営んでいることやペーパーコードの張替の勉強をしていることなどを伝えた上で、家具を見させて頂きました。

迷惑は承知で、緊張しつつ伺いましたが
「椅子の裏側も見ていいですよ」「写真も大丈夫です」などなど。
突然の厚かましい訪問にも快く対応頂き、スタッフの方には本当に感謝です。

家具が見れるだけでも満足でしたが、カールハンセン社の家具についてのお話やペーパーコードの張替のお話など、忙しい中にも関わらず丁寧に対応して頂き、本当に気持ちの良いお店でした。
ペーパーコードの編み方だけでなく、スタッフの方の対応やお店の雰囲気など、とてもとても勉強になりました。

肝心のペーパーコード編みについて。

もちろんこのYチェアは何度も見たこと・座ったことはありましたが、こんなにも座面の編み方だけに注視したことはなかったのですごく新鮮で、とても参考になりました。
比較したざっくりとした結果ですが
対角のラインをはじめ「編み方の綺麗さ」自体はさほど劣っていないかな、と感じました。
ただ自分の椅子の方が若干ですが張りが強い。(たぶんその若干の加減が難しいのでしょうが)
また違う椅子なので比較も難しいのですが、同じ椅子と仮定した場合に僕の方が一周分コードを多く廻している計算でした。

それよりも一番驚いたことは、これだけ大きなメーカーの同じ製品であっても、編む職人の方によってクオリティに差異があるというその事実。
「デンマークから入ってきたものと、日本の職人の方が編んだものを比べると、日本の職人さんの方が仕事が丁寧」とスタッフの方。それはなんとなく分かる気はしますが。。
時にはコードの本数すら異なるそうで(1本1本コードの本数を数えてメモしていた自分がなんだか恥ずかしい。。)

もちろん厳正なクオリティコントロールの下、しっかりとした基準を設けて製造されているのでしょうが
手仕事ゆえの「奥行き」というか「懐の深さ」みたいなものを思わず考えさせられました。

最初から薄々気づいてはいましたが、このペーパーコードの編み方に関しては明確な「解」は存在しないのだと思います。
おそらく今活躍されている職人の方々も皆、それぞれの技量を磨き製品をさらに昇華させるために、日頃から工夫・努力をしているのだと思い
自身に明確な目標(イメージ)を掲げて、繰り返しそのイメージを探求してくこと。それに尽きるのかと思いました。それを改めて知ったことが何よりの収穫です。

それにしても色々な製品を見させて頂いて、今後は僕も『Yチェア』や同じウェグナーの『CH-23』などを仕入れて張替に挑戦してみたいな~とか思ったりなんか。興味が尽きません。。

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と、長々とペーパーコード編みの研究に付き合って頂きありがとうございます。

話ガラッと変わってその翌週。某アウトレットモールのサマーセールへ。

お店で使っていたカメラのバッテリーがもう寿命をとうに越えて、騙し騙し使っていたのですが、もう限界を感じまして、狙っていたカメラを買いに行ってきました。買ってしまいました。
自分にとっては高価な買い物。20%オフはとっても大きいですね!
最後の夏の景色をお届けします。。

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さて、仕事に戻って。。

サマーセールも折り返しを迎えた8月の中盤。
有難いことに家具の納品準備や出荷準備が立て込んで、新しい家具の仕上げが思うように進みませんでした。
合間合間に椅子の張替なら出来るかな?と思い、メンテナンスを進めた椅子がこちら

ブラックペイントがモダンな印象のデンマーク製ダイニングチェア。
このように塗装されてる椅子は少し珍しくて、オリジナルの塗装なのか、何処かの誰かのリメイクなのか、今となっては分かりませんが

合わせる生地によって格好良く生まれ変わりそう!と現地で見つけて今回8脚を仕入れてきました。

まずはこのアイスグレーカラーの、見た目にもクールな印象の生地で2脚を張替えて展示。

体のラインに合わせてカーブしたホールド感のある背もたれ。
シートが後方へ傾斜しているため、座ると自然とその背もたれに体を預けてしまいます。もちろんダイニングに合わせて良し。リビングでソファ代わりに使っても良さそうな。思った以上に快適な座り心地です。

そして続けて、ヴィンテージ感漂うこのオリーブグリーンの生地でも2脚、張り替えました。

同じ椅子でも合わせる生地で雰囲気が大きく変わって楽しいですね。
どちらもイメージ通りに、とっても格好良く仕上がりました。

大大大満足です◎

そして最後はこちら。
丸い把手が印象的なスウェーデン製のチェスト。

どこか気を許してしまう、愛嬌のある表情がたまりません。

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8月は思い付きで一か月間のセールを敢行しましたが、本当に急な告知にも関わらず多くのご来店や商品のお問い合わせを頂き、誠にありがとうございました。

準備不足でややボリュームに欠けるセールだったことを反省にして、次回は事前準備や在庫の供給のことなどをしっかりと考えた上で、計画的に行いたいと思います。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。
9月もまたよろしくお願い致します^^