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夜中の羊街道で幾つの群れを探し回っただろう。

男性2人は車を降りて羊を触っては手ぶらで戻って来る。車の発信間際まで羊商人と大声で激しく言い合っている。羊へのこだわりなのか値段が折り合わないのか。

同じことを10回は繰り返した頃、2人ともリフレッシュが必要と思ったのか、先に野菜を買いにスークへ行くことになった。

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疲れ切った女性陣は後部座席でぐったり眠る。ドアが開いた瞬間、もわっとした空気とともにゴミ捨て場のような匂いが車内に紛れ込む。これは耐え難い。。。

大分時間が経って、たくさんの袋とともにまずドライバー氏が戻ってきた。しばらくするとリヤカーを引く人の気配とともに暗闇の中から眠眠打破氏が現れた。

買った野菜がゴトッゴトッと車に積み込まれる。すでに夜中の2時を回っている。羊はまだ一頭。流石にそろそろ帰りたい。

犠牲祭の前日は寝不足で準備するものらしい。家中掃除をしたり、買い物をしたり。奥様はステキなゼブラ柄のヘンナのため早起きして、今朝は6時から手足に模様を施していたらしい。人気のショップは予約待ちだそうだ。

眠眠打破氏がなかなか気の利いたことを思いついて、女性陣を家に降ろした後で羊をもう一頭調達しようとドライバー氏に提案するが、「羊は帰り道の途中だろ」とあえなく却下される。昼に携帯電話のショップで時間を食ったのが恨めしい。

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ついにトランクに二頭目の羊が積み込まれた!アルハムドリッラー。

一頭目は動くのもメェ〜と鳴くのもやめて長いこと静かにしていたが、狭いトランクに仲間が増えて再びギャーと悲鳴をあげている。とにかくやっと帰れそうだ。

ドライバー氏の家に先に向かい奥様を降ろす。奥様もぐったり。「おやすみなさい。今日は楽しかった」と挨拶の後、門の向こうへと消えていく。

大通りから私たちの家に入る曲がり角がフロントライトで照らされた。もう、すぐそこだと分かり安堵する。ボコボコ道を上下に揺れながら進む。スーダン入国後3日目にして激務の日だった。

家に到着。トランクを開けると羊がひょこっと頭を出す。耳を引っ張ったり片足を持ち上げたりして裏門から中庭への通路へ羊を追い込む眠眠打破氏。

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おばちゃんも起きて待っていてくれた。私たちも羊の後を追って門を入ると、足裏に柔らかい感触。羊のコロコロうんちがたくさん落ちていた。ずっと狭いトランクで我慢していたのか、外に出てビビって漏らしちゃったのか。

「羊が逃げるから裏門を閉めて!」と叫ぶおばちゃん。夜中の3時過ぎになかなかの騒動である。なんとか収まるところに収まった羊。

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長い1日が終わった。一刻も早く歯を磨いて体を拭いて眠りたい。

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