私について #自己紹介

マジか、そんなことを思いながら、私は某所のカフェで酒を飲んでいた。

9月が終わりになろうという頃のことだ。

はじめまして

Daniel(仮名)と申します

国籍は日本とリトアニアとオーストリア。
血は日本が50%で、リトアニアが25%、オーストリアが12.5%、あとはその他数十の血が混ざっているという感じですが見た目はやはり日本人よりです。
現在二十代前半で、現地の友人とヨーロッパ某所に起業したばかり。

共同設立者の1人であり、名刺にはCEOという肩書がありますが、経営には疎いです。

現在某所旅行中に財布をすられてしまったために、どこかの国際空港でホームレスをしています。

ここでの生活を始めたのは9月の終わり頃。

帰りの航空券を買わないのはいつものことだった。

旅行は、その終わりを考えずにその日の気分で進めるのが1番楽しい。

財布をすられたことに気がついたのは、ホステルのベッドでのことだった。

昨日どうやって帰ったのかはきちんと覚えていたし、一緒に酒を飲んだ男性が気さくで楽しい人柄だが、妙にボディタッチの多い同性愛者っぽいやつだったこともきちんと覚えていた。

カードの再発行は今月の中頃。

それまでは名刺ケースに入れておいたクレジットカードで飲み食いをすることにした。

一応こちらではクレジットカードで電車やバスやメトロのチケットを買うことができたので、私はひとまず某国際空港へ行くことにした。

ここには24時間空いているコンビニやファーストフード店もあったし、シャワーもあった。

ただ、問題が一つ。

クレジットカードは最低限度額に設定しておいた上にキャッシング機能がないため、ギリギリの生活を強いられることとなった。

私は、ヒッチハイクをすることにした。

車を捕まえては歩き、捕まえては歩きということを繰り返しているうちに、幸運なことに一晩も野宿をすることなく国際空港にたどり着くことができた。

最後に私を乗せてくれたのは、親切なポーランド人男性。

彼にはハンバーガーのセットをお礼した。

それが9月末のこと。

それから今まで、私は都会でのサバイバルといった毎日を送っていた。

ここでやることといえば、ベンチで寝たり、色々なタバコを試したり、カフェや喫煙室で出くわした面白そうな方と話をして、時たまタバコやご飯や酒を奢っていただいたりといったことだけ。

空港警備の方は私に視線を送ってきたりはするが、一度パスポートの提示を求められた際に事情を話したため、現在では挨拶や会釈を交わすだけの関係になっている。

CEOでありながら様々なことに疎い私、そんな自分の会社での役割はライターが主なもので、日本文化についての記事や小説やエッセイを書くこと。

書いてもそれらの報酬はすられてしまったキャッシュカードの口座に送られるので、気分的にはタダ働きをしている感じですが、それではあまりにも自分が不憫なので、これは遊びなのだと自己催眠をかけて毎日スマホにカタカタ打ち込んでいる。

そんな私の趣味は海外旅行をして、現地でしか楽しめない街並みや人との交流、料理や酒やタバコを楽しむこと。

空腹を抱えるのは数年ぶりになるが、初心に帰る意味でも、そしてこの場を借りて日本での作家デビューを飾るという意味でも、こういった所持金クレジットカードのホームレス生活という0から始まる物語からキャリアを始めるのは悪くない話かもしれない。

空港にはいろいろな人間が集まる。

人種、宗教、民族、職業。

私が今まで出会ったのは、統合失調症を患ったイタリアの少女、アルコール依存症のバングラディシュの男性、スイスの外交官、広大な土地のオーナーを務めるネパール人と台湾人のゲイカップル、そして、セクシーなドイツ人美女とウルグアイの女の子。

ここで過ごすのはあと10日だけとなるが、いざそうなってくると、なんだか名残惜しいものもある。

これからどんな人間に出会えるのか楽しみだ。

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