映画レビュー:Riphagen: The Untouchable(リプハーゲン: オランダ史上最悪の戦犯)

<若干のネタバレ有>
WWⅡも終わりに近づく頃、ドイツ占領下にあったオランダで起きた話です。
ナチスドイツの親衛隊はSSと呼ばれていましたが、そのSSの内部に置かれていたSDという情報部に所属していたアンドリス・リプハーゲンが戦時中から戦争が終わる過程で次第にナチスが追われていく中どうなったかと。

「ナチスにそこまで抵抗ない日本人が見ても響かない、負けたから戦犯になっただけ」みたいな驚愕の感想をお持ちの方もいるようでしたが(どんな感想を持とうと自由ですが、本当に映画を理解したのか疑問に思ってしまった)、彼はSDで働いている立場を巧みに利用してユダヤ人を騙し、財産を奪い、用が無くなった人からガス室送りをしていました。
手にかけたユダヤ人から騙し取ったお金で私腹を肥やし、その財産をもとに最後自分だけでも生き延びようとした人ですよ。もちろんユダヤ人に限らず歯向かう人は脅し、抹殺していくと。
歴史上最も残虐で恐ろしい行為を行った組織の一つであるナチスドイツの中で、その立場を利用して更に残忍な振る舞いをしていた人。
彼の言ったことを信じる若くて可愛らしいパートナーも得るわけですが、彼女のことは本気だったんですかね?少し年上の男性が、反抗してこない若い女性を手玉に取るように見えてしまいます。
そして途中、ナチスドイツに抵抗する勢力内でも仲間割れが起きてしまうわけですが、もう誰を信じていいか分からない時代では盲目的でいることしか自分の心を守れなかった人もいるのではないでしょうか。
とはいえ彼の周りにいる人の、どことなく爪の甘い感じも見てるこっちをやきもきさせます。

恥ずかしながらリプハーゲンのことは知らなかったので、最後までハラハラしながら見終わりました。見応えありますが、言葉を選ばなければ胸糞悪いって感じです。唯一の救い?は彼のパートナーの改心でしょうか…。この映画を見ても知らぬが仏なんて言えますでしょうか。

邦題通り本当に最悪の話です。原題はuntouchableとあるように、人の心を持たない恐ろしい人であり、もう触れたくもないような話なんだと思います。
現実世界での救いといえば、この映画を母国のオランダが作ったことでしょうか。事実を見つめて、繰り返さないように。

こんな酷いことがあっていいのかという要素がたっぷり詰まった映画です。
ものすごく個人的なことを言えば、リプハーゲン役のJeroen van Koningsbrugge(イェロン・ ファン・コーニンスブルッヘ)さんは体格がよくスキンヘッドなところも含めて、前に住んでた部屋の大家さんに似てました。(名誉の為に言っておきますが、彼は悪い人ではありませんでした。)オランダでは有名な俳優さんだそうですね。

それでは今日はこの辺で。

Riphagen: The Untouchable / リプハーゲン: オランダ史上最悪の戦犯 ★★★★☆
Released on 22 Sep 2016
Genres Biography, War, Drama
Cast members Sigrid ten Napel, Jeroen van Koningsbrugge, Huub Smit
Running time 131 minutes
Directed by Pieter Kuijpers
Language Dutch
Watched on Netflix
Price Free (Netflix Monthly member)


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