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【EC業界・アフィリエイト業界での経験談】

はじめに:アフィリエイトとは


ネットや書籍で調べればすぐにわかるので言わずもがなですが、成果報酬型の形態をとるインターネット広告の手法の一つです。

いわゆる広告主(メーカー等の事業会社)の商品をメディア側(アフィリエイターのことを指す。以降はアフィリエイターと表記)が自身のサイト等で紹介し、消費者(ウェブ業界で俗に言うユーザー/エンドユーザー)から購入・申込(=成果)がされることで広告主からメディアに対して報酬が支払われます。

より詳細に説明すると、アフィリエイトリンクと呼ばれる商品につながるURLリンクが広告主あるいはASP※からアフィリエイターに付与されるため、そのリンク経由でユーザーが購入・申込に繋がった際に報酬が発生します。
一つ例を挙げると下記イメージ。

※ASP:アフィリエイト・サービス・プロバイダー

ここで今一度アフィリエイト業界のプレーヤーとアフィリエイターの種類を整理します。
当初ポイントサイト系アフィリエイターやSEO系アフィリエイターが主流でしたが、ここ5、6年ほどでAD系(アド系)アフィリエイターが台頭。さらに近年ではインフルエンサーもある種アフィリエイターとしての顔を持ち合わせるようになりました。

▼アフィリエイト業界のプレーヤー
・広告主
 ┗商品(モノ・サービス)を提供する事業会社(メーカー等)
・アフィリエイター
 ┗事業会社の商品を自身のサイト等で紹介し、成果報酬型で報酬を得る方々。世間のイメージ的には一個人に思われているかもしれないが、個人もいれば、法人もいる。業界ではメディアやパートナーとも呼ばれる。
・ASP
 ┗アフィリエイト・サービス・プロバイダーの略称。広告主とアフィリエイターをマッチングさせる代理店(仲介会社)。
▼アフィリエイターの種類
・ポイントサイト系アフィリエイター(インセンティブ系アフィリエイター)
 ┗ポイントサイトやアンケートモニターサイトにユーザーが登録した際に発生する成果報酬を得ている方々。基本的には登録の際の報酬だけでなく、ダウン報酬(友達紹介制度)や紹介ランキングで収入を得ている。
・SEO系アフィリエイター
 ┗SEOサイトにて成果報酬型で収益を得ているアフィリエイター。かつては主流であったが、近年のGoogle検索エンジンのアップデートによりアフィリエイトサイト(アフィリエイトリンクを含むSEOサイト)は上位掲載されづらくなったため、多くのアフィリエイターが撤退、もしくはAD系アフィリエイトに路線変更を余儀なくされた。
・AD系アフィリエイター
 ┗アフィリエイター自身が広告出稿費を持ち出しで行い、その広告に接触したユーザーから商品購入・申込されることで成果報酬を得る方々。
具体的には、アフィリエイターが記事LPや動画コンテンツを制作し、そのコンテンツをGoogle広告やYouTube広告、Yahoo!広告、Twitter広告、 Instagram広告等、外部サイトやSNS、動画プラットフォーム等に広告掲載。その広告に接触したユーザーが商品購入・申込することでアフィリエイターに報酬が支払われる。持ち出しで費用はかかるが成果が発生した際のインパクトは大きい。
・インフルエンサー
 ┗主にSNS(TwitterやInstagram、TikTok等)やYouTube等を中心に活動しており、世間に対して影響力を与えるような方々。
  ※厳密には芸能人もインフルエンサーにあたるが、世間一般的には上記のような方々として使われる。

経験談(2018年〜2020年)

業務内容

私は新卒入社した会社にてアフィリエイト事業を主に行っている部署に配属された。当初「ASP事業」のみであったが、私が入社したタイミングで新規事業がいくつか台頭。それが「EC事業」「DSP事業」「メディア支援事業」の3つでした。
そのうち私は「EC事業」「DSP事業」の担務となり、具体的には下記業務に従事しました。(★が自分の担務)
そこでの私の経験談を語っていきたいと思います。

▼EC事業
・医薬部外品、化粧品の企画、開発(ただ、実際には何を企画、開発するかは役員が決定してしまっていました…)
★競合分析
・成分調査/選定、商品名決定
・決済システム構築
★配送業者選定
・流通業者選定/体制構築
・在庫管理
・商品製造会社選定
★梱包業者選定
★カートシステム構築
 ┗たまごリピート(旧たまごリピート)、ECフォース
★広告運用
 ┗自社DSP、Google広告、Yahoo!広告、Instagram広告、Twitter広告
・自社記事制作
・SNSアカウント運用
 ┗instagram
・インフルエンサー施策
★Googleタグマネージャー運用管理
★Googleアナリティクス運用管理
▼DSP事業
★自社DSP営業/運用
 ┗新規顧客(アフィリエイター)へのテレアポ、飛び込み営業、自社DSPの提案、広告運用

経験談〜EC事業編〜:素人目線での話


<企画〜販売までの時間がとにかくかかる>
とにかく1つの商品を企画・開発し、製造、販売するまででも多くのステップがあり相当コストがかかります。かつ基本的にはOEMで製造するケースがほとんどだと思うので、小ロットではなくそれなりの量のバルク発注が必要になります。
そのため何か商品製造して販売したい!という方は当たり前ですが事前に開発までの期間、費用等しっかり試算しておきましょう。

・市場調査
┗ある程度の業種は定めた上でその市場調査。ここの調査が超重要。
 後発の場合は特に勝ち筋が見出せない中ですぐ商品選定/開発に移るのはナンセンス。
・商品選定
┗特定業種の市場調査を受けて開発する商品選定。
・競合調査
┗競合を徹底的に調査。ここも超重要。
・商品企画(マーケティング戦略)
┗事前の調査を受けて商品企画。この際も各種マーケティング分析を活用。(SWOT分析/3C分析/4P分析/STP分析 等)
・事業計画
┗売上目標や利益回収時期等事業の細かい計画
・商品開発/取引先選定
┗企画商品の具体的な中身の開発及び開発時に必要となる取引先選定。
(商品に必要な素材の製造先の会社 等)
・インフラ整備/取引先選定
┗配送業者選定
┗LP制作業者選定
┗決済システム業者選定
┗商品梱包業者選定
┗物流会社選定(在庫管理・発送等)
┗カートシステム業者選定
┗コールセンター選定
※主にはこの辺りですが、必要に応じて必要業者増減。
・オウンド/広告運用選定
┗オウンド:Instagram、Twitter、TikTok、LINE各種SNS等
      ※ブランドサイト作成しない前提のケース
      ※外部で運用委託する場合は運用先選定必要
┗広告:Instagram、Twitter、TIkTok、LINE、YouTube、Google、Yahoo!等
      ※外部で運用委託する場合は運用先選定必要
┗その他:ドメイン取得、サーバーレンタル、分析ツール選定
      ※自社内でサーバーある場合は不要
・商標登録
┗商品名やロゴ等の商標登録

<売上の見立て/利益回収の目処は?>
基本的な計算式
損益分岐点=固定費÷(製品単位あたりの総収益–製品単位あたりの変動費)

予算に対してどういう戦略で売上を立てていくのか、そしていつまでに利益を出して、資金回収(黒字化)ができればいいのかをしっかり日々意識しながら取り組んでいかないと、結局事業撤退になるので、この点はしっかり頭に刻んでいただくのが良いと思います。
(私がEC事業立ち上げに従事した際、この点があまり上層部から共有されておらず、私をはじめ現場メンバーの数字に対する意識が甘かったと反省しております)

<高速PDCAサイクル>
事業を進めていく中でいつの間にか商品ローンチが無事できて満足。となりがちですが、むしろスタート地点に立ったばかり。
商品ローンチ後はむしろ如何に「仮説〜検証〜確認〜再検証(PDCA)」が回せるかが重要です。

例えば、下記のような商品特徴、戦略、戦術(手段)の場合。
果たしてその戦術(手段)は正しかったのかや、エンゲージメント(コメント等のリアクション)から得られる潜在的価値/ニーズはないか等を日々チェックしながらPDCAを回していく必要があります。

・商品:まつ毛美容液
・定価:1,980円(税抜)※定期購入価格。定期縛りなし。
・特徴:①ペンタイプで細かい目頭や目尻あたりも塗りやすい。
    ②他商品にはない効果を実感できる成分である。
    (法律上伸びるとは言えない)
・戦略ターゲット:20−50代女性
・コアターゲット:20−30代女性
・目的:商品認知
・KGI:定期購入3回以上
・KPI:リーチ数12万UU(20−30代女性1280万人の内、約10%)
※参考:総務省統計局人口推計
・予算:100万円
・戦術(手段):SNS広告|Instagram、Twitter(20−30代の主要利用SNS)
※参考:総務省 令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
➡︎戦術は合ってる?まずリーチするターゲットとして合ってる?潜在的な価値やニーズはない? 等を日々ウォッチしながらPDCAを回す。

<経験からの学び>
この経験から得た学びをこれまでも記載しておりましたが、一度ここでざっとご紹介します。(一部のみなのでこの他にもあります)
・企画前の調査が何より大事。キーエンスのような徹底な事前調査があってこそその企画や事業の成功確率を上げる。
※参考:キーエンスはなぜ高年収なのか? 財務諸表で読み解く「3つの強み」
・事業計画及び損益分岐を事業部全体で共有し、全員が同じ意識のもと推進する。
・取引先の選定として、本当に合っているか慎重に考える。
例)無駄な機能が付いているサービスになっていないか。本当にやりたいことができるサービスなのか。事業計画的に先々必要になってくる機能が備わっているのか。等

・素早いPDCAサイクルを回し、選択と集中を重ね続ける。
・自社内でやること/外部委託すること、しっかり棲み分けができているか。
・潜在的な商品価値やニーズはないか。
・戦略(手段)はそれでいいのか。

経験談〜DSP事業編〜


DSPのサービスとしてはローンチして何年も経っていたためナショナルクライアント様をはじめ多くの企業様に利用いただいていました。
ただ私が入社当初にある種新規事業として取り組むことになったのは、その既存DSPをOEM版としてアフィリエイターの皆様にご提案するものでした。
サービスの中身としては基本的には変わらないものの、より利用していただきたい形で一部利用条件を緩和していたり、運用体制として変更が加わっていたりしていました。
その中で私がまずしたこととしては下記になります。

<徹底的に分析>
・EC事業部編でも記載しましたが、SWOT分析をはじめまずは自社DSPの強みや弱み等を洗い出し、競合との比較を行いました。
その上でどういうサービス内容だったら利用してもらえるのかを日々思考し、営業及び運用に務めました。

<高速PDCA〜仮説→検証→内省+仮説→再検証の反復〜>
営業にせよ、運用にせよ、とにかくPDCAを回しました。
例えば営業では、主にアプローチ先企業/個人をリスト化→テレアポ→提案→受注といった流れなのですが、そもそもリスト化時点で仮説を立てて収集したリストはよかったのか、テレアポでの話し方はそれでいいのか、提案時の身なりや話し方、ジェスチャー、資料内容はそれでよかったのか、受注後の対応としては問題ないのか等、各フェーズを分解しPDCAを回していました。
時には周りが今どきやっていないからという理由で、飛び込み営業をすることもありました(笑)

<経験からの学び>
EC事業同様、この経験から得た学びをざっとご紹介します。(一部のみなのでこの他にもあります)
・事前の調査なしには何も進まない。(自社/競合/市場等)
・とにかくPDCAを早く回す。
・アフィリエイターの皆さんならではの悩みは何か学ぶ。
・新鮮な情報を常に発信する。(日々のアフィリエイターとのやりとりや仕事用の個人SNSを開設して発信する等)
・まずは自分から与える精神。先に恩恵を受けようと思う心はナンセンス。
・競合サービスを悪く言わない。あくまでも自社と競合の違いを伝える。
・押し売りNG。できないことはできないと伝える。(とはいえ調整力は大事)
・情報の信憑性を疑う。全てを信じ込まない。
・あくまでも法律遵守の中での継続的な売上/利益拡大のための手段を模索。
・対等な関係を築いていくための信頼貯金を貯める。

おまけ:アフィリエイト業界での注意点!

アフィリエイト業界に入る際、以下には要注意です。
一概には言えないですが、私も業界に入った際に関係者からまず教えられましたし、実際経験上当てはまるケースが多いと思います。

⚠️アフィリエイトは簡単に稼げない。そういう誘惑は嘘。
⚠️無料アフィリエイトセミナーは主催者側の営業。参加後に気持ちが高まったタイミングで会員に誘導される傾向。
⚠️セミナーばかり行っているアフィリエイターは、実際主力のアフィリエイト事業で稼げていない状況。そのため一昔前の稼げていたノウハウを元にした講座になっている傾向。

セミナーを全否定はしておりませんが、”簡単に稼げる”もしくは”稼げる”というワードを使う方には注意したほうが良いと思います。基本的に私が会ってきた稼いでいらっしゃるアフィリエイターの皆さんは、地道でストイックな業務の積み重ねの上に今の経済力を築いており、そしてそれを継続しているので、間違いなく基本的には簡単に稼げるわけではないことは肝に銘じておいていただければと思います。
師とする方を見極め、その方からの教えを地道にしっかりインプットしつつ、自発的にアウトプット(テスト)と分析を繰り返して成果を上げていくことが大切だと考えています。

私の思う今後のEC業界


私がEC業界を経験した当時はすでにECで商品を購入することは当たり前になっていました。さまざまなECモールや決済サービス、ECコンサル企業等すでにプレイヤーが多い中でどう勝ち筋を見出していくのか、ある意味難しい状況でした。
そして現在ではインフルエンサーやタレント等の芸能人、さらには一般の人までも自分で商品を作り販売していくのが容易で、当たり前にもなっています。

その中で私個人として、今後重要になると思うのは、
「企業ファンを如何に生み出せるか」
だと思っています。
いわゆるブランドや商品のファン、リピーターは多くいますが、あまりその企業のファンだという人は多くはないのではないでしょうか。(完全に所感です)

なぜならありとあらゆる商品・サービスで溢れているこの時代で、インフルエンサーやタレントの力も借りながら、ほかと差別化を図り、ブランディングをし、その瞬間は良いと思ってもらえる/購入してもらえる。ということが多いような気がしています。
ただ本質的に取り組んでいかないといけないかは、如何に自分達企業のビジョンやミッション、経営指針に共感し応援してくれるファンを生み出し、増やしていけるかだと思っています。
そういう意味では一時的なブランディングだけではダメなのです。

その意味では近年注目されているSDGsやCSV、CSR活動は有効といえますが、これもトレンド的に注目されているからという軽い気持ちで取り組んでいては消費者にすぐに見透かされてしまいます。
ややEC業界という枠から拡大してしまいましたが、
本当の意味でどういうビジョン、ミッション、経営指針であればファンが増えるのかを思考し、実行し、そして社会に還元していけるような取り組みができていれば、容易になんでも手に入るEC業界の中でも一つ差別化をして、事業拡大がしていけるのではないでしょうか。私はそのように考えています。


私の思う今後のアフィリエイト業界


私がこの業界に関わりはじめたアフィリエイト業界では、SEOアフィリエイトからADアフィリエイトに切り替わりはじめたタイミングでした。
中には悪質な広告が増えており、健全な状況ではありませんでした。
そのため消費者庁からのアフィリエイト業界への規制や処罰が多数発生しておりました。

さて、今後のアフィリエイト業界ですが、伸びる業種が変わりながら伸び続けると考えています。
具体的には、前段でも記載した消費者庁への規制や処罰は比較的医薬部外品や化粧品等、いわゆる薬機法が関わるコスメ業界への影響が多かった印象です。というのもコスメ商品はEC上で非常に需要があったためです。
ですが違法な広告が多く規制、処罰も強くなっていきました。

一方で新型コロナウイルス等の影響もあり、AmazonプライムやNetflix、Hulu等のVODサービスや家食サービス、デリバリーサービス等の需要が高まり、アフィリエイトでも出てきたように思います。
このように時流に沿った形でアフィリエイト業界がなくなるのではなく、変化してその時代その時代に合った業種が伸びていく形で業界全体も伸びていくのです。(この考え自体はどの業界でも同様だと思いますが)

また個人的には「保険」「健康食」等といったヘルスケア(≠サプリ等の健康食品)が伸びてくるのではないかと思います。
人生100年時代において、新型コロナウイルスや自然災害、戦争等何が起こるかわからない現状でもあるため、そういったことに対するリスクヘッジをとっていくべく、日々の生活における小さな健康ケア(体調管理等)をはじめ、災害等の保険への需要が今後も高まってくると考えています。
かくいう私も不摂生な生活にならないようまずは食から日々気をつけて過ごしています。

最後に

最後までお読みいただき大変ありがとうございます。
私の新卒入社での経験談をベースに書いていこうと思ったのですが、ついつい自分の想いを熱く語りたくなり長くなってしまいました。
(やや途中脱線?したりしてしまった部分もあり失礼しました)
いずれにせよ私の記事にご興味を持っていただけたのであれば幸いです。
この"note"という場所自体は私の考えを発信する場としていますが、もし共感してくださった方や、また違った視点でのご意見、考え方をお持ちの方で、お話ししてみたいと思ってくださった方は、ぜひコメントでもメッセージでもお送りいただけますと大変嬉しく思います。
※一方的に否定してくるような内容はお受けしかねますのでよろしくお願いします。

最後に、記事内容良かった!と思ってくださる方は、ぜひ”スキ”や”コメント”等をしていただけますと幸いです。
改めてお読みいただきありがとうございました。
今後ともご愛読のほどよろしくお願いします。

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